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インフルエンザ関連CLIP
 
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2005年以前掲載分

2007年
8月11日
インフルエンザ異常行動調査で新たに研究班
厚生労働省は10日、異常行動のあったインフルエンザ患者の症例を分析する新たな研究班(主任研究者、岡部信彦国立感染症研究所感染症情報センター長)を設けたと発表した。
 インフルエンザ治療薬タミフルの服用後に飛び降りなど異常行動が起きた事例を分析するため、インフルエンザと思われる疾患の影響で、異常行動がどの程度起きているか把握するのが狙い。重度の異常行動は全国約11万カ所のすべての医療機関から、軽度の異常行動は全国約5000カ所のインフルエンザ定点医療機関から情報を集める。
 また、タミフルの服用と異常行動の関係を調べる研究班について、タミフル輸入販売元の中外製薬から寄付金を受けていたために研究班から外れた横田俊平横浜市立大教授らに代わり、広田良夫大阪市立大教授(公衆衛生)らが研究を引き継ぐことを明らかにした産経新聞
2007年
8月3日

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新型インフル、6段階で封じ込め 大田原市(栃木県)が独自案

 大田原市は、新型インフルエンザが発生した場合に備え、独自の「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定した。
 国や県は既に行動計画をまとめているが「市も住民を守るために具体的な対策を考えていく必要がある」(千保一夫市長)と判断した。
 計画では国の行動計画に準じて、新型インフルエンザの発生状況を世界的な大流行が起こる前からピークを迎えるまで状況に応じて6つのフェーズ(段階)に分類。さらにフェーズごとに国内で新型インフルエンザが発生していない場合(A=国内非発生)と国内で発生した場合(B=国内発生)に細分化して行動計画を定めた。 
 発生した場合、5班体制でサーベイランス(情報収集)や予防・封じ込め対策−など総合的な対策を推進。「国外でヒトからヒトへの感染が確認された」(フェーズ4A)の早い段階から、千保市長を本部長とする対策本部を設置。市民に不要な外出を避けるように呼びかけるほか、ワクチンの接種態勢の整備や情報提供などを行う。
 また、行動計画の中では市人口の25%(1万9735人)が罹患(りかん)し、流行が8週間続くと想定した場合、医療機関を受診する患者数を1万819人と予測している。
 市では9月に行動計画の具体的なマニュアルを作成するほか、今後行動計画を検証するための模擬訓練なども予定している。

産経新聞

2006年
9月9日

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新型インフルエンザ 人→人感染 想定し初訓練
政府、12・13日に「机上」で
 世界的な大流行の可能性が指摘されている新型インフルエンザの発生に備えて、政府は12、13の両日、人から人への感染を想定した初の机上訓練を関係省庁で実施する。昨年11月に政府がつくった行動計画通りに対応できるかなどを検証し、各省庁間の連携を確認する。
 訓練に参加するのは、内閣府や厚生労働省をはじめ19省庁府などの担当者。12日午前、訓練のシナリオを内閣官房からファクスと電子メールで送付。これを受けた各省庁の担当者は行動計画に沿って対応し、指定された時間内に内閣官房に情報収集の結果などを送り返す。翌13日は、訓練の結果を分析するという。
 新型インフルエンザへの変異が懸念されている鳥インフルエンザは、今年に入って人への感染がアジアから中近東に拡大している。机上訓練では、現状より一段上の人から人への感染が確認された事態に対応できるかなどを試す。
 政府の行動計画は、平常時から発生、流行に至るまでの状況を6段階で想定。発生ケースを国外と国内に分けたうえで、治療薬タミフルの備蓄(厚労省)、家禽(かきん)の発生予防対策(農林水産省)、渡航情報の発出(外務省)など関係省庁の役割を示している。新型インフルエンザが国内で流行する最悪の事態となった場合、死亡者は17万〜64万人にのぼると予測している。

朝日新聞
2006年
8月22日
鳥インフルエンザ致死率58% ワクチン開発急務
 鳥インフルエンザ(H5N1型)による人への感染が止まらない。インドネシアで46人目の死者が20日に確認されるなど、世界の累計死者数は141人、致死率は58.8%にのぼる。ウイルスが変異し、人から人への強い感染力を持つ新型インフルエンザが発生してもおかしくない状況だ。世界各国の医薬品メーカーや研究所は新型インフルエンザ発生に備え、ワクチン開発にしのぎを削っている。
 英医薬品大手グラクソ・スミスクラインは今年7月、H5N1型の人へのワクチンについて臨床試験の結果を発表した。同社独自の免疫増強剤を使った方法で作ったワクチンを400人に対して接種し、うち80%で有効な結果を得たという。同社は、今年中にワクチンの承認申請を行うとしている。
 日本では国立感染症研究所と国内4社のワクチンメーカーが共同で、グラクソ・スミスクラインとは別の免疫増強剤を使った方法で作ったワクチンを開発中だ。現在、初期の臨床試験の段階で、安全性と効果を確認できたという。今後、治験者を増やし、来年には承認申請する予定だ。
 発生すれば世界を危機に陥れる新型インフルエンザのワクチン開発は人類の共通課題になっている。ブッシュ米大統領は昨年10月、欧米の大手医薬品メーカーに早急に開発協力するよう求めた。
 現在、開発中のワクチンはすべて2004年、ベトナムの感染患者から分離したウイルス株をもとにしている。
 しかし、昨年後半から今年前半にかけ中国、欧州、アフリカに広がっているウイルスや、現在ハイペースで死者がでているインドネシアのウイルスは、ベトナムのものとは系統が違っている。世界保健機関(WHO)は今月18日、インドネシアを含め別の3種類のウイルス株について新たにワクチン開発する必要性を指摘した。
 国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第3部長は「いつ、どのウイルスが新型インフルエンザになるか分からない。開発中のワクチンが新型に効果があるかどうかも不確定だ。しかし、実際に発生したときに即応できるよう、インドネシア株も含めあらかじめ可能性の高いワクチンを開発し、備蓄する必要性がある」と話している。
 インドネシアでは今月、ベトナムの死者数(42人)を上回り世界最多となった。20日に確認された死者が住む西ジャワ州の村では10人以上が感染を疑われており、現在人から人への感染が起こったかどうかWHOの専門家が調査中だ。
(杉浦美香)


産経新聞
 
2006年
8月19日
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社説:鳥インフルエンザ 万一の備えを怠るな
 鳥インフルエンザ(H5N1型)の流行でインドネシアでは既に44人が亡くなるなど被害が広がっている。強毒性の新型に突然変異する恐れが強まっており、わが国も備えを怠ってはならない。

 世界保健機関(WHO)によると、2003年にベトナムで始まった今回の流行はその後南北アメリカや豪州を除く世界各地に広がり、これまでに10カ国で236人が発症し、138人が亡くなった。このうちベトナムでは昨年までに93人発症し、42人死亡したが、ことしに入り制圧に成功し、被害は出ていない。
 インドネシアでは昨年7月に初患者が確認されて以来、昨年17人、ことしはすでに39人が発症し、合計死亡者は今月上旬までに44人に達し、世界最多となった。
 鳥インフルエンザは通常の生活ではヒトに感染しない。生きた鶏などと濃厚に接触する環境で大量に病原体のウイルスを吸い込んだ場合に感染する。それでもほとんどが鳥からヒトへの感染にとどまってきた。
 WHOがインドネシアでの流行に警戒を強めているのは、家族内に限定されているとはいえ、ヒトからヒトへの感染が7人確認されたことだ。ベトナムでもこれまでに同様のケースで2人感染している。
 これらの患者から検出されたウイルスは、まだ変異が小さく、ヒトからヒトへと容易に感染する新型には相当しないが、新型出現の可能性が一段と高まったといえよう。
 新型が出現した場合、その封じ込めに失敗すると、航空機の乗客を通じ、短期間に世界中に伝播(でんぱ)する可能性がある。そうなると1918−19年のスペイン風邪のように未曾有の被害がもたらされる恐れがある。
 それだけに、日ごろからの緊密な国際協力が欠かせない。インドネシアの農村部では鶏の多くが放し飼いで、住民は感染しやすい状況に置かれている。今回のように感染した鶏が確認されても、殺処分は予算不足などのため進んでいない。日本を含めた先進国は被害拡大防止のために十分な支援を行う必要がある。
 わが国は昨年11月に「行動計画」をつくり、治療用の抗ウイルス剤「タミフル」の備蓄を始めたほか、ワクチン開発、国際協力による新型発生の監視体制の強化などに乗り出した。
 だが、総務省の行政評価局が先月の感染症対策に関する勧告で、新型に感染した患者の移送体制や入院先病院の確保が不十分と指摘しているなど安心できる状況にはない。
 新型がいつ出現しても対応できるように、体制整備を急ぎたい。

東京新聞
 
2006年
7月27日
主張:鳥インフルエンザ 夏も油断してはならない
 インドネシアの鳥インフルエンザ(H5N1)流行が、止まらない。国際社会はインドネシアへの協力と監視を強める必要がある。
 鳥インフルエンザウイルスは、人の新型インフルエンザウイルスに変異する可能性がある。H5N1ウイルスは、その危険性が高く毒性も強い。新型が出現すると、人類が新型に対し、免疫(抵抗力)を持たないから、感染が人から人へとあっという間に広がっていく。
 その結果、「世界で最大7400万人、日本国内でも17万から64万人が、感染死する」と世界保健機関(WHO)や厚生労働省は推計している。
 インドネシアは、H5N1による死者が42人に達し、死者数はベトナムと並んで世界最多だ。感染者数はベトナムより速いペースで増えている。
 感染症の専門家は「香港やベトナムの経験からニワトリを大量処分しないと流行を抑え切れない。それなのにインドネシア政府は予算不足を理由にあまり動いていない。国民もニワトリの死に慣れてしまったのか、危機意識が低い」と指摘する。
 そのうえ、2年前のインド洋大津波、今年5月のジャワ島中部地震、7月のジャワ島南岸の津波…と立て続けに被害に遭い、感染症がはやりやすい状況下にある。
 一方、日本では冬が終わっても今年はインフルエンザの流行が続き、福岡や沖縄では5月に学級閉鎖まで起きた。夏場になってその規模は小さくなってはきたものの、流行はまだ続いている。昨年も夏の沖縄で大流行して問題になった。「インフルエンザは冬が相場」との考えは捨てた方がよい。
 先の主要国首脳会議(G8サミット)では「鳥インフルエンザによる脅威を認識し、新型インフルエンザの将来の流行に備えて緊密に協力する」との総括がなされた。 各国の協力があれば、地球上どこで新型が発生しても、すぐに確認できる。確認できれば、新型を水際で食い止め、抗ウイルス剤を使いながら時間を稼ぎ、その間、ワクチンの製造・量産態勢を築ける。人類は新型をコントロールできるのだ。 そのためにも、冬も夏も鳥インフルエンザに対する警戒を怠ってはならないのである。

産経新聞
 
2006年
7月25日

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SARSや新型インフルエンザ 検疫所や自治体対策不足 
総務省が改善勧告
 重症急性呼吸器症候群(SARS)や新型インフルエンザなど感染症に対する厚生労働省の検疫所や都道府県の予防対策が不十分として、総務省行政評価局は25日、感染症対策を所管する厚労省に対し、改善を勧告した。
 総務省が、2004年12月から06年2月まで、全国から抽出した24検疫所や都道府県などを調査した。その結果、法で定めている感染力の強い感染症患者を収容する第一種感染症指定医療機関の指定を、47都道府県中、25道府県が行っておらず、うち15県は指定のめどがたっていないことが判明した。
 また新型インフルエンザの患者の入院先を確保しているのは、調査した14都道府県のうち2県だけで、患者の移送体制も未整備だった。
 検疫所は、調査した16検疫所すべてで、患者発見時の対応などをまとめたマニュアルに不備があったほか、厚労省が年1回以上の実施を指示した総合訓練が行われていない検疫所も複数あった。
 総務省行政評価局は「厚労省は方針を示すが、対応は都道府県などに任せきりにしていることが原因」としている。

