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書 籍 紹 介
企業のための新型インフルエンザ対策マニュアル
事業を継続するために、いま行うべきこと

和田耕治著

東洋経済新報社  定価2000円+税

和田氏は、2000年産業医科大学医学部卒業、企業での産業医を経て、マギル大学大学院産業保健学修士課程修了・ポストドクトラルフェロー、北里大学大学院労働衛生学博士課程修了、ILO external collaborator。現在、北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、新型インフルエンザ専門家会議委員、日本医師会勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会委員。主に働く人の健康を守る産業保健と疫学を専門とする。医学博士、労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会専門医(本書より)。

目次より
第一章 企業における新型インフルエンザ対策の現状
第二章 新型インフルエンザ流行により想定される影響
第三章 企業の対策作りに必要な新型インフルエンザに関する基礎知識
第四章 今こそ行うべき企業での新型インフルエンザ対策
第五章 新型インフルエンザの流行が始まったら
第六章 各企業における新型インフルエンザ対策

著者は、現在のマスコミや企業から発せられる「新型インフルエンザ市場」を踏まえ、今必要なことを的確に指摘している。例えば、この冬すぐ出来ることとして「感染予防策である手洗いと咳エチケットの徹底」「発熱や咳のひどいヒトは職場に来ない、来させない」をあげ、「通常のインフルエンザで徹底できないことが、新型インフルエンザ発生時に出来るであろうか?」という疑問を投げかける。またマスクについても、N95マスクが一番良いのではなく、【自分の顔にフィットするマスク】が良いのだと、マスクの付け方について詳しく言及している。

企業の事業継続に関しては、まず感染予防策をとり、従業員の確保につとめることが最優先という。そのために必要なことが詳細に書かれている。また最終章では、具体的にパナソニックと東京電力の新型インフルエンザ対策を取り上げている。多くの企業関係者、従業員に読んで頂きたい書である。

あとがきより〜多くの国民は働いているため、職場での情報提供は非常に効果的です。また、こうした取組みは事業継続にも不可欠です。〜


強毒性H5N1型ウィルス 襲来に備える!
新型インフルエンザ対策ハンドブック
〜命を守る、籠城生活の実践マニュアル〜
「必携」緊急対策マニュアル

岡田晴恵著

角川SSコミュケーションズ出版  定価1200円+税

岡田晴恵氏最新刊。新型インフルエンザの基本的な知識を抑えていることはもちろんだが今回の本の特徴は、
@具体的なイラスト付きでイメージしやすいこと A質問形式で、1人暮らしから高齢者まで、この場合はどうする?この場合は?と自分で考えるようになっていること B「備蓄」「籠城」生活について非常に具体的に書かれていること。

特に「備蓄」「籠城」については、実際に備蓄した食品で飽きずに食べるためのレシピや、患者を隔離した部屋の掃除や消毒の仕方外出時の格好などがイラスト付きで解説されており、イメージしやすい。

また高齢者のデイケアはどうするのか、子どもにどのように理解させるのかなどについても分かりやすく触れており、すべての世代におすすめ出来る本である。


新型インフルエンザ 恐怖のXデー
「必携」緊急対策マニュアル
岡田晴恵著
PHP Paper Books出版  定価952円+税

新型インフルエンザに関する数々の本を世に送り出している、感染症研究所ウィルス第三部研究員  岡田晴恵氏 最新刊。

新刊の度に違う出版社から出版しており「関心のない人にも手にとってもらいたい」という意図が感じられる。今回はPHPペーパーブックという形で出版された。通勤中に満員電車でも読める軽さとサイズである。

今までの書籍と違うのは、新型インフルエンザに対応している薬(タミフル・リレンザなど)について、かなり詳細に書かれていること、そして現在厚労省が提案している「軽症者は自宅療養」の自宅療養について、どのようにしたら良いかを詳細に書いていることだ。

「玄関先でコートはどうしますか?患者の服の洗濯は分けたほうがいいのですか?排泄物はどう処理すればいいのですか?車に乗るときは防護用器具を身につけなくても良いですよね!?・・・」 本書ではこんな疑問に対して答えてくれている。新型インフルエンザ発生後の生活について詰めて考えていくと、あれはどうなのか、これはどうなのかと次々に疑問が出てくる。この本で解決できることは多いかもしれない。

また、厚生労働省でも問い合わせ電話窓口があるので利用して欲しい。丁寧に答えてもらえる。


新型インフルエンザ等感染症相談窓口

新型インフルエンザ・季節性インフルエンザ・
動物由来感染症・性感染症などについて相談にお応えします。

電話番号 03-3234-3479 [委託先:(株)保健同人社]
受付時間 午前9時〜午後5時(土・日・祝日を除く)



歴史をつくった7大伝染病

岡田晴恵著
PHP研究社  定価1,400円+税

この本では、主にヨーロッパの歴史の中で流行してきた伝染病(ペスト、コレラ、梅毒、インフルエンザ・・など)について、歴史背景や社会の動きの側面から語られている。

今、岡田氏は新型インフルエンザの知識を広めようと様々な本を書いておられるが、この本は最後の最後に数ページ新型インフルエンザが出てくるだけで、あとは他の伝染病の話である。しかし、逆にそれが意図されたことなのだということが感じられる。今の日本では「新型インフルエンザはおこらないかもしれない」という風潮も見られるが、この本では「過去の歴史ではこんな伝染病があったのだよ、だから新型インフルエンザも、それと同じように大変なものなんだよ」という過去からの時間の一貫性を伝えているように思える。

私たちは、今ここにぽんっと出てきたわけではなく、過去からのつながりの中にいる。現代日本はとても綺麗で発展していて、伝染病からは縁遠いような気がしてしまうが、ウィルスは変わらずに世の中にいるし、人間の機能もそれほど昔と変わっていない。

この本は、便利さや綺麗さの影で忘れられている生物としての人間や、ウィルスについて気が付いたり考えたりする良い機会になるかもしれない。

病気の魔女と薬の魔女

岡田晴恵著
学習研究社  定価1,500円+税

感染症研究所の岡田晴恵先生による最新刊!
岡田氏は幼いころから魔女に憧れ、留学先のドイツはマールブルクで、ますますその魔女熱に拍車をかけたそうです。

最近日本でも新型インフルエンザ対策で学校が対策に乗り出し始めました。岡田氏は日本の子どもに新型インフルエンザの「知識のワクチン」を与えたいと思い、その魔女の世界を使ってわかりやすく科学ファンタジーとして新型インフルエンザを伝える本を書こうと思ったそうです。

新型インフルエンザの話ではありますがマラリア・コレラ・ペストといった感染症の解説も入っています。海外では、鳥インフルエンザが出ても子どもが鳥と遊んだり、家族が患者の側にマスクもしないで付いていたりということがあります。でも小さいころからこういう本があって自分で理解できて考えて行動できていたら・・・!さらに、新型インフルエンザは、高齢者よりも子どもの死亡率が高くなると予測されています。そういうことから、この本はとても価値があり、多くの方に手にとって頂きたいものです。

ルビがあり小さなお子さんも読めますので、是非親御さんからお子さんに、お祖父さんお祖母さんからお孫さんにプレゼントして頂きたい一冊です。


NHKスペシャル
最強ウィルス 新型インフルエンザの恐怖

NHK「最強ウィルス」プロジェクト
日本放送出版協会  定価1,000円+税

2007年12月に放映された、NHKの番組「最強ウィルス」に大幅加筆された迫真のリポート。
序章  最強ウィルス
第1章 間近に迫っていたパンデミック
第2章 変貌するウィルス
第3章 世界各国の闘い
第4章 命をめぐる決断
第5章 日本は大丈夫なのか?
第6章 パンデミックは、どこまで迫っているのか?
終章  国際協力に向けて

2006年、現実にインドネシア・スマトラ島の村で、親族7名の集団感染が起きた。その時、あと一歩で感染者からパンデミックが起こる可能性があったこと、それを食い止めようと現地の医療関係者が奔走したことが詳細に報告されている。第3章では、アメリカが国家をあげて猛烈に対策を推し進めているその内容が細かく報告されている。その対策にはアメリカが多額の予算を投入し、なんとしても自国でのパンデミックを食い止めるという決意が感じられる。第5章では、日本の、国としてのパンデミック対策の中途半端さが浮き彫りになる。