日本経済新聞
 
2006年
6月24日
鳥インフルエンザ、茨城県が終息宣言
 茨城県の鳥インフルエンザ問題で、県は23日、感染が確認された県内40農場の鶏舎検査ですべての陰性を確認、昨年6月から続いた鳥インフルエンザ感染は終息したと発表した。

日本経済新聞
 
2006年
6月16日
論点 新型インフルエンザ 国あげて脅威に備えよ 岡田晴恵
 先月、インドネシアでH5N1型高病原性(強毒型)鳥インフルエンザの家族内集団感染が報告された。少なくとも7人が感染し、6人が死亡した。人から人への感染が起きた可能性が高い。
 現在流行中のH5N1型は強毒型であり、血流に乗って全身を回り、様々な臓器で増殖し、鶏を1〜2日間で100%殺す。これに感染し、犠牲となった人も、全身感染して過剰免疫反応を招き、多臓器不全を起こしていた。これは、従来のインフルエンザとは明確に区別すべき、全く新しい重症疾患である。
 この強毒型鳥ウイルスから、人間への高い伝播(でんぱ)力を持った新型インフルエンザが出現した場合、犠牲者は世界で数千万〜3億人、日本で210万人(オーストラリア・ローウィー研究所)に達し、経済的損失は世界全体で4.4兆ドル、日本で20兆円を超えると試算されている。
 インドネシアでの事例を踏まえて、5月26日、WHO(世界保健機関)総会は、H5N1型を含む危険性の高い感染症の発生を直ちに通報するよう義務付ける決議を採択した。
 我が国でも今月2日、H5N1型を「指定感染症」及び「検疫感染症」として定め、患者の入院勧告や就業制限、患者に接触した人への健康診断の勧告など、拡大予防策を知事の権限として取れることとなった。
 およそ90年前、弱毒型鳥インフルエンザから変異したスペインかぜが世界的に大流行した。
 このとき日本人の罹患(りかん)率は42%で、45万人もの犠牲者を出した(速水融著「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」より)。昼夜を問わず患者は増え、上野駅や大阪駅では地方の火葬場で荼毘(だび)に付すための棺おけが山積みされたという。
 現代では医療技術や衛生環境が改善されたとはいえ、スペインかぜの当時より人口は3倍以上に増えており、高速大量輸送を背景に、飛まつ、空気感染するウイルスの感染率は飛躍的に上がる。
 自給自足の習慣の無くなった今、物流が止まれば食糧は不足し、電気や水道が止まれば国民生活は破綻(はたん)する。パニックになれば治安の維持すら難しい。新型インフルエンザ問題は、まさに国家危機管理の問題である。
 欧米の先進諸国では、政治リーダーによる直轄型の対策が推進されている。流行時の緊急事態には、厳しい政治決断が求められるのは必至である。すでに、米国政府は国民に10日分の食糧備蓄や流行時の行動制限等を示し、企業や教育機関等の対応も勧告している。
 日本でも医療関係のみならず、企業、教育機関、そして国民1人1人が整えるべき備えを、政治主導で早急に進めていくべきだろう。
 スペインかぜが猛威を振るう中、歌人与謝野晶子は、「横浜貿易新報」の紙上で政府の対応の鈍さに不満を語っている。
 「大呉服店、学校、興行物、大工場、大展覧会等、多くの人間の密集する場所の一時休業を(なぜ)命じなかったのでせうか」
 与謝野一家には11人の子供がいたが、1人が小学校で感染したのをきっかけに、家族全員が次々に倒れた。政府への不満は、子を持つ親として当然の心情だったのだろう。
 今まさに、新型インフルエンザに対して、国、経済界、国民が一丸となって取り組むべき時が来ている。国家危機管理とは、流行していない平常時に、十分な備えを持ったプログラムを発動することである。

岡田 晴恵(おかだ・はるえ)
国立感染症研究所ウイルス第3部研究員 ドイツ・マールブルク大学ウイルス研究所などを経て現職。著書に「感染症は世界史を動かす」など43歳。

読売新聞
 
2006年
6月14日
インフルエンザワクチン 需要最大2280万本 
供給十分の見込み 厚労省予測
 厚生労働省は14日、インフルエンザワクチンの需要検討会を開き、2006年度の冬季に必要な予防接種用ワクチンは昨年度より約100万本多い約2150万−2280万本になるとの予測をまとめた。大人だと4000万人以上に接種が可能。ワクチンメーカー4社の製造量は最大2300万本の見込みで、十分供給できるという。
 国内で高病原性鳥インフルエンザの患者が出た場合、予防効果は見込めないもののワクチン接種を希望する人が大幅に増え、470万本の追加需要が発生する可能性があるとした。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
6月14日
インフルエンザ、夏なのに…流行 沖縄・北海道など
 季節外れのインフルエンザが沖縄や北海道、東北などで流行していることが13日、国立感染症研究所の調査でわかった。流行は局地的だが、患者が増加する地域も。「冬ほどの規模になるとは考えにくいが、十分な予防を」と呼びかけている。
 感染研は全国5000医療機関を定点に、1週間の患者が平均1.0人以上になると全国的な流行と判断。今冬の患者は1月下旬をピークに減り始めたが、4月中旬に止まった。最新の集計では、6月4日までの1週間に、定点あたりの患者は0.99人。例年同期に比べ、かなり高い水準だ。
 都道府県別では沖縄(12.6人)、北海道(4.0人)、岩手(3.7人)、秋田(3.0人)、長崎(2.4人)の順に多く、特に沖縄は、同日までの2週間で患者は3倍に。3小学校で学級閉鎖、注意報も出た。同県は昨年夏も流行があり、この季節の注意報としては2度目だ。
 ウイルスの型は、今冬はA香港型だったが、今回はB型とAソ連型が多い。
(西川迅)

朝日新聞
 
2006年
6月5日
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毎日新聞
社説:新型ワクチン 優先順位の議論は公開で
 「新型インフルエンザ」の出現は避けられない。そんな覚悟を促すような予兆が相次いでいる。
 強毒の鳥インフルエンザ「H5N1」型のウイルスは、50カ国以上で野鳥や家禽(かきん)類などから検出された。鳥から人への感染も確認されただけで220例を超えた。死亡率は50%に上る。インドネシアでは家族内の集団感染も起きた。
 鳥や人での感染が広がるほど人から人へと容易に感染する新型出現のリスクは高まる。過去に世界的大流行を起こしたスペイン風邪や香港風邪なども、鳥のウイルスが変化して出現した。しかもH5N1型が強毒であることは注目に値する。感染は呼吸器だけでなく消化器など全身に及び、「普通のインフルエンザとは違う病気だ」と専門家は警告する。
 政府はH5N1型インフルエンザを感染症法の「指定感染症」とする政令を決定した。まだ国内の患者はいないが、あらかじめ備えることは大事だ。
 これ以外にも、先手を打たなくてはならないことはいろいろある。新型対応のワクチン生産の体制整備もそのひとつだ。
 現在、鳥から人に感染したウイルスを元に世界各国で「新型候補ワクチン」を開発している。ただ、通常のインフルエンザワクチンに比べて製造効率は悪く、世界的な生産能力も限られる。
 しかも、本来の新型ワクチンは新型が実際に出現してからでないと作れない。世界保健機関(WHO)の推定では新型出現から量産体制が整うまで条件がよくても3カ月はかかる。新型が出現した年に、ワクチンが必要な人に行き渡ることは期待できない。
 新型対策として抗ウイルス薬タミフルなどの備蓄も進められている。ワクチン生産に時間がかかる以上、抗ウイルス剤の備蓄は欠かせない。ただし、新型に対するタミフルの実際の効果にも未知の部分がある。これだけに頼るわけにはいかない。
 新型への備えのひとつとして、ワクチン開発の体制を国際的に強化していく必要がある。企業間の競争を超え情報を共有して協力してほしい。製造にかかる期間を短縮したり、製造能力を高めるための戦略も必要だ。
 日本国内の状況をみても、新型出現当初のワクチン不足は避けられない。これを見越して、接種の優先順位を決めることも重要な課題だ。
 政府の行動計画では、まず医療従事者と社会機能維持に必要な者に接種することになっている。医療従事者に異論はなくても、社会機能を維持する人が誰かについては多くの議論があるはずだ。米国では、2〜64歳の健康な人より65歳以上の高齢者の優先順位が高いことへの異論も出ている。
 命にかかわることで優先順位を決めるのは日本の苦手分野でもある。国民の納得を得るには決定の過程をきちんと公開することが大事だ。新型インフルエンザに対する国民の現状認識を深めることにも結びつくはずだ。

毎日新聞
 
2006年
5月31日
BCGより1千倍効く結核新ワクチン 学会で発表へ
 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター(堺市)と自治医科大のグループが、DN Aワクチンと呼ばれる新しいタイプの結核ワクチンを開発、ネズミの実験で有効性を 確認した。単独接種でBCGの1000倍、BCGとの併用で1万倍の効果を示し た。BCGの効果が見込めない高齢者向けに特に期待される。6月1日から東京で始 まる日本呼吸器学会で発表する。

 新ワクチンは、結核菌が持つ特定のたんぱく質と免疫力を高める働きのあるイン ターロイキンを作る遺伝子(DNA)を注射する。細胞内に取り込まれる工夫があ り、強い免疫反応が誘導されるという。

 大人のマウスに新ワクチンとBCGをそれぞれ接種した後、結核菌を感染させ、5 週間後の結核菌の数を調べた。新ワクチンを接種したマウスの菌数は、BCG接種の マウスの約1千分の1で、発症を抑えられる程度だった。一方で、あらかじめBCG を接種してから新ワクチンを打つと、菌数は約1万分の1まで抑えられた。今後、サルで効果を確かめ、臨床試験に移る準備をする。

 日本では乳児期のBCG接種を推進しているが、予防効果は10年間程度しか続かず、大人への接種は効果が期待できない、とされている。また、結核は感染しても若 くて免疫力のあるうちは発病しないが、年をとって病気などで免疫力が下がると、休眠していた結核菌が活動を再開し、発病する場合が多い。

 世界では毎年900万人が結核にかかり、200万人が死亡。日本でも年間3万人 の結核患者が報告され、約6割が60歳以上だ。
 
朝日新聞
 
2006年
5月31日
築け、鳥インフル包囲網 日本の研究者、ヒト感染阻止に奮闘
 鳥インフルエンザの感染拡大を食い止めようと、日本人の研究者らが奮闘している。日本のインフルエンザ流行シーズンは過ぎたとはいえ、世界では鳥インフルエンザの感染者が後を絶たない。人から人に感染する新型インフルエンザに変化すれば、世界的な大流行になりかねないだけに、研究者らは気を張りつめて活動している。

■東京大学教授 河岡 義裕氏 ワクチン製造手法 予防効果追い求め
 インフルエンザウイルスの研究で世界的に知られるのが、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(50)だ。ウイルス増殖の仕組みや強い毒性を持つ謎を探っている。成果は短時間でワクチン製造を可能にする手法の開発につながった。世界の評価は高く、5月にはドイツのロベルト・コッホ財団の国際医学賞「ロベルト・コッホ賞」の受賞も決まった。
 開発したのは、遺伝子技術を使って人工的にインフルエンザウイルスを作る手法。遺伝子を少し変えて弱毒化したウイルスも作れるため、ワクチンの原料になる。感染力をなくした不活化ワクチンができ、臨床試験も進んでいる。
 だが河岡教授は満足しない。「感染拡大を防ぐには、より予防効果の高い生ワクチンが必要になる」。生ワクチンと不活化ワクチンの両方の特徴を併せ持ったワクチンを作ろうと、精力的に研究を進める。

■北海道大学教授 喜田 宏氏 ウイルス試料収集 新型出現に備える
 鳥インフルエンザウイルスの試料をコツコツと集めているのは、北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンター長の喜田宏教授(62)だ。世界各地で採取したり、かけ合わせたりしたウイルスが110種類以上ある。
 「世界中で死者が100人以上出ているH5N1型ウイルスばかり注目されているが、どれが新型になってもおかしくない」と警戒する。様々な種類のウイルスがあれば「前もってワクチンを作っておけば、新型ウイルスが登場しても被害を減らせる」と主張する。
 喜田教授は鳥インフルエンザ研究の草分け。インフルエンザが鳥やブタにも感染する人獣共通の感染症であることを世界に先駆けて突き止める一方、教育にも力を入れる。河岡東大教授も北海道大学時代、喜田教授の指導を受けた間柄だ。
 喜田教授は昨年、北大に人獣共通感染症リサーチセンターを立ち上げ、ウイルス研究の世界的な拠点づくりにも取り組んでいる。

■国立国際医療センター国際疾病センター長 工藤 宏一郎氏 医療体制の整備 病院間協力に奔走
 万が一、国内で新型インフルエンザが出現した時、「患者を収容して治療するのが我々の任務」と話すのは、国立国際医療センターの工藤宏一郎国際疾病センター長(60)。呼吸器を専門にする医師だが、2004年10月の国際疾病センター設立を契機に医療体制の整備に取り組んでいる。
 首都圏の複数の病院と定期的に研究会を開催し、協力体制を整えた。「当初はセンターの知名度が低く、連携を呼びかけても反応が鈍かった。やっと努力が実を結んできた」と振り返る。
 ただ、大流行すればやはり人手が足りない。「ウイルスはどこから入ってくるか分からない。全国に専門知識を持った医師や看護師の配置が必要」。数百人規模での人材育成をすべきだと訴える。
 人やモノの移動が活発化し、ウイルスは瞬時に国境を越えて侵入する。そんな時代に合わせ、研究者らが地道な活動で凶暴な病原体の包囲網を築きつつある。
(科学技術部 北松円香)

日本経済新聞夕刊
 
2006年
5月30日
茨城・鳥インフルエンザ 届け出義務違反は否認 
地裁初公判 検査妨害認める
 茨城県の鳥インフルエンザ問題で、鶏の感染を届けなかったり、検体をすり替え検査を妨害したとして、家畜伝染病予防法違反の罪に問われた養鶏会社「愛鶏園」(横浜市)の元会長、斎藤太洋被告(66)や元役員、江口郁夫被告(58)ら4人と、法人としての愛鶏園の初公判が30日、水戸地裁(岸野康隆裁判官)であった。

 4被告は鶏の検査妨害を認めたが、感染の届け出については「届け出る義務はなかった」と否認。愛鶏園も検査妨害は認めたが、届け出義務違反については「診断をしたこと自体を会社は把握していなかった」と否認した。
 起訴状によると、斎藤被告らは共謀し昨年8月、独立行政法人動物衛生研究所(茨城県つくば市)に依頼した鳥インフルエンザの抗体検査で、同社の鶏から抗体陽性反応が出たのに県に届けなかった。同8月の県による検査では、検体の鶏をすり替えて提出、検査を妨害した。
 江口被告は検査妨害については「深く反省している」と話す一方、届け出義務違反は「抗体検査はしたが、疑似患畜とは診断されていない」と主張した。

▼茨城県の鳥インフルエンザ問題
 2005年6月、茨城県水海道市(現常総市)の養鶏場で、H5N2型の鳥インフルエンザウイルス感染が県内で初めて確認された。その後、感染確認が相次ぎ、06年4月までに40養鶏場で鶏約570万羽を処分した。
 養鶏場関係者計93人からもウイルス感染の疑いを示す抗体陽性反応が出た。感染経路について、農林水産省の究明チームは違法ワクチンが使われていた可能性を指摘したが、これまでに使用は確認されていない。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
5月30日
鳥インフルエンザ H5N1型を指定感染症に 閣議決定
 政府は30日、新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型の高病原性鳥インフルエンザを、患者の強制的な入院や就業の制限などの措置を取ることが可能になる感染症法の「指定感染症」に指定することを閣議決定した。
 6月2日に公布、12日に施行する。指定は原則1年間で、1年に限り延長できる。指定により、感染の疑いのある人に強制的に検診を受けさせたり、死体の移動禁止や交通遮断をしたりできる。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
5月24日
新型インフルエンザ対策 進むワクチン開発 
供給量、投与順位…課題も
鳥インフルエンザの流行が地球規模で続き、鳥から人への感染も200例を超えた。人から人へと容易に感染する「新型インフルエンザウイルス」の出現は避けられず、多数の犠牲者が出る恐れがあると専門家はみる。重要な対策となるワクチン開発の現状を日欧で探った。
【青野由利】

■各国で臨床試験
 「これは競争ではありません。協力して備えることが大事です」。フランスのリヨン郊外にあるサノフィ・パスツール社のワクチン製造施設で、研究開発担当のアニネス・オッフェンバックさんが強調した。
 現在、世界で流行している鳥インフルエンザは、強毒の「H5N1」型だ。この型から新型インフルエンザが出現するとは限らないが、可能性は高い。対応する「新型候補ワクチン」の開発に各国のワクチンメーカーが取り組んでいる。
 サノフィ社は05年に健康な成人300人を対象に臨床試験を実施した。安全性と効果の一部を確かめる試験で、その結果、6割の人に通常のインフルエンザワクチンと同程度の抗体ができた。次は成人と60歳以上の高齢者あわせて600人を対象に実施するという。英国のグラクソ・スミス・クライン社や、オーストラリアのCSL社、米国のカイロン社(現スイス・ノバルティス社)も臨床試験を進めてきた。
 日本では、阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所など4つのワクチンメーカーが厚生労働省と協力して開発を進める。安全性を確かめる第1相の臨床試験を終え、データ整理しているところだ。

■ウイルス弱毒化
 こうした新型候補ワクチンの作成には、強毒のウイルスの遺伝子を改変し、弱毒化した人工ウイルスが使われている。現在、インフルエンザワクチンは鶏卵でウイルスを増やして作っており、強毒のままだと鶏卵が死んでしまうからだ。
 しかし、鶏卵を使う方法は万全ではない。卵の供給が不安定だったり、卵の中で増えにくいウイルスがあるなどの弱点がある。動物細胞を使った組織培養でウイルスを増やす方法も開発が試みられているが、新型登場に間に合う保証はない。
 また、どのウイルスを対象にするかも課題だ。新型候補ワクチンにはこれまで、04年にベトナムの患者から分離されたウイルスが使われていた。しかし、05年になって少し系統の違うH5N1型が出現、インドネシアで患者から分離されたウイルスなどを基にしたワクチン開発も開始された。欧州やアフリカで分離されたウイルスにどう対応するかも、今後の課題だ。
 
■悪い製造効率
 WHO(世界保健機関)は今月初め、各国の臨床試験の中間報告と評価の会議をジュネーブで開いた。国立感染症研究所の田代眞人・ウイルス第3部長は「通常のインフルエンザワクチンに比べて製造効率が悪く、抗体産生力も低いという印象がある」と指摘する。
 しかも、本来の新型ワクチンは、実際に新型が出現してからでないと作れない。新型が出現してから、それを基にしたワクチンができるまでには半年以上かかると考えられる。いかに早く十分な量のワクチンを製造できるかがかぎだが、今のところ切り札はない。
 新型が発生した時には、抗インフルエンザ薬の不足とともにワクチン不足が世界的に起きると専門家は警告する。日本でも、ワクチン接種や抗インフルエンザ薬投与の優先順位を決めることが今後の重要な課題のひとつとなっている。

毎日新聞

新型インフルエンザ 出現の主なシナリオ
 
2006年
5月7日

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双方向プラザ【読者から】 鳥インフルエンザなぜ拡大?
 なぜ、東アジアに端を発した毒性の強い鳥インフルエンザウイルスH5N1が新たに欧州、中東、アフリカまで急拡大しているのですか。ゴールデンウイークの海外渡航者がウイルスを国内に持ち込み、人から人に容易に感染する新型インフルエンザに変わる危険性は高まっているのですか。
=東京都台東区、女性読者(65)

■渡り鳥の飛行経路で急増 青海湖で前例ない強毒性
 大槻公一・鳥取大特任教授(獣医微生物学)が中国の研究者から得たデータによると、急拡大したH5N1は2005年5月に、中国最大の塩湖「青海湖」(青海省)から拡散しています。青海湖で約6300羽の水鳥を大量死させたウイルスで、運び屋は渡り鳥であることが飛行ルートに沿って拡散していることで明らかです。

■日本侵入リスク
 東アジアで先に流行したウイルスも同じH5N1ですが、青海湖のウイルスの方がより強毒とみられています。大槻教授によると、04年1月に山口県に侵入したH5N1をアヒルに接種しても死にませんでした。しかし、青海湖のH5N1は、種の壁を越えて耐性の強いマウスに接種したところ3日後に死にました。
 人への毒性も強く、H5N1による死者が急増。4月27日現在、ベトナムで42人、中国で12人、タイで14人が死亡、アゼルバイジャン、トルコ、イラク、エジプトなどでも死者が出ています。タイの衛生当局者は「発症した養鶏農家を調べたが、軽症者は見つからなかった」と話し、感染してすぐに重篤になり、死に至る実態をうかがわせます。ナイジェリアで見つかったH5N1も青海湖と同じタイプでした。フランスでも飼育七面鳥から検出され、大西洋を渡って米国に侵入すると警戒されています。
 さらに、「日本にも青海湖タイプのH5N1が侵入する可能性がある」と、大槻教授は警鐘を鳴らします。感染した渡り鳥が5月にシベリアに戻り、狭いエリアに集まって、卵をかえします。ここで感染した渡り鳥が越冬のため、9月下旬から日本へも渡る可能性があります。また、青海湖の渡り鳥はインドシナ半島にも飛んでいるため、ツバメ、サギなどが日本に飛来することも考えられます。また、ゴールデンウイークに旅客がウイルスを靴底や着衣に付着させて、持ち込む可能性があります。

■どうして人に
 ではなぜ人に感染するのでしょう。
 理論的には鳥のウイルスは人に感染しません。のどの細胞にウイルスのとげを受け取る受容体が人と鳥では違うからです。しかし、最近の研究によると、人と鳥の受容体の障壁は高くなく、人が鶏と濃厚に接触し、ウイルスが押し込まれると人に入り込み、偶発的に感染します。
 しかし、これが繰り返されると、鶏のウイルスが人に慣れたり、人と鶏のウイルスが混じったりして、常態的に人に感染できる変異が起きます。人のウイルスとブタのウイルスが一緒にブタに感染した場合、ブタは両方を受け入れるため、ブタの中で“雑種”のウイルスができます。このウイルスは鳥のウイルスの性格を持ったまま人の世界で定着します。こうして新型が流行すると恐れられています。

■4人に1人感染
 医療の進歩を考慮しても、新型ウイルスが流行した場合の人への健康被害は甚大と予測されます。厚生労働省は米国疾病管理センターの計算式をあてはめ、国民の4人に1人が感染、受診患者は最大2500万人と推定しています。
 H5N1が人に感染すると、鶏と接触があった2−4日後に発症し発熱、5−8日後に肺炎を起こし、8−11日後には急速に重症化します。呼吸器だけでなく、肺、脳、腸管、肝臓、腎臓にも感染し、血流を介して全身に広がると報告されています。
 現段階でも感染者と濃厚な接触をすると人から人へも感染すると世界保健機関(WHO)は認めています。ただし、親子間での感染報告はありますが、夫婦間は見つかりません。なんらかの遺伝的な違いによって、感染する人としない人がいるとみられています。

■個人でも注意
 国立感染症研究所のウイルス専門家は実際に新型が発生すれば、「航空機の発達した今は1週間で世界に広がる」と指摘します。
 米国では医療機器、人工呼吸器、防御服を備蓄して、全米どこにでも24時間以内で配送できる態勢を整え、国際協力を呼びかけています。
 専門家らは「発生は10年先かもしれないが、決して無駄にならない」と米国の危機管理を高く評価し、日本にも同様な即応体制を求めています。
 個人ができる対策としては、H5N1流行地域を訪れることがあっても、生鳥市場や養鶏場に行かず、死んだ鳥には触れないことです。もし死んだ鳥、病気の鳥に触れたり、肺炎症状のある人と接触した後に発熱や下痢、全身にだるさがあったら、念のために感染を疑って早期に医師に相談した方がよいでしょう。
(有川貞治)