日本では行動計画は作ったが、実際の医療体制の整備や学校閉鎖など対策のひとつひとつに具体性がなく「絵に描いた餅」だという。そんな中、東京都品川区は早くから新型インフルエンザ対策を推し進め、発熱センターを設置する計画をもっている。その具体的な訓練の模様も報告される。

しかし地域の拠点となる病院ではベッドが空いていない、特に重症となるであろう子どもを見られる小児科医の数が足りない、人工呼吸器などの機械が足りない、足りない分を補う為の予算が足りない。これでは病院が出来ることは限られる。国がもっと具体的に、予算や行動について牽引して欲しいと思った。
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日本を襲ったスペイン・インフルエンザ
日本を襲ったスペイン・インフルエンザ
人類とウィルスの第1次世界戦争


速水 融 著
藤原書店
   定価4,200円+税

 〜帯から〜
医療関係者・行政担当者必読!新型ウィルス被害予想の唯一の手がかり。
関東大震災の5倍の人命を奪った、”新型”インフルエンザ。


1918年のスペイン・インフルエンザについては、世界でも資料が少ないそうだ。その中でこの本の著者は、日本の当時の新聞を1府県1紙の方針で収集に努め、ほぼ70%の府県の新聞記事を集めてこの本を刊行した。

 著者によれば、 スペイン・インフルエンザの発生源がどこだったのかは今も分かっていない。しかし渡り鳥である可能性は高く、もしそうならば、昔も今も渡り鳥に対しては打つ手はないので、十分に警戒するしかないという。

 スペイン・インフルエンザは1918年に現れた。当時は第1次世界大戦が起こっており、アメリカ軍では10万人が死亡しているが、そのうち8割がスペイン・インフルエンザで死亡したといわれている。にも関わらず戦争の陰でスペイン・インフルエンザは忘れられていった。

 日本でのスペインインフルエンザは3回やってきた。第1波は、死亡には至らない症状の軽い「先触れ」で、その時罹患した力士が何名も巡業中に高熱を出して休んだ。しかし彼らは一種の免疫を得たのか、翌年の流行を無事乗り切り、その後もこの場所のように休むことはなかった。1918年秋に第2波が日本に上陸すると、11月、京都・大阪・神戸の3市は東京市・名古屋市をかなり上回り、最大の被害地となる。大阪市では火葬場は一日通常70〜80体のところが120体になり死体を堆積せざるを得なくなったり、地方へ死体を送ったりした。それから1919年5月頃までに26.6万人の死者を出した。第3波は1919年12月から1920年5月頃までで、死者は18.7万人だった。

 このインフルエンザは一定の地域で3週間〜1ヶ月間猛威をふるうと次の場所へ移って行ったが、決して1年で終わらず、流行を繰り返し、内容を変えていった。

当時とられた対策で効き目があったとすれば、、マスク着用、衣類・寝具の日光消毒、人ごみに出ない、うがい・手洗いなど。ほかには厄よけの札を貼ったりしたが、なんら効き目がなかった。またこぞって打ったワクチンも効き目がないものだった。

 結論として著者は、決して現代は当時よりも有利ではなく、飛行機の登場や人口過密によって感染するリスクはかえって高いと警告する。そして日本は過去にスペイン・インフルエンザを忘れ、そこから何も学んでこなかったこと自体を教訓とし、今こそ過去から学ばなければならない、と締めている。

史上最悪のインフルエンザ
史上最悪のインフルエンザ 

忘れられたパンデミック


アルフレッド・W・クロスビー 著 西村秀一訳
みすず書房
   定価3,800円+税


 1970年代初め初版。2004年邦訳版出版。非常に多くの死者を出しながら現在はほとんど忘れられている、1918年のスペイン・インフルエンザについて書いた本。著者は米国史、地政学、生態学的歴史学専門のアメリカ人。403ページに渡る厚い本だが、新型インフルエンザの脅威を抱える現代の教訓になることが多く書かれている。この本が、以降のインフルエンザ探しに影響を与え、1997年にアラスカの永久凍土から遺体を取り出して分析する(埋葬されていた遺体から肺組織を取り出し、スペイン・インフルエンザを検証した)きっかけになったといわれる。