■新型発生は不可避
 インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3つの型があります。C型は人に感染しにくく、B型は現在、人にだけ感染します。問題はA型で、渡り鳥のカモが宿主です。
 カモはウイルス表面のタンパク質の型から、H1からH16型までと、N1からN9型までの組み合わせで、最大144種のウイルスを腸管に感染して持っています。
 ウイルスはカモの腸管を住まいとして、フンから排出されます。フンで汚染された池の水を飲んだ他の水鳥から鶏や哺(ほ)乳類まで感染します。人を含む幅広い動物の中で感染を続けることで、それぞれに固有のウイルスが定着します。
 たまに、鳥から人の世界に偶然入ってくるウイルスが新型インフルエンザで、人は免疫を持っていません。
 現在、人の世界で主に流行しているA型はH1N1とH3N2で、スペインかぜ(1918年)、香港かぜ(1968年)のさい、出現したウイルスの子孫です。
 10−40年の周期で鳥のウイルスが変異して人の社会に入り込み、地球的な流行となります。現時点はH5N1の蔓延(まんえん)が、人に適応する新型ウイルス出現の前触れと警戒されています。感染症の専門家は「新型の出現は普通のことだ。いつかはきっと入ってくる」と断じています。

産経新聞
 
鳥インフルエンザウィルスH5N1の広がりと渡り鳥飛行ルート
2006年
4月29日
鳥インフルエンザ緊急シンポ “新型”視野に提言 
危機管理や途上国支援
 新型インフルエンザ発生への危機感が広がる中、専門家による緊急国際シンポジウム「もうひとつのアジア安全保障――鳥インフルエンザ問題を考える」(アジア調査会主催)が25日、東京都千代田区の日本プレスセンタービルで開かれた。日本、米国、台湾の専門家は、危機管理対策の具体化や発展途上国の情報集約システム確立の重要性などを指摘した。
 シンポジウムのパネリストとして、世界保健機関(WHO)西太平洋事務局感染症地域アドバイザーを務めた押谷仁・東北大学大学院教授▽台湾の李明亮・国家衛生研究院衛生政策研究発展センター主任▽米誌「サイエンス」のデニス・ノーマイル日本支局長の3氏が出席した。
 毒性の強い高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)は当初、アジアだけで流行していたが、昨年夏にロシアで発見され、欧州とアフリカ、中東へ拡大。鳥への感染地域拡大とともに人への感染も広がっている。WHOによると21日現在、204人の感染が確認され、このうち113人が死亡した。死亡率は5割を超す。
 シンポジウムでは、3氏ともH5N1型の世界的流行の可能性を認めたものの「その確率は不明」との見解だった。03年に台湾で流行した新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)対策の陣頭指揮を執った李氏は「ウイルスの突然変異は予測不可能なため、いつ人から人に感染するようになるか分からない。絶えず警戒心を解かないのが最も大事」と述べた。
 押谷氏は「鳥インフルエンザが関心を集めているため、長期的な視点から新型インフルエンザ対策をつくる良い機会になる。自然からの警告と謙虚に受け止め、対策を講じておかなければならない」と指摘した。
 さらに日本の対策について「国が出した『新型インフルエンザ行動計画』はいわば指針。具体的な中身が米国などに比べ見劣りする。この問題は国家安全保障、危機管理問題として国の強いリーダーシップが必要」と訴えた。
 アジア各地で取材を続けるノーマイル氏は、タイの対策を例に挙げながら、発展途上国で公衆衛生対策を底上げする必要性を指摘した。同氏は「タイでは04年に鳥への感染が広がり、17人が感染し12人が死亡した。だが政府の情報公開、マスコミの情報伝達などにより効果が上がり05年11月以降、鳥、人への感染報告はない。途上国の参考になるのでは」と話した。
 押谷氏は「途上国は情報収集態勢ができていない国が多く、対応が遅れる。日本のような技術、資金力のある国のサポートが必要」と指摘した。
 また李氏はWHOの役割について「各国がWHOに迅速に報告し、各国の情報を透明化する。WHOは加盟国以外にも情報を提供する。また抗インフルエンザ薬を地域全体で備蓄するなどWHOが主導権を発揮してほしい」と提案した。
【鈴木玲子】


毎日新聞
 
2006年
4月27日
鳥インフルエンザ対策を協議 農水省と国際機関
 農林水産省と国際獣疫事務局(OIE)、国連食糧農業機関(FAO)は26日までの2日間、都内で会合を開き、東南アジアでの鳥インフルエンザ対策について協議した。日本政府がOIEとFAOに拠出した約1930万ドル(約22億円)の有効活用法を話し合い、アジア各国での防疫措置の強化や診断機器の導入、獣医師への研修の実施などの必要性が確認された。
 カンボジア、インドネシアなど東南アジアの8カ国も参加。各国の防疫態勢が報告され、国際機関に協力が要請された。
 対策には、各国での防疫キャンペーンの実施や情報収集、分析の実施なども盛り込まれた。6月末までには具体的な計画を策定し、07年2月まで実施する。
 
 朝日新聞
 
2006年
4月25日
鳥インフル感染、基準症例案決定
 新型インフルエンザへの変異が懸念されている鳥インフルエンザ(H5N1型)について、厚生労働省は24日、感染が疑わしい患者を診断する際の基準となる症例案を決めた。38度以上の高熱や感染可能性のある鳥への接触などで、H5N1型の「指定感染症」への指定に伴う措置。詳細を詰めて6月にも都道府県に通知する。

朝日新聞
 
2006年
4月20日
鳥インフル 「事実上終息」発表へ 茨城県、鶏処分に目途
昨年6月、茨城県の養鶏場で発生した鳥インフルエンザについて、同県は21日にも事実上の終息を発表する方針を固めた。当初は「終息宣言」を検討したが、感染原因が特定できていないため、安全を強調する表現は見送られる可能性が高い。感染が疑われ処分される鶏の数は、日本の養鶏史上最多の約580万羽にのぼる見通しだ。
 県は今週中にも鶏の処分が終了するめどが立ったことから、当面は安全を確保できると判断した。一方で、発生から約10カ月たっても感染経路がわからず、再発の恐れが完全にぬぐえないことから、鶏の処分終了の発表で事実上の終息宣言とする公算が大きい。
 採卵鶏の飼養羽数が全国1位の同県に対し、県内に養鶏場を持つ養鶏業者らがイメージ向上のためにも終息宣言を出すよう求めていた。
 原因については農水省が昨年9月、海外から違法に持ち込まれた未承認のワクチンが、原料のウイルスの処理が不十分なまま使用されて感染した疑いなど、可能性のある複数の原因を盛り込んだ中間報告を出した。しかし、同省などの調査でも特定には至っていない。

朝日新聞
 
2006年
4月16日
主張:鳥インフルエンザ 油断せず対策積み上げよ
 世界中を騒がしている「H5N1」タイプの鳥インフルエンザが、感染症法上の「指定感染症」になる。国民からの意見聴取を経て夏ごろ、正式に決定するというが、指定は新型肺炎のSARS(重症急性呼吸器症候群)以来だ。
 指定感染症になると、感染が疑わしい人に健診を受けさせ、入院させたり、就業を制限したりと、感染の拡大防止がスムーズにいく。ウイルス自体の研究も進んでいるから指定の効果はかなり大きい。
 鳥インフルエンザウイルスが変異を繰り返すと、世界で最大7400万人を感染死させるといわれる人の新型インフルエンザが生まれる。H5N1は人型に変わらずに鳥型のままで、世界9カ国で計190人以上を発症させ、うち100人以上を死亡させた。
 世界保健機関(WHO)は1980年、「天然痘根絶」を宣言した。天然痘は急な高熱と頭痛、発疹(ほつしん)に苦しみ、致死率20−50%の怖い病気だった。それが種痘ワクチンによって地球上から消えた。そして人類は「感染症を克服できる」と思い込んだ。しかし、それは幻想に過ぎなかった。
 なぜなら、ちょうどそのころ、エイズやエボラ出血熱が姿を現し、その後も、BSE(牛海綿状脳症)などのプリオン病、C型肝炎、SARS、西ナイル熱、鳥インフルエンザ…といった感染症が次々と、人類を襲っている。抗生剤が効かない耐性菌も、院内感染して大きな問題になっている。
 これらは「新興」、あるいは「再興」の感染症と呼ばれる。新しく認識され、公衆衛生上問題になるのが新興感染症で、すでに知られている感染症のうち、再び流行してくるのが再興感染症だ。いま、世界は「新興・再興感染症時代」である。
 なぜ、そんな時代なのか。もともと、大半のウイルスは、野生の動物の体内に潜んでいた。20世紀後半、人類は森林を伐採し、自然の中に押し入った。その結果、野生の動物と接触し、新たなウイルスとも遭遇した。しかも、航空機の発達で、局地的感染がすぐに地球規模の感染となる。
 感染症を克服できる、と幻想を抱いてはいけない。鳥インフルエンザに対しても、油断せず、常に対策や研究を積み上げることだ。

産経新聞
 
2006年
4月15日
鳥インフルエンザH5N1型 指定感染症に 
「新型」未然防止へ隔離・就業制限も可能
 アジアから中東、欧州、アフリカへ感染地域が拡大しているH5N1型の高病原性鳥インフルエンザについて、厚生労働省は14日、感染症法に基づく「指定感染症」に政令指定する案を厚生科学審議会感染症分科会に示し、同会はこれを承認した。国民の意見募集などを経て閣議決定し、6月にも政令で指定する。
 政令指定により、患者の強制入院や就業制限などの対策が、最大2年間可能になる。指定は新型肺炎(SARS)以来。
 世界保健機関(WHO)によると、H5N1型の鳥インフルエンザを発症した人は、平成15年12月以降、世界で194人に上り、109人の死亡が報告されている。今年に入りアゼルバイジャン、エジプト、イラク、トルコで新たに発生し、この4カ国だけでも26人が発症、うち13人が死亡した。
 特にトルコの患者から検出されたウイルスは、鳥からヒトへ感染しやすくなっていることが分かった。
 このためWHOは今年2月に、鳥からヒトへの感染の場合でも、患者を隔離入院させる措置を推奨していた。

■「新型」未然防止へ隔離・就業制限も可能
 H5N1型の高病原性鳥インフルエンザを感染症法に基づき「指定感染症」に指定するのは、世界がその脅威を感じている新型インフルエンザの発生を未然に防止しようとの狙いがある。H5N1型ウイルスの感染が濃厚とみられる人や患者が見つかった場合、感染拡大防止のために、対象者の人権が一定程度、制約されることになる。
 今回の指定で準用するのは、感染症法で2類感染症に分類されている規定。
 2類感染症に指定されている急性灰白髄炎、ジフテリア、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスと同様に、強制力をもった健康診断や入院隔離などができる。
 対象となる人は、H5N1型ウイルスに感染した患者だけでなく、そうした患者と接触し高熱があるなど感染の可能性が濃厚な人や、症状がなくてもウイルス感染している人も含まれる。
 具体的な強制措置は、感染が疑われる人への健康診断と隔離入院のほか、入院の必要がない場合でも、公衆への拡大の恐れがある職業への就業を一定期間制限することができる。
 一方で、エボラ出血熱など強い感染力を持つ1類感染症で規定されている、交通の制限や建物への立ち入り制限など強い強制措置は、今回は適用しない。「各国の発症例で、人から人への感染が例外的範囲にとどまっているため」(厚労省結核感染症課)だ。
 また、H5N1型インフルエンザに感染した鳥を見つけた場合、獣医師は保健所を通じて都道府県に届け出ることが義務付けられた。
 指定感染症には罰則規定が一部で設けられている。このため指定は1年間の期限付きで、延長しても最大2年まで。その後の対応は改めて検討することになる。
 厚労省結核感染症課は「人から人へと感染が拡大する新型インフルエンザがH5N1型から始まるかどうかは分からない。しかし、このウイルスが世界中にあることは分かり、変異の可能性があるため、万が一に備えた事前対応の措置をとることにした」と説明している。