訳者あとがきより「1918年の8月から1920年の7月までの2年間で、当時の日本の人口約5500万人のうち約2350万人がインフルエンザに罹患したことになっている。この間38万5000人が、インフルエンザないし肺炎で亡くなっている。〜中略〜死亡者があまりにも多く、葬儀屋は人手不足となり、火葬が間に合わず遺体がたまり、生命保険業界が大恐慌をきたしたという。インフルエンザ・パンデミックは(20〜40年間隔で)20世紀中にも1918年を含め3回起きており、今後いつまた起こってもなんの不思議もない。」

 スペイン・インフルエンザは第3波まであったのだが、その第1波は、第1次世界大戦中の世界を襲った。しかしその時点では、まだそれほどの被害はもたらさない軽い病気だった。その後世界で最初に、非常に感染力の強いスパニッシュインフルエンザ第2波に見舞われたのは、マサチューセッツ州ボストンだった。
 
 スペイン・インフルエンザ流行当時、米国のサンフランシスコ市では、マスク着用条例が施行された。条例では「人が集うところでは常にマスクをしていなければならない」「マスクはガーゼ4枚重ねのもの」で、「ひもはしっかり結ぶ」などと定めていた。マスク着用条例施行当初はインフルエンザ患者の報告数が目に見えて減ったが、マスクは不快で眼鏡は曇るし、たばこは吸えないなど、市民が着用し続けることは難しかった。着用条例違反で逮捕者まで出る厳しさであったにも関わらず、着用を義務づけなかった地域と同じような流行の記録が残されている。

 また当時、フランスへ向かう兵士の船ではインフルエンザが蔓延し、遺体を本国に返すことも出来ずに海葬をしたり、悲惨な状態になっていた。インフルエンザに感染した者は、細菌感染による痛みや鼻出血があり、また頭髪がみな抜け落ちてしまったりした。

 スペイン・インフルエンザは1918年早春に症状の軽い病気として出現し、その年8月に変異して最悪の致死性をもったインフルエンザとなった。その後1919年春に衰え、1920年1月〜2月に再びぶり返した。若年成人の死亡率は、1920年まで高いままだった。生命保険会社は若年成人の死亡率があれほど多くなるとは予想していなかった。その原因が何故だったのか、完全に満足に満足のいく答えは未だに出されてはいない。

 しかし、何故このインフルエンザが人々の記憶から抜け落ちてしまったのか。一説には、第1次世界大戦中だったために、死があまりにも身近なものとなってしまったからという説がある。またインフルエンザがあまりにも早くやって来てあっという間に去っていき、致死率は2〜3%だったので、印象に残らなかった、という説もある。(ちなみに、今恐れられている新型インフルエンザは、致死率60%である。) 
 
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新型インフルエンザH5N1 新型インフルエンザH5N1
岩波科学ライブラリー139

岡田晴恵 田代眞人 共著
岩波新書
   定価1,200円+税
2007年12月20日出版

この本は両著者の既刊に比べて、科学的な記述が多い。沢山のグラフや表を用い、新型インフルエンザに関する様々な疑問を証明している。「新型インフルエンザ対策は何を根拠に推進されているのか?」「「本当に発生するのだろうか?」という疑問に答えてくれる本であると思う。

序章 迫られる対策

新型インフルエンザとは?/危機管理・安全保障の問題/世界同時流行?/スペインかぜインフルエンザ流行とは比べものにならない/求められる綿密な行動計画と事前準備/40歳未満に重症化/日本での死亡者数210万人!?

第1章 H5N1型ウィルスの病原性の特性
H5N1型インフルエンザの拡大/A型インフルエンザは人獣共通感染症/鳥インフルエンザウィルスにおける弱毒型と強毒型/強毒型鳥インフルエンザの封じ込め/H5N1型鳥インフルエンザウィルスの宿主域拡大/感染源はニワトリだけでない/タンパク源として重要だからこそ/世界中のH5N1型対策/徐々に病原性が高くなる/サイトカインーインフルエンザ症状/H5N1型鳥ウィルスの人での症状/H5N1型ウィルスによるサイトカイン・ストームの治療