【用語解説】H5N1型の高病原性鳥インフルエンザ
 鳥がかかるインフルエンザの中でも、病原性が強く大量の死亡被害を出す。現在は病気の鳥と濃密な接触を持ったヒトにしか感染せず、ヒトからヒトへの感染力はほとんどない。が、ウイルスが変異してヒトからヒトへの感染力を持つ新型インフルエンザウイルスが出現すると、爆発的に流行する恐れがある。

産経新聞
 
2006年
4月14日
H5N1型鳥インフル 指定感染症 指定へ 厚労省が報告
 厚生労働省は14日、死者が100人を超えた高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)を感染症法に基づく「指定感染症」に指定することを、厚生科学審議会感染症分科会に報告した。
 H5N1型の発生国から入国した人に感染の疑われる症状が認められた場合に、強制入院や行動制限などの措置を取れるようになる。閣議決定のうえ、6月にも政令で指定する。
 発生国で鳥と接触し、発熱や呼吸器などに一定の症状が認められる人に対し、健康診断の受診やウイルス保有検査などを実施する。陽性と判定されたら、感染拡大を防ぐため入院や行動制限などの措置を取る。制限の範囲は今後詰める。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
4月11日
新型インフルエンザ対策 H5N1型 指定感染症に
 厚生労働省は11日までに、新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型の高病原性鳥インフルエンザを、患者の強制的な入院や就業制限などの措置が取れる「指定感染症」に指定する方針を固めた。14日の厚生科学審議会感染症分科会に諮る予定。
 高病原性鳥インフルエンザは現在、感染症法で四類感染症とされ、患者の隔離はできない。指定感染症になると、感染の拡大を防ぐため患者の強制的な入院や就業制限、死体の移動禁止などが可能になる。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
4月9日
卵輸入11倍増 国産神話崩壊 流通量の8% 鳥インフル余波
 鳥インフルエンザの影響で生鮮卵の輸入が急増、物価の優等生の「国産神話」が崩れ始めている。平成17年は前年の11倍の約1万4000トンが輸入された。現在、加工用も含め、8%が外国産とみられている。鳥インフルエンザの発生以降、消費が後退したため、生産者が減産に踏み切り、その後、増産が間に合わなかったためだ。生産者団体は「産地表示が厳格に実施されているか実態調査する必要がある」としている。

 農水省などによると、生鮮卵の輸入量は過去10年以上、年間1000−2000トンで推移してきた。それが17年は1万3784トンと、前年の1233トンから11倍にも増えた。輸入先は米国、オランダ、ブラジルの順だった。
 生鮮卵の卸値はキロ当たり100−200円と、戦後から一貫して安定していた。ところが16年1月、山口県で鳥インフルエンザが発生したことから、鶏肉や卵に対する不安感が広がり、消費が減退し価格が低迷、価格維持のため生産者が減産した。実際は世界的にも鳥インフルエンザが卵から感染した例はなく、安全性は確認されている。
 その後、消費が上向きになり、価格が高騰した。しかし、鶏は孵化(ふか)して卵を産み始めるまで半年かかるため、増産が間に合わず、加工業者などが輸入に切り替えた。値段が高めでも新鮮な卵を安定して供給できるとして継続的に輸入が続けられている。
 卵の国内生産量は246万トン(17年度)で、公式には国内自給率は95%とされている。輸入もこれまではパンやマヨネーズ、ドレッシングなどに加工される粉末や液状のものが大半だった。一方、生鮮卵の輸入には船が利用されており、保管状態が良好ならば数カ月保存できる。
 日本養鶏協会の推計では、生鮮卵や粉末なども含めた輸入卵は全流通量の約8%に達している。同協会専務理事の島田英幸さんは「再び鳥インフルエンザが発生した場合、相場が安定しないので、その補完として輸入している業者も多い。すでに輸入が恒常化してしまった」とみている。
 現在、スーパーなどで生鮮卵を販売する場合は産地表示が義務づけられているが、おでんの卵やゆで卵、煮卵、卵スープなどは表示されていない。
 島田さんは「消費者は外国産卵なんてと思っているかもしれないが、輸入ものが急速にシェアを拡大した野菜の例もある。販売する際の産地表示を徹底してほしい」と話している。

産経新聞
 
生鮮卵の輸入量と価格
 
2006年
4月2日
「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」
速水融著 東京朝刊 書評A
◇評者・戸部良一(防衛大学校教授)
 ◆ウイルスとの戦争に警鐘 
 WHOによれば、鳥インフルエンザによる死者は世界で百人を超えたそうである。それが人から人へ感染する新型インフルエンザに変異すると、死者は数百万人に達するかもしれないという。約九十年前、「スペイン風邪」と呼ばれた新型インフルエンザが世界中で猛威を振るったとき、死者は二千万ないし四千万人に上った。想像を絶する数である。同時期の第一次世界大戦の戦死者をもはるかに上回った。
 日本の被害も甚大であった。だが、これに関する本格的な研究はなきに等しかった。被害の大きさすら一定していなかった。著者は歴史人口学の見地からこの問題に果敢に取り組み、大胆な統計学的処理を加えてスペイン・インフルエンザによる死亡者を算出した。推定された死亡者は内地が約四十五万人、植民地等が約二十九万人。ピークの一九一八年十一月だけで死者十三万人を超えた。これだけでも日露戦争の死者を上回り、関東大震災の死者に匹敵する。
 著者はさらに、植民地を含む地域ごとに被害の実態を追求する。そこでは各種統計だけでなく、数十紙の新聞記事が縦横に駆使される。これによって、地域ごとの感染・流行の特徴が分析されるとともに、被害の具体的な状況も明らかにされた。例えば、職員の病欠のために市電の本数が減少した。郵便配達の回数が減った。学校の休校、工場等の休業は言うまでもない。棺桶(かんおけ)が不足した。火葬場では遺体の焼却が追いつかなかった。家族全員が死んだり、子供だけが残されたりするケースもあった。本書は数字が語る歴史書としての一面を持つが、ここに集められた新聞記事は、数字だけでは語り尽くせない悲惨な実情を生々しく伝えている。
 本書の副題は「人類とウイルスとの第一次世界戦争」である。その「戦訓」を理解し充分に生かさなければ、今後にあり得るであろう「第二次世界戦争」を乗り切ることは難しい、との警告が含まれている。(藤原書店 4200円)
 
◇はやみ・あきら=1929年生まれ。慶応大教授などを歴任。
  専門は経済史、歴史人口学。

読売新聞
 
2006年
4月2日
鳥インフルエンザ感染想定 岡山空港で訓練=岡山
 海外渡航者が毒性の強い高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染した場合に備え、防疫や医療面での素早い対応を図る訓練が岡山空港(岡山市)で行われた。県の対策本部が広島検疫所の空港出張所や県医師会などとともに初めて実施した。
 指定医療機関の岡山大付属病院、市消防局を含む総勢約150人が参加。貨物ターミナル前の広場のテントで職員や署員らが防護服を装着。乗客2人が高熱やせき、関節の傷みを訴えているとの想定で航空会社から検疫所を通じた各機関への電話連絡を行った。
 患者、乗客役の女性らがいすに座って「機内」に見立て、検疫スタッフが調査する手順も確認。患者をカプセル型の担架で救急車に運んだ。一般見学者も多く、宮嵜雅則・県保健福祉部長は「世界的にいつ感染者が出てもおかしくない状態。水際で食い止める能力を高めておきたい」としている。

読売新聞
 
2006年
4月1日

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鳥インフルエンザ 
県内一般対象抗体検査、5月中旬から実施へ=茨城
 県内の養鶏場従業員らに鳥インフルエンザ感染の可能性が浮上した問題で、県は31日、感染確認の検査方法確立のため、養鶏との接触が無い人を対象にした抗体検査を、当初の予定より約1か月遅い5月中旬から始める方針を決めた。専門家から手続きの充実を求められたりしたため。
 県は3月から国立感染症研究所や保健所長などをメンバーとした感染調査研究委員会で検査内容を検討してきた。その結果、まず養鶏との接触が無い一般県民100人(都市部50人、農村部50人)の抗体検査を県衛生研究所で実施することになった。完全にシロの人の抗体値を知るのが目的で、「抗体陽性」の判断基準に用いる。
 県はもともと50人を検査対象に考えていたが、「十分にデータを」と100人に増やした。これについて、委員会から「研究として行うなら、調査計画書を作成し、5月に行われる県の倫理審査委員会に諮るように」と求められた。
 この問題では、国立感染症研究所が「養鶏場従業員や処分作業従事者ら70人が抗体陽性」と報告しているが、別な検査方法を用いて改めて感染の有無を調べたりする方針。

読売新聞
 
2006年
3月29日
危機管理協定、8府県と来月締結/大阪
 鳥インフルエンザの発生時などに広域的に対処するため、大阪、京都府と兵庫、和歌山、奈良、滋賀、福井、三重、徳島の各県は28日、危機管理に関する包括的な相互応援協定を4月に締結することを決めた。自然災害に備えた協定は各都道府県がブロック単位で結んでいるが、危機事象全般を対象にするのは初めて。
 この日、大阪市内で開かれた防災責任者の会議で合意。新協定は、従来の自然災害、大規模事故に加え、国民保護法が想定する武力攻撃やテロ、鳥インフルエンザなどにも適用、相互に避難者を受け入れ、物資を提供する。

読売新聞

 
2006年
3月28日
「鳥インフルエンザ研究センター」新設 京産大、10月に
 京都産業大(京都市北区)は28日、「鳥インフルエンザ研究センター」を10月に新設すると発表した。研究の第一人者として知られる鳥取大の大槻公一教授(63)=獣医微生物学=をセンター長に迎え、世界的な拡大や、ヒトへの感染が懸念される鳥インフルエンザ研究の拠点づくりを目指す。センターでは、病原体の感染メカニズム解明や、国内への侵入を防ぐ疫学的研究などに取り組む方針。専門家の育成も視野に入れる。

読売新聞夕刊
 
2006年
3月28日
鳥大に鳥由来病原性ウイルス実験室 
来月稼働、感染過程の変異調査=鳥取
 高病原性鳥インフルエンザなど鳥類から人に感染する病原体の生態や病原性の解析を目的に、鳥取大農学部付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター(センター長=大槻公一・鳥大教授)に、国が定めたバイオセーフティーレベル(BSL)3までの病原体を使用できる専用施設「P3実験室」が完成した。動物実験が出来るP3実験室の設置は、西日本の大学では初めて。国の使用認可を経て、4月1日から稼働する予定で、大槻センター長は「実験範囲が広がる上、十分な時間もかけられる」と期待を寄せている。
 BSLはウイルスや細菌などの危険性を示す指標で、1〜4までの段階がある。このうちBSL3は、人に感染すると重篤な疾病の原因となりうるが、他の個体への伝播の可能性は低いもの。炭疽(たんそ)菌やチフス菌などが該当する。
 実験は、ニワトリにウイルスを吸引させ、内部組織を摘出。この組織を違うニワトリに吸引させる作業を繰り返す。水鳥が保有していても感染を引き起こさないウイルスが、ほかの水鳥に移っていく過程で毒性を持つものに変異すると考えられていることから、どんなウイルスが変異しやすいのかを調べる。
 実験室内では、一度に最大約40羽のニワトリを専用装置で飼育。作業は、いずれも獣医師資格を持つセンター職員と鳥大大学院生が行う。
 施設は、▽実験室の気圧を下げ、ウイルスを外部に漏らさない▽専用の防護服は1回で使い捨てる▽使用する飼育装置などは121度の高圧蒸気で20分間滅菌する――など安全対策を徹底する。
 また、鳥大は25日、「危険な実験だが、安全な方法で行うから大丈夫だということを知ってもらいたい」と、施設見学会を催し、近隣住民約30人が参加した。栃谷悟・新田地区会長(59)は「ここまできちんと管理されていれば、安心できる」とほっとした様子だった。

読売新聞
 
2006年
3月23日
やさしい経済学 21世紀の国際公共財E 感染症対策
放送大学教授 林 敏彦
 感染症の予防にとっては初期の正確な情報がきわめて重要な国際公共財となる。交通網の発達、国際間の人の大量移動などによって、国境を超えた人の接触が広がっている。これに動物から人へのウイルス感染の可能性を加えると、国際的な感染症拡大のリスクがかなり高まっている。
 これまで世界では重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザなどが発生し、後者のなかでも毒性の強い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)型の大流行(パンデミック)も心配されている。
 過去には、たとえば1918−19年のスペイン風邪では、世界人口のかなりが感染し、世界中で第1次世界大戦の戦死者よりも多い2000万−5000万人が死亡したと推定されている。このときのウイルスは、動物に感染するものが突然変異を起こして人間に感染したものだった。そしていま、国連の専門機関である世界保健機関(WHO)は、アジアから欧州などに広がるH5N1型について、確認された例だけでもすでに03−06年で死者が約100人に達したことに注意を促している。
 こうした感染は、しばしば「成長曲線」の形をとる。初期の感染数は小さく、感染の拡大率も低いが、中盤でその率は爆発的に高まり、終盤でぺースは鈍る。したがって、初めはローカルな奇病と思われる感染でも、世界的なパンデミックに拡大する可能性がある。そうなると、一国内ではコントロールできず、すべての国が被害国となり加害国となりうる。
 このため、新型ウイルスの封じ込めについては、初期の科学的な調査と、患者の増え方などに関する完全な情報公開が何より重要となる。SARSの初期段階で中国当局がそうした情報公開に積極的でなく、結果的に対策などが遅れたことから、WHOは各国に、感染の実態をできるだけ透明な形で公開するよう強く要請している。
 鳥インフルエンザに関するWHOの区分は、人に感染する可能性をもつウイルスが動物でみつかる第1段階から世界的に流行し感染が拡大する第6段階までに分かれ、現在は、基本的に人間同士の感染はないとする第3段階にある。WHOはこの鳥インフルエンザの広がりの防止に向けた対策づくりなどを進めている。ただ、そうした呼び掛けに応じない国への罰則規定などはほとんどなく、強い拘東力が伴わないなかでいかに感染防止の効果を高めるかが試されている。


日本経済新聞
 
2006年
3月23日
人同士の感染少ない鳥インフルエンザ ウイルス 
肺の奥で増殖 東大が解明 せき、媒介難しく
 東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らは、世界で100人以上の死者が出ている高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が、人間の鼻やのどでなく肺の奥深くで増殖することを突き止めた。人から人に感染しにくい理由を説明できるという。23日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
 H5N1型はアジアを発端に中東、欧州、アフリカなどで鳥への感染が拡大している。
 人間が感染すると死亡率は60%と非常に高いが、人から人への感染が疑われる例は少なく、何が2次感染を防いでいるのか、よく分かっていなかった。
 河岡教授らはインフルエンザウイルス感染に関係のあるたんぱく質(受容体)に着目し、人間のどの細胞にウイルスが付きやすいか調べた。
 毎年冬に流行するインフルエンザウイルスが、鼻やのどの細胞にあるたんぱく質を好んで増えるのに対し、H5N1型は肺の奥深い部分にある肺胞上皮細胞のたんぱく質に取り付いて増殖することが分かった。
 感染者がせきやくしゃみによってウイルスをまき散らす可能性が小さく、人から人へ感染しにくい理由と考えられる。
 また、H5N1型に感染すると、鼻がぐずぐずするなどのインフルエンザの症状が出ないまま、重い肺炎になることが多い。こうした症状の違いも説明できるという。


日本経済新聞
 
2006年
3月23日
鳥インフルエンザ 人は肺の奥で感染 
鳥取大・東大グループ発表
 世界で感染拡大が続く高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が、人の体内では鼻やのどでなく、肺の奥深くにある細胞で感染することが分かった。鳥取大農学部の新矢恭子助教授(ウイルス学)と東京大医科学研究所の河岡義裕教授(同)らのグループが明らかにした。このため、患者からせきやくしゃみで感染が広がる危険は現時点では低そうだが、ウイルスの突然変異で大流行につながる恐れはあるという。23日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
 インフルエンザウイルスは、細胞表面の鍵穴にあたる特定の分子(受容体)と結びつき、侵入する。人と鳥では同じ分子だが、少しだけ構造が異なる。人から人への感染はほとんどないが、メカニズムはよくわかっていない。
 河岡教授らは、鳥インフルエンザウイルスの受容体が、人の鼻の粘膜や気管支、肺などにないか患者の組織で調べた。その結果、のどや鼻粘膜ではほとんど無く、肺など気道の奥深くに多く分布していた。このことから今のところ、ウイルスの増殖は肺など呼吸器の奥深くに限られ、鼻水や唾液(だえき)によって他の人に感染する危険は低いと考えられるという。
 河岡さんは「受容体を見る限り、誰でも鳥インフルエンザに感染する恐れはあるが、人から人へすぐ感染するわけではない。ただし、のどや鼻で感染するようなウイルスに変異していないか監視していく必要がある」と話し、他にどんな変異を遂げると人に感染しやすい型になるかや、重症化する原因などについても研究を進める考えだ。

朝日新聞
 
2006年
3月22日
鳥インフルエンザ ニワトリに国産ワクチン 
北大グループ 今秋申請へ

 アジアや欧州で猛威をふるう鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)について、北海道大などの研究グループが国内初となるニワトリ用ワクチンの開発に成功、今秋にも農林水産省に申請する。茨城県つくば市内で21日に開かれた日本獣医師会・日本獣医学会連携大会で、発表した。
 この国産ワクチンは、1回注射するだけで2週間後にはウイルスを撃退する抗体がニワトリの体内で増えるなど、従来ワクチンに比べて早い効果が期待できるのが特徴。政府が流行に備えて海外から輸入し、備蓄を進めるワクチンの代替品としての活用をめざす。
 研究グループは、モンゴルで見つかったH5N2型とH7N1型のウイルスの遺伝子を一部ずつ使って、毒性と感染性のないH5N1型の改造ウイルスを作成。この改造ウイルスがワクチンとして働くかどうか確かめるため、生後4週目のニワトリに注射したところ、インフルエンザ特有のたんぱく質を認識して、これを攻撃する抗体がニワトリの体内で作られていることが分かった。
 さらに、通常のニワトリと、新ワクチンを注射したニワトリの双方に、山口県で見つかったH5N1型を感染させた結果、通常のニワトリは2週間以内にすべて死んだのに対し、注射したニワトリはすべて元気なままだった。注射から半年後も症状を防ぐのに十分な抗体量を保つことも、確認したという。

▼ワクチン
 ウイルスなど病原体の毒性をなくすなどして作る医薬品。病原体そっくりのワクチンを事前に接種しておくと、体の免疫機構が病原体の侵入を認識し、撃退する。ただ、鳥インフルエンザのワクチンを流行前に勝手に使うことは、感染を見逃す恐れがあり、認められていない。

読売新聞
 
2006年
3月19日
愛鶏園元会長「あうん」の指示 検査妨害容疑で逮捕 
陽性隠しも追及=茨城
◇真相・鳥インフルエンザ 
 鳥インフルエンザを巡る「愛鶏園」(本社・横浜市)を舞台にした家畜伝染病予防法違反事件で、県警は18日、同法違反(検査妨害)容疑で既に逮捕した同社の獣医師らは、同社元会長の斎藤太洋容疑者(66)の事実上の指示に従って県に偽の検体を提出したとして、同容疑での斎藤容疑者逮捕に踏み切った。斎藤容疑者は獣医師で、鶏の飼育や管理を取り仕切っていた最高責任者。県警はやはり斎藤容疑者の指示に添って、隠ぺい行為が繰り返された可能性もあるとみて追及を進める。
 調べによると、斎藤容疑者は、元取締役で獣医師の江口郁夫容疑者(58)ら4人と共謀。県が昨年8月下旬、同社の2養鶏場を検査した際、別の養鶏場の若鶏の血液(検体)とすり替えて県に提出し、検査を妨害した疑い。
 斎藤容疑者は大筋で容疑を認めているという。斎藤容疑者は昨年12月まで会長を務めており、血液すり替えの報告を江口容疑者から受けていたらしい。
 県警によると、昨年6月、旧水海道市で県内初の感染が確認されて以降、同社は二十数回にわたって対策会議を持った。その席などで、斎藤容疑者は江口容疑者ら部下に「鶏を殺したくない」「うちのような大手で鳥インフルエンザが出たらどうなると思う」と、同社の養鶏場が感染した場合に予想される事態への懸念と危機感を示したという。
 県警は、江口容疑者が調べに「(違法行為は)自ら望んでやったことではない」と強調している点や直下の部下という立場に着目。「具体的な指示こそなかったが、2人の間にはあうんの呼吸があった」と、斎藤容疑者が隠ぺい工作を求め、その意向をくんで江口容疑者らが検査妨害に走ったとみている。
 関係者によると、両容疑者は同じ大学の獣医学部の先輩と後輩で、江口容疑者は普段、斎藤容疑者を「ボス」と呼ぶほど親密な間柄だった。斎藤容疑者は逮捕前、読売新聞の取材に「何も話すことはない」と答えていた。
 この事件では、江口容疑者らが昨年8月、鶏の抗体検査を知人の動物衛生研究所(つくば市)の女性職員に非公式に依頼し、一部が陽性と判明したのにもかかわらず、同法が獣医師に義務づけている県への届け出を怠った疑いが持たれているが、江口容疑者ら3獣医師が昨年11月上旬、独自に鶏を検査し、陽性反応が出ながら、再び報告しなかった疑いも新たに浮上。県警は20日、同法(届け出義務)違反の疑いで3人を再逮捕する。検査に使う抗原や血清は女性職員から入手したらしい。
 県警はこれらの届け出義務違反も、斎藤容疑者の意思によって実行された可能性が否定できないとして、詳しく調べる構えだ。

読売新聞
 
2006年
3月18日
鳥インフルエンザ 養鶏会社元会長も逮捕 
茨城県警 検査妨害の疑い

 茨城県の鳥インフルエンザ問題で、茨城県警生活環境課は18日、鶏の検査妨害に関与したとして家畜伝染病予防法違反(検査妨害)容疑で養鶏会社「愛鶏園」(横浜市)の元会長で獣医師の斎藤太洋容疑者(66)を逮捕した。検査の妨害行為が、同社の上層部を含めた組織ぐるみの犯行との構図が明らかになった。

 調べによると、斎藤容疑者は同社元役員の獣医師、江口郁夫容疑者(58)=同法違反容疑で逮捕=らと共謀して昨年8月下旬、茨城県内の同社の2養鶏場の検査の際、検体を別の養鶏場のものとすり替えて県に提出した疑い。
 斎藤容疑者は大筋で容疑を認めているが、検査妨害の時期について「もう少し早かった」と供述しているという。
 斎藤容疑者は役員会などで「愛鶏園の鶏を殺したくない」「(検査妨害を)うまくやってくれ」などと江口容疑者らに伝えていたという。
 検体をすり替えたり、昨年8月に抗体陽性反応を県に届け出なかったとして県警は2月下旬、同法違反(検査妨害、届け出義務違反)容疑で江口容疑者ら4人を逮捕。県警は、届け出義務違反についても斎藤容疑者の関与を追及する。
 斎藤容疑者はこれまでの共同通信の取材に「(自分の事件への関与は)ないとは言い切れない。研究部門の責任者だから。そこを警察に調べられている」とし、同社が検査妨害をした理由について「鶏を殺したくなかったからだと思う。茨城で発生した(H5N2型の)鳥インフルエンザは病気ではなく、殺処分しなくてよかった」などと話していた。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
3月18日
鳥インフルエンザ検査妨害 
愛鶏園元会長を逮捕/茨城県警