第2章 病原性を規定する分子機構
HAの構造で強毒性が強まる/ヒトに対する病原性/インフルエンザではない!/鳥型からヒト型への変化/インフルエンザウィルスの構造/インフルエンザウィルスの複製/インフルエンザウィルスは変異しやすい/連続抗原変異?/過去の流行ウィルスは消えていく
<コラム スペインかぜインフルエンザの惨禍を検証する>

第3章 ヒトへの感染のメカニズム
ヒトにもある鳥型ウィルスレセプター/鳥型とヒト型の違いを規定する体温/ウィルス分離方法の違いによるウィルス性状の変化/H5N1型ウィルスの流行と進化/クレード1のウィルス/クレード2のウィルス/クレードとヒトの病態/ヒトからヒトへの伝播の症例/鳥の間ではすでにパンデミック/ヒトの感染数は氷山の一角?/インドネシアにみるリスクコミュニケーションの重要性
<コラム インドネシアのWHPへのウィルス検体提供拒否問題>

第4章 新型インフルエンザH5N1型とたたかう
インフルエンザは根絶できない/H5N1型新型インフルエンザの強い病原性の保持/ウィルスの系統の違いとワクチン作製/アジュバントの必要性/プレパンデミックワクチン/現在の日本のワクチン計画/不作為は許されない/ワクチンにおける問題点/DNAを用いて遺伝子操作を行う/免疫原性の低さへの対抗策/タミフルの有効性/タミフル耐性ウィルスの出現/タミフルをどのように備蓄するか
<コラム WHOの勧告と未解決問題> 

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H5N1型ウィルス襲来 H5N1型ウィルス襲来
  新型インフルエンザから家族を守れ!

岡田晴恵 著
角川SSC新書  定価720円+税


国立感染症研究所研究員の岡田晴恵氏による最新刊。
第1章では宮崎県での鳥インフルエンザの処理のニュースを取り上げ、かぜとインフルエンザと新型インフルエンザの違いから、鳥から人へ感染する経緯、いつどの段階で「新型」と呼ばれるものになるのか、世界的大流行に対して今はどの段階にあるのか等々順を追って分かりやすく書かれている。

第2章では、海外で新型インフルエンザが発生した様子をシュミレーションしていく。高速大量輸送の実現した現代、海外で発生した場合は日本もすぐに厳戒態勢にならなければならない。新型インフルエンザは、発病してから体外にウィルスを排出したSARSと違って、感染し発病するまでの潜伏期である発病1日前からウィルスを体外に出す。だから本人が知らないうちにウィルスをまき散らすことになる可能性が高く、入出国の検疫で食い止めることは極めて難しいと言えるのだ。

新型が発生すると、国内では4人に1人が感染すると試算されており、それに伴う物流・経済面での二次的被害・影響も懸念される。2007年3月に出された厚生労働省のガイドラインでは、国民に2週間分の食糧備蓄が呼びかけられているが、最初の流行は6〜8週間続くと見られており、本書では最低でも、2ヶ月程度は買い物の為の外出はしなくてもいいように用意しておくことがすすめられている。また、備蓄品について食料品・日用品、それと医療品に分けて、絶対に使ってはいけないものも含めて詳細に言及されている。そしてその備蓄品に関しての家族間の情報の共有が大事であることも書かれている。

第3章では、国内で新型インフルエンザが発症した場合をシュミレーションしている。新型インフルエンザのワクチンが出来るには、日本では新型発生から1年かかると言われており、それまでは個人の予防対策が重要になってくる。学校ではインフルエンザの罹患者数によって休校を決めるのではなく、感染する前に休校を決めることが最善である。学校だけはなく、企業の取り組みや予想される医療機関の状況についても触れている。

第4章では、実際に自分や家族が新型インフルエンザに罹った場合にどうしたらいいのか書かれている。まずは医療機関には駆け込まず、地域の保健所に電話をして説明を聞くこと。そしてその後の家庭での看護の仕方について詳しく言及している。