 鳥インフルエンザを巡り、茨城県内に養鶏場を持つ養鶏会社「愛鶏園」(横浜市)の獣医師らが家畜伝染病予防法違反容疑で逮捕された事件で、県警は18日、同社元会長斎藤太洋容疑者(66)を同法(検査妨害)違反の疑いで逮捕した。また、昨年11月にも感染の疑いを届け出なかった同法(届け出義務)違反容疑で、獣医師3人を、20日、再逮捕する。県警は会社ぐるみの妨害行為があったとみている。
 調べによると、斎藤容疑者は、県が昨年8月、同社の2養鶏場を検査した際、元取締役で獣医師の江口郁夫容疑者(58)ら4人と共謀し、別の養鶏場の若鶏の血液を検査対象の養鶏場で採取したと偽って報告し、検査を妨害した疑い。

読売新聞
 
2006年
3月15日
鳥インフルエンザを10分で撃退 帯広畜産大、
特殊素材マスクを商品化=北海道
◆鳥インフルエンザウイルスを10分で撃退 帯広畜産大と繊維メーカー きょうから販売 
 鳥インフルエンザウイルスを破壊する特殊素材を使ったマスクが商品化された。帯広畜産大(北海道帯広市)と繊維メーカーの日清紡(東京)が共同開発し、きょう15日から全国に先駆けて、同大生協で販売される。
 商品名は、ゼオライトマスク(2枚入り525円)。ゼオライトはアルミニウムやケイ素などからなる多孔性の鉱物で、消臭やガスの吸着に優れているのが特長。ゼオライトに、抗菌性のある銅イオンを付着させた繊維をマスクに組み込んだ。
 鳥インフルエンザウイルスに接触させた実験では、10分間でウイルスを包む膜状の「エンベロープ」が99%以上破壊され、感染力を失わせるなど高い効果が実証されている。
 同大と日清紡が2004年から研究を重ねていた。昨年12月にウイルスの「撃退効果」を公表したところ、医療関係者や海外渡航者らから「マスクを作ってほしい」との要望が数多く寄せられ、商品化にこぎ着けた。
 店頭販売は帯畜大生協のみだが、日清紡でも直接購入できる。花粉や他のウイルスにも効果があり、今後研究を重ねて素材の改良や、作業服などへの応用も考えている。

読売新聞
 
2006年
3月15日
高病原性ウイルス確認されず 環境省、渡り鳥700羽調査
 環境省は14日、今シーズンに国内で調べた渡り鳥約700羽から病原性の強い鳥インフルエンザウイルスは発見されなかったと発表した。調査は昨年9月から今年2月末まで、千葉や福島、長崎など5県9か所で行った。

読売新聞
 
2006年
3月15日
高病原性鳥インフルエンザ 国内の渡り鳥「シロ」/環境省
 環境省は14日、今シーズンに国内で調べた渡り鳥約700羽から病原性の強い鳥インフルエンザウイルスは発見されなかったと発表した。調査は昨年9月から今年2月末まで、千葉や福島、長崎など5県9か所の干潟や沼、河口などで行った。シギやカモ、ハクチョウなどが対象。その結果、病原性が強いとされるH5型やH7型のウイルスは見つからなかった。アジアからヨーロッパ、アフリカまで世界中で病原性の強いウイルスが確認され、渡り鳥による伝播(でんぱ)が疑われているが、昨シーズンも、国内の渡り鳥からは見つかっていない。

読売新聞
 
2006年
3月12日
正論 山野美容芸術短期大学教授 中原 英臣
欧州の「鳥インフルエンザ禍」に学ぶ 
       日本の切り札は徹底した水際作戦
■フランスが受けた大打撃
 アジアで発生した鳥インフルエンザウイルスがヨーロッパを襲っている。今回、ヨーロッパで猛威をふるっているのは毒性が強いことから「高病原性」と呼ばれている「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスである。
 最初に上陸したフランスでは、飼育されている七面鳥からウイルスが検出された。日本をはじめ40以上の国は、すでにフランス産の鶏肉とフォアグラの輸入を一時停止している。さらに追い打ちをかけるように、フランス全土で飼育されている3000万羽の家禽(かきん)類のうち、750万羽が集中しているフォアグラの産地であるランド地方で、死亡した野生の白鳥からH5N1型が検出された。フランス政府は大きな打撃を受けた業者の支援に追われている。
 フランスだけではなくドイツでも、2月下旬に北部のリューゲン島で死亡した野良猫からH5N1型が検出された。WHO(世界保健機関)は猫から人間には感染しないとしているが、ドイツ政府は3月1日に感染が確認されている5州の住民に対し、ペットの猫を室内で飼育するように異例の指示を出した。さらに、フランスやドイツ以外でもイタリアやルーマニア、ハンガリーでもH5N1型が次々に確認されている。

■避けられない自然の摂理
 ヨーロッパに上陸したH5N1型は、すでに東南アジアを中心に90人を超える死者を出している。日本でも一昨年に山口県と京都府で発生した鳥インフルエンザのウイルスがH5N1型だったことは記憶に新しい。このH5N1型も朝鮮半島から飛来した野鳥から鶏に感染した可能性が高いといわれたが、ヨーロッパの流行も渡り鳥が媒介したといわれている。
 鳥インフルエンザウイルスは畜産や食品など産業に大きな影響を与えるだけでなく、人間に感染する可能性があるので警戒が必要だ。確かに鳥インフルエンザウイルスは人間への感染力が非常に弱いから、鶏肉や鶏卵を食べても感染する心配はほとんどない。
 ところが鳥インフルエンザウイルスが変異を起こすと、これまで地球上に存在していない新型インフルエンザが誕生する危険性がある。人類が免疫を持っていない新型インフルエンザが発生したら、1918年に発生して4000万人を超える命を奪ったスペインかぜと同じパンデミックの再来になりかねない。
 20世紀にはスペインかぜのほかに、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜとパンデミックが3度も発生している。そうしたことを考えると近い将来、新型インフルエンザウイルスが誕生するのは自然の摂理であるから避けることができない。だからといって人類が無力なわけではない。人類は新型インフルエンザウイルスに対抗する武器を持っている。
■ウイルスに打ち勝った英知
 そもそも人類とウイルスの闘いは人類が誕生した瞬間からはじまった。何十億年も生き抜いてきた進化の古強者であるウイルスと、地球の新参者である人類との闘いはスケールの大きなドラマだった。あらゆる生物と闘ってきたウイルスにとって、人類の誕生はおいしい獲物が増えただけにすぎなかった。
 実際、19世紀まではウイルスの圧倒的な勝利が何十万年も続いた。天然痘ウイルスはインカ帝国を亡ぼし、インフルエンザウイルスは第2次大戦を終わらせ、黄熱ウイルスはパナマ運河の完成を大幅に遅らせた。
 いろいろなウイルスによって膨大な命が奪われたが、人類にはウイルスに抵抗できる武器がなかった。武器を持たないどころか、人類はウイルスの存在すら知らなかったのだから、これほど一方的な戦いもない。
 連戦連敗だった人類がはじめて武器を手にしたのは1796年だった。ジェンナーが見つけた種痘というワクチンである。それから200年、今では多くのウイルスが人類の敵ではなくなった。天然痘を撲滅するほど強力だったワクチンという武器のおかげで、日本脳炎、ポリオ、黄熱、麻疹(ましん)などの感染症は私たちの周囲から姿を消しつつある。
 何十億年もの間ずっと常勝を誇ってきたウイルスは人類の脳に負けたのである。こうしたことを考えると、新型インフルエンザウイルスもそれほど恐れることはない。
 最近は抗ウイルス剤のタミフルという武器もあるし、島国の日本には検疫という手段もある。新型インフルエンザ対策で政府に求められることは、武器であるタミフルの十分な備蓄とSARSの時と同じように水際作戦を成功させることである。
(なかはら ひでおみ)

産経新聞
 
2006年
3月10日
静岡県立大など 新型インフル 人への感染早期検知 
感度、従来の50倍
 静岡県立大学などの研究グループは、人から人に感染する新型インフルエンザウイルスを早期に検知できる手法を開発した。世界中で感染が拡大している鳥インフルエンザウイルスの変異を調べるもので、感度は従来法の50倍程度高い。前処理の操作が不要になり、その分、短時間で解析が可能になる。
 鳥インフルエンザ流行地での監視に役立てるため、国立感染症研究所と性能評価する予定だ。
 静岡県立大と静岡大、ヤマサ醤油の共同研究成果。28日から仙台市で始まる日本薬学会で発表する。
 H5N1型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは、もともと人の細胞に入りにくい構造。ただ、感染を繰り返すうちに遺伝子が変異し、人の細胞に入り込みやすい構造に変わる恐れがある。
 静岡県立大の鈴木隆助教授、鈴木康夫教授らの手法は、ウイルスが細胞に入り込む際に目印にする物質を調べる。目印の構造は鳥と人とで異なるため、人に感染するタイプに変異したかどうか分かる。

日本経済新聞
 
2006年
3月10日
鳥インフルエンザ用ワクチン「H5N1型」、鳥用を開発
シゲタ動物薬品、日本でも量産
 動物用薬品メーカーのシゲタ動物薬品工業(富山県小矢部市)はインドネシアの国立ボゴール農科大学と共同で、最新型の鳥インフルエンザ用ワクチンを開発、4月から生産を始める。世界でも初めての「H5N1型」専用の鳥用ワクチンで、今夏には日本でも量産を開始し、世界29カ国以上に輸出する。
 同社は9日、インドネシア政府から同ワクチンの製造認可を取得した。同ワクチンはリバース・ジェネティクス(逆遺伝子)技術を活用し、世界的に感染が拡大している「H5N1型」の高病原性鳥インフルエンザに対して「従来のワクチンと比べて高い効果を発揮する」(共同開発者の榎並正芳・金沢大学助教授)という。
 同社はジャカルタ近郊に年産21億回分の生産工場を新設するほか、6月には福井県大野市にも年産60億回分の工場を建設する。合計投資額は54億円。
(ジャカルタ=代慶達也)

日本経済新聞
 
2006年
3月9日
トキ観察路を部分開放へ 保護センター、要望に応えて=新潟
◆鳥インフルエンザで閉鎖
 佐渡トキ保護センター(佐渡市)は、鳥インフルエンザ対策として昨年6月から全面閉鎖していた観察通路(約50メートル)を4月中旬ごろから部分的に開放する。
 ケージ内のトキは現在、資料を展示した「トキ資料展示館」内から窓越しにしか見ることができない。茨城県では鳥インフルエンザに感染した鶏の処分が進められており、処分完了後に出される同県の安全宣言を待って、同センターは屋外の観察通路の一部(約10メートル区間)を10か月ぶりに開放する予定だ。
 同センターのトキは80羽まで増え、ケージ内の密度が高まって人などに敏感になっていることから、当初は部分開放とする。同センターの長谷川勝所長は「閉鎖中は、なぜ見学できないのかと多くの方から問い合わせをいただいた。トキが慣れてきたら、少しずつ開放部分を広げていきたい」としている。