第5章では感染が広がりパニックになってきた街の様子をシュミレーションし、ゴミ収集が出来ない場合の衛生面や、ワクチンと薬の備蓄などについて触れている。

最後にQ&Aとして、新型インフルエンザはいつか必ず発生すること、冬にだけ発生するのではないこと、などが書かれている。

全国民にワクチンを備蓄しているスイスとくらべ、現在日本では1000万人分の備蓄しかない。しかも、その接種については国が決めた優先順位があり、一般国民すべてに備蓄ワクチンがまわってくるとは思えないという。新型インフルエンザ来襲時の日本の経済損失は、最初の1年でGDP4%減の20兆円減という試算もあるのに対し、国民全員分の新型インフルエンザワクチンの費用は1700億円。国による早急なワクチンの供給やワクチンの具体的計画の策定が必要である。
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新型インフルエンザ・クライシス  
 
新型インフルエンザ・クライシス

  外岡立人 著

 岩波ブックレットNo.682  定価480円+税

 2006年8月出版。著者は、北海道大学医学部小児科学教室で血液学、免疫学、感染症学を研究。2001年4月から小樽市保健所長。2005年1月より、ホームページ「鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集」主宰。海外の情報を翻訳して更新している。
 日本のマスコミで流れている新型インフルエンザの情報は、世界のたった1割であると言われる。言葉の壁があることは否めないが、その前に「新型インフルエンザ」なんて来ない、知らなくてもいい、どうにかなる、という風潮がないだろうか。また、テレビで流れていること以上に求めない、日本国民のマスコミへの依存もあると著者は警戒する。この本は、海外の状況を分かりやすく知らせてくれ、外国語が読めなくても海外の事実が分かる。
 世界中に広がっている鳥インフルエンザ。本書を読んで「こんなに多くの国に広がってしまったのか。」と知る人も多いだろう。また、2003年に既に中国で鳥インフルエンザで死亡した患者がいたこと、世界的ウィルス学者であるロバート・ウェブスター博士が2006年のシンガポールでの講演で「今回の鳥インフルエンザは最悪のウィルスで、これがパンデミックを引き起こしたら神に救いを求めるしかない」と言ったこと。 また家庭における対策として、米国の「個人と家族のためのインフルエンザ対策チェックリスト」が参考になるとして紹介されていたり、外来対応と感染拡大予防対策も載っている。
 薄いが価値のある本である。また著者のホームページは随時更新されているので、こちらも是非チェックして頂きたい(当HPの「リンク」をご覧下さい)。下記で紹介している書籍の著者:岡田晴恵氏も、この著者のホームページを評価している。
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H5N1  H5N1
 
強毒性新型インフルエンザウィルス
  日本上陸のシナリオ

  岡田晴恵 著

 ダイヤモンド社 定価1,600円+税

      2007年10月下旬、ゲマイン共和国で新型インフルエンザ発生・・・
この本は、新型インフルエンザをめぐる現実を基に書かれた、シナリオである。
ある国で新型インフルエンザが発生した。そこにいる駐在員が飛行機で帰ってくる。空港では水際で食い止めようと検疫が行われるが、発症1日前から菌を排出する新型インフルエンザでは、検疫で見つけるのは困難だ。そこをすり抜けた患者は、自宅に帰り、翌日会社に出勤、朝礼で話す。そして・・翌日発症。症状は呼吸器に止まらない全身疾患で、下痢、下血、吐血も伴う凄まじいものだ。

 そして彼の家族はもとより、彼と通勤途中で接触した人、会社でわずかな時間でも側にいた人は感染する恐れが高い。新型インフルエンザウィルスは強毒性で、電車内の1人の咳で、急速なスピードで車両の端まで飛散するのだ。日本ではマスクを推奨しているが、実は海外ではそれほどの効果は期待されていない。わずかな隙間から感染する可能性もある。また多少調子が悪くても会社に行く。これは日本では美徳かもしれないが、新型インフルエンザにおいては、感染を広げる行為でしかない。

 医療機関では患者が殺到し、薬は足りなくなる。現在日本国では1000万人分のワクチンしか備蓄できていない。それは全国民に対して13人に1人の計算で、しかも接種においては医療関係者などから接種され、とても一般人全てには届かない。

 では私達はみすみす死を前にして手をこまねいているしかないのか。 著者は、新型インフルエンザが発生したら、とにかく家から出ないこと、その為に2ヶ月分の備蓄をすることを力説している。しかし物流が止まってしまっては備蓄も出来ない。今から準備しておくことが大事だ。2ヶ月というと大げさに感じるかもしれないが、ペストの流行したヨーロッパでは、今も家には食庫がある。家に籠城して、流行が終息するまでやり過ごすのだ。

 あとがきに著者が書いている。
 今は1000万人分しかプレパンデミック・ワクチンが無い。あと1700億円出せば、日本の1億3000万人分のワクチンが出来る。さらに例えば2億円出せば、余剰分を近隣のアジア諸国に分与できる。
 日本では何か起こるたびに「危機管理」と言われるが、新型インフルエンザに関しては、起こってからでは、本当に遅いのだ。どうか国に、いますぐ動いてもらいたいと願ってやまない。それと同時に、1人1人が危機意識を持って、自分の身を守るべく対策を練る時期に来ているのではないだろうか。
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パンデミック・フルー
パンデミック・フルー


 岡田晴恵著

 講談社
  定価1,000円+税


〜帯から〜
阪神大震災の300倍、予想死者数210万人!
日本人が知らされていない超強毒ウィルスの正体とは?

自分と家族の命を守るための必読書!!


新型インフルエンザの警笛を鳴らし続けている国立感染症研究所の岡田晴恵氏が、2006年に記した著。「新型インフルエンザの恐るべき正体」「90年前の新型インフルエンザ〜スペインかぜの被害」「日本崩壊〜最悪のシナリオ」「新型インフルエンザ防御マニュアルQ&A」の4章に分け、新型インフルエンザがどのようなものかを解き明かす。

この本で特に注目すべき点は、まずは第4章のQ&Aだろう。新型インフルエンザが発生した後、実際の生活で何に注意をしたらいのか、具体的に聞きたい部分に答えている。そして次の注目点は、スペイン風邪の被害について詳しく書いているところだろう。過去に繰り返されてきたインフルエンザの変異を知ることで、今回問題の新型インフルエンザについてもより深く知ることが出来る。

また、新型インフルエンザが発生すると社会の動きはどうなるのか、最近出版された「H5N1強毒性新型インフルエンザウィルス  日本上陸のシナリオ」に続く道筋が見える。著者からは新型インフルエンザについて何冊も本が出ているが、この本からは、どうにかしてこの脅威を知らしめなければ、という気迫さえ感じる。
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 強毒性新型インフルエンザの脅威
強毒性新型インフルエンザの脅威

速水 融・岡田 晴恵 著

藤原書店  定価1,995円

新型インフルエンザに対する危機感が欠如する日本に対し警鐘を鳴らす。インフルエンザは単なる「重いかぜ」ではない。目前に迫る恐るべき危機的状況を認識するため、インフルエンザ流行の「過去」と「メカニズム」を説いている。
 メカニズムを理解して初めて分かる、目前に迫る恐るべき危機−世界のどこかで出現すれば、1週間程度で日本に襲来し、SARS以上の驚異的伝播力で、国内侵入阻止はほぼ不可能であるという。
 強毒性H5N1型鳥インフルエンザの致死率は50%以上。従来の「インフルエンザ」概念を超える全身重症疾患。罹患者・死亡者の同時大量発生が招く社会機能の破綻。次なる「新型」は、「1億5千万人の死者」(国連)という予測もされている。国内外の現状に目を向けざるを得なくなる必読書。

鳥インフルエンザの脅威
鳥インフルエンザの脅威
 
本当の怖さはこれからだ!
岡田晴恵 著
国立感染症研究所 
田代眞人 監修


河出書房新社  定価1,050円 

 1万羽を超えるニワトリの死体が次々と袋に詰められる。高病原性鳥インフルエンザのショッキングなニュースがメディアを騒がせ、国民の食生活に大きな不安を与えたのは、昨年末から今年初めにかけての出来事だ。
 しかし気温が上がり湿度が高くなる季節を迎え、インフルエンザは影を潜めた。あの頃の不安もすでに過去のものになりつつある。だが、本当にそうなのだろうか。
 本書では、むしろこれからがウイルスの恐ろしさを警戒すべき時だと警告している。なぜなら、鳥類間での大流行が、人間へと感染する“新型ウイルス”誕生の前触れであったかもしれないからだ。
 ウイルスは増殖を繰り返すうち、突然変異を起こしやすい性質を持つようになる。さらに、その中には種の壁を乗り越えて人への感染能力を獲得したものが生まれる可能性が高いというのだ。
 昨年から流行した鳥インフルエンザは、強毒性で100%の致死率を示した。「全身感染の特徴があった昨年のウイルスが人への感染力を獲得すれば、世界的に最悪の事態が予想される」という国立感染症研究所員の著者。本当の恐怖はこれから始まるのかもしれない
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感染症は世界を動かす
感染症は世界史を動かす        

岡田晴恵 著

ちくま新書  定価861円 

 微小な細菌やウイルスなどの病原体が、そのときの政治や社会に与えた影響につい て、私たちの認識はどこかあやふやである。たとえば中世ヨーロッパに壊滅的な打撃 を与えたペストについても、なぜ始まり、どのように終わったかについて、はっきり した結論が得られているわけではない。では、人類はその見えない恐怖にどう対処し て来たのだろうか。そして、目の前の最大の脅威=新型インフルエンザとは何か。ハン セン病、ペスト、梅毒、結核、スペインかぜなど、人類史を大きく動かした感染症の 歴史から、新型インフルエンザの脅威とその対策を考える。

感染症とたたかう 感染症とたたかう 
 -インフルエンザとSARS- 


岡田晴恵、田代眞人著

岩波新書  定価740円+税

 近い将来、必ず起こると予想されている新型インフルエンザによる大流行。鳥インフルエンザがなぜこれほどまでに騒がれるのか、その理由はこの新型インフルエンザ大流行の元になるかもしれない要素をかなりの確率でもっているからに他なりません。

鳥のウィルスがなぜ人間に感染するのか? 本来、鳥に感染するインフルエンザウィルスと人に感染するインフルエンザウィルスでは、レセプター(受容体)が違うので鳥のウィルスが人間に感染するという事はないということです。ただ、このインフルエンザウィルスは、かなりの確率で突然変異が起こるということで、現にベトナムなどでは鳥インフルエンザに感染し、死亡した方もいます。

今回のトリインフルエンザウィルスは人から人への感染にはいたっていないということですが、これが人から人へ感染するような突然変異ウィルスが発生すると、大流行にいたると言われています。しかも、今回日本のにわとりに感染していたH5N1型というのは、トリ強毒型とよばれるウィルスで、もし人に感染すれば通常のインフルエンザの症状とは違い、多臓器不全と高い致死立をもたらすというものでした。これはHA蛋白解裂活性化部位における構造の違いにあり、通常のインフルエンザウィルスが上気道部位にしか感染できないのに対し、この型はどの臓器に対しても感染できる力をもっているというところが非常に怖いウィルスであるということです。

また、なぜ毎年インフルエンザワクチンを接種しなければならないかについても書かれており、日本人がもっている誤ったインフルエンザワクチンに関する知識などにも言及しています。

この他、昨年中国や台湾、シンガポール、香港、カナダなどで流行したSARSや、麻疹や風疹についても書かれています。日本は運良くSARSの発症はありませんでしたが、交通手段が発達した現代では、油断のならない感染症の一つです。麻疹は数年前まで一度ワクチン接種をすれば終生免疫がつくと思われていましたが、そんなことはないということもわかってきました。

麻疹は、日本国内だけで毎年20〜30万もの人が感染・発症し、そのうち少なくとも80〜100人の人が死亡していると推定されています。一度もワクチン接種を行わないまま成人した人が感染すると、子どもがかかるよりも重症化しやすく、注意が必要とのことです。大人の麻疹は症状が子どものものとは違うことが多いそうで、発熱、発疹の他に消化管出血や肺炎、脳炎を主徴としてくることも多いそうです。

スペイン風邪は、前回の大流行で世界に拡がるのに7〜10ヶ月を要したとのことですが、今回もし新型インフルエンザの大流行が起こればわずか4日しかかかからず世界中に拡まると試算されているのだそうです。
いろいろなことが便利になった分だけ、危険が拡がるのも早くなっています。インフルエンザの場合は、病院関係者にもすぐ感染することが考えられ、大流行になった時病院に行ったとしても、十分な手当を受けることができない可能性も考えられます。日頃から自分の身体は自分で守ること、免疫力を高めることを徹底することしか、身を守るすべはないようです。
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