読売新聞
 
2006年
3月9日
感染症研究は海外拠点 持続的な連携、アジアと築け(解説) 
 日本とアジア諸国が感染症の研究拠点作りで連携する文部科学省のプログラムが動き出したが、多くの課題がある。(科学部 藤田勝)
 SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなど新たな感染症の脅威が浮上している。こうした事態に対応するため、科学技術政策に関する文科省の懇談会は2004年、感染症の脅威があるアジアの国々に研究拠点を作り、地元国への貢献と同時に、成果を日本の対策に生かす体制作りが必要だ、とする報告書をまとめた。
 これに基づいて今年度、「研究拠点形成プログラム」が動き出した。北海道大、東大、阪大、長崎大が、中国、タイ、ベトナムの研究機関と連携し、日本人研究者が常駐する拠点作りを進める。各国関係者による初のシンポジウムも先月、東京で開かれた。
 日本は、これまでも、国際協力機構(JICA)の事業でアジアの感染症対策に医療支援などを行ってきた。だが、あくまで期限付きで、持続的な関係まで熟していない。研究者の個人的関係を中心に進められているのが実情だ。
 一方、英オックスフォード大は、1970年代後半からベトナム、タイ、ミャンマーなどに拠点を設け、鳥インフルエンザの人への感染例をいち早く分析し、論文発表した。仏パスツール研究所も、100年以上前からベトナムに研究拠点を持っている。
 近年、生物テロ対策もあり国境を超えたウイルスの運搬は困難になりつつあるが、同研究所は、SARSが流行するや、いち早くウイルスを入手し本国で分析を行った。
 ようやく動き始めたプログラムを取りまとめる永井美之・理化学研究所感染症研究ネットワーク支援センター長は「英仏はつね日ごろマラリア、狂犬病、結核などの感染症対策で、現地と良好な関係を築いている。それが有事にも効果的に生かされている点に注目すべきだ」と話す。
 プログラムでは、新たな感染症出現に際し、地の利を生かして病原体分析を行うなど戦略的研究をめざす。ただ、当面5年計画で3年目に中間評価を行い、研究成果が乏しいと判断されれば予算削減で計画縮小もありうるという。投入される国の競争的研究資金が成果主義に基づくためだが、感染症制圧に時間がかかることを考えれば、10年、20年と時間をかけて相手国との関係を築く必要がある。
 また、縦割り行政の弊害で、厚労省の国立感染症研究所が、プログラムに参加していないのも気がかりだ。シンポジウムに招かれた倉田毅感染研所長は「文科省だけでなく、国全体のプロジェクトとして定着させる必要がある」と指摘した。事は国の危機管理であり、省庁の枠組みを超えた取り組みを検討すべきは当然だろう。

読売新聞
 
2006年
3月9日
鳥インフルエンザ対策「詳細な計画、示すべき時期」 
押谷仁・東北大大学院教授
◇専門家会合で議長務めた 押谷仁・東北大大学院教授 
 鳥インフルエンザは欧州に拡大し、全体状況は最近2、3か月だけでも徐々に悪くなっている。世界中で数百万人が死ぬと予想されるパンデミックは、いつ、どこで起きてもおかしくない。各国の専門家は、そうした認識を共有している。
 世界の対応策は、鳥インフルエンザを制御して人の感染リスクを下げる第1段階、抗ウイルス薬の備蓄計画など準備を進める第2段階から、パンデミックが発生した場合の緊急対応と封じ込め策を策定すべき第3段階に入っている。
 多くの国が、行動計画の策定に動いている。だが、米国、カナダ、豪州に比べると、日本政府のプランは総論に過ぎない。詳細な計画を示すべき時期にきている。パンデミックが発生してからでは遅い。
 パンデミック封じ込め策が成功する保証はない。だが、一人でも多くの人の命を救う可能性のある手段が残されているのなら、追求すべきだ。それが私たちの危機意識だ。
(聞き手 ジュネーブ・渡辺覚)

読売新聞
 
2006年
3月8日
鳥インフルエンザ 感染経路などで質問 
飼育者ら出席し意見交換=長野
 関東農政局長野農政事務所は7日、国内外で発生が相次ぐ高病原性鳥インフルエンザに関する意見交換会を長野市内で開いた。
 個人で鶏を飼育している人や県職員ら19人が出席し、同事務所の担当者から、症状、ウイルスの種類、国内外での発生状況、防疫措置などの説明を受けた。
 出席者からは「鳥インフルエンザは犬にも感染するのか」「身近にいるハトやスズメなどへの感染は」といった質問が出され、担当者は「犬への感染は見あたらないが、(可能性は)ゼロではない」「スズメなどに感染する可能性はゼロに等しいと思う」などと答えていた。
 同事務所によると、県内では南信地方を中心に、採卵鶏やブロイラー計約167万羽を66戸が飼育しているが、同局管内では少ない方で、鳥インフルエンザ発生は確認されていない。

読売新聞

 
2006年
3月8日
食安心と価格 第5部 負担だれに@ 鶏業界「ワクチン」で対立 
輸入圧力も影落とす
 鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)騒動を機に、食品業界には食の安全・安心に対する意識が急速に高まった。だが、その対策にかかるコストや様々な負担は商品価格などに転嫁されにくい。日本経済新聞社が実施したアンケート調査の結果も織り交ぜつつ、業界の抱える問題点や負担のあり方を考える。

 鶏卵と鶏肉の業界が真っ向から対立している。
 1月末。鶏卵生産者で組織する日本鶏卵生産者協会は「鳥インフルエンザワクチンの使用について」と題する文書を全国の主な生産者に配布した。現在は使用が禁止されているワクチンの緊急時の使用手順について、農水省と同協会が同25日に合意した内容をまとめたものだ。解禁を求める鶏卵業界にとって一歩前進の日となった。
 昨年、茨城県と埼玉県で鳥インフルエンザが発生した際、未承認のいわゆる闇ワクチンの使用が問題となった。農水省が10月末に出した中間報告でも感染力をなくすための処理が不十分な闇ワクチンが感染原因の1つである可能性を指摘した。
 ひとたび鳥インフルエンザに感染すると、生産者は甚大な損害を被る。移動制限措置や感染した鶏の処分、ウイルス淘汰の確認、鶏舎の清浄化作業。元の生産体制に戻すのに1年から1年半はかかるとされる。再び取引先が戻るとは限らない。
 それだけにワクチンによる予防は業界にとっての悲願だ。同協会の島田英幸専務理事は「相当ハードルは高いが長期戦で臨む」と決意を示す。
 農水省は合意について「あくまで緊急時に国が備蓄しているワクチンを使う場合に関するもの」(消費・安全局動物衛生課)と説明。解禁にはつながらないと強調する。
 一方、ブロイラーなど鶏肉生産者で作る日本食鳥協会は解禁には猛反対だ。ワクチンは投与してから食べても問題がない程度まで残留分が低下するのに36週間かかるとされる。だが、多くのブロイラーはヒナから育てて10週間前後で出荷する。ワクチンが義務化されれば「現在のブロイラーはほとんど出荷できなくなる」(食鳥協会)。
 ワクチンを解禁すれば鳥インフルエンザ感染が常態化した「汚染国」とみなされる。中国やタイなど感染国からの輸入を禁止している根拠を失いかねないという。
 鶏卵の卸値は2004年1月の1キロ85円という戦後最安値から昨年2月には280円まで急騰した。しかし今年1月には125円。04年の鳥インフルエンザによる高騰が輸入卵の急増を招き、その後の値下がりにつながった。
 業界によると昨年の生鮮殻付き卵の輸入量は1万3784トンと前年の11倍。米国やブラジルから輸入される卵は主に業務用だ。加工食品を通じて消費者が知らないうちに輸入卵を食べる機会も増えている。
 鳥インフルエンザ騒動は価格の乱高下を伴いつつ消費者にとって食の安心にかかわる様々なリスクを示した。なおいつ再発してもおかしくない。ワクチンの是非を巡る問題と合わせ、鶏卵・鶏肉の市場構造を大きく変える可能性も秘めている。

日本経済新聞
 
2006年
3月6日
知床の油まみれ海鳥 死骸回収始まる=北海道
 北海道斜里町の沿岸で油まみれの海鳥の死骸(しがい)が多数見つかった問題で、町や道、環境省などの関係者約100人が6日、死骸の回収作業に当たった。
 世界自然遺産地域内のイワオベツ川河口から、約30キロ南西のオクシベツ川河口までの11区域で作業を実施した。参加者は、マスクや軍手をはめ、粘り気の強い油で黒くなった死骸をビニール袋に詰めていった。
 回収した死骸は、同日中に鳥の種類などを分類し、被害状況をまとめる予定。日本野鳥の会オホーツク支部によると、これまでに知床などの海岸で計約580羽の海鳥の死骸が見つかっている。
 作業にはボランティアの参加も予定していたが、北方領土・国後島でも原因不明の鳥の大量死が見つかり、感染症などの発生を警戒して行政機関のみで実施した。
 道は、ハシブトウミガラスなどの死骸3羽を網走家畜保健衛生所(北見市)に持ち込み、鳥インフルエンザの簡易検査を行った結果、陰性だったと6日、発表した。

                                読売新聞
 
2006年
3月6日
主張:鳥インフルエンザ 迅速な情報公開が重要だ
 茨城県の養鶏場を経営する獣医師らが、鳥インフルエンザに鶏が感染しているのを知りながら県に届けなかったとして逮捕された。感染が公になると、鶏を処分せざるを得なくなり、それを恐れての犯行とみられる。
 2年前、京都の養鶏場も届け出が遅れて被害を拡大させ、家畜伝染病予防法違反の罪に問われたうえ、経営者夫婦が自殺に追い込まれた。
 感染を隠すことによる被害拡大は計り知れない。だからこそ速やかな届け出が求められる。行政側も届けやすい環境を整備しなければならない。
 鳥インフルエンザの感染が拡大していくと、人から人に感染する人間の新型インフルエンザに変異する危険性がある。人類はこの新型に免疫を持っていないから、世界で最大7400万人が感染死すると、WHO(世界保健機関)は推計する。
 いま、世界中で強毒の鳥インフルエンザウイルス「H5N1」が、猛威を振るっている。フランスでは七面鳥が大量死し、ドイツでは猫の死骸(しがい)からウイルスが見つかった。アフリカでも被害が出ている。
 厚生労働省によると、H5N1ウイルスは、新型に変異しなくとも、2003(平成15)年12月以降だけでも、ベトナム、インドネシア、タイ、カンボジア、イラク、トルコ…と、次々に人に感染し、発症させている。世界7カ国で計170人以上が発症、うち90人以上が死亡した。
 この7カ国中、中国では15人が発症し、9人が死んでいるというが、果たしてこれだけだろうか。中国はSARS(新型肺炎)の患者数を過少申告して世界から「情報隠蔽(いんぺい)」と非難された経緯がある。それにウイルス学者は、新型が中国南部で発生する可能性の高さを指摘している。昨年2月に別の弱毒タイプの発生しか公表していない北朝鮮も、WHOによる詳しい調査が必要だろう。
 新型インフルエンザウイルスが発生した場合、各国が協力して水際で防ぎ、抗ウイルス薬を使いながら時間を稼いでその間にワクチンの製造・量産態勢を築き上げることが重要だ。ウイルスに国境はない。中国や北朝鮮など地球上のどこで新型が発生しても、迅速な情報の公開が求められる。

                                産経新聞
 
2006年
3月3日
[検証06・1兆円県政](2)鳥インフル対策(連載)=茨城
 ◆「強化」でも不安残る
 「もしかしたら、うちの鶏も」。昨年8月、小川町内で初めて鳥インフルエンザの感染が確認されたとき、同町与沢で養鶏場を経営する中村強さん(62)は漠然とした不安を募らせた。
 中村さんは開放型と密閉型両鶏舎で計13万羽の鶏を飼い、採卵していた。開放型鶏舎はネットで野鳥の侵入を防ぎ、毎朝欠かさずに鶏の健康状態を見ていた。鶏には外見からは何の異常もなかった。
 しかし、悪い予感は的中した。県の緊急立ち入り検査で、9月、感染歴を示す抗体が検出された。さっそく開放型鶏舎の約3万羽は処分された。
 「何とか鶏を生かそうと努力してきたのに」。ずっと一家を養ってきてくれた鶏が目の前で次々殺されていく光景には、さすがに涙が止まらなかった。
 残りの10万羽は感染拡大の可能性が低いとされる密閉型鶏舎にいたため、監視状態に置かれた。採卵と出荷は続いているものの、こちらも今月22日には処分が始まる。
 鳥インフルエンザはその毒性に強弱がある。県内で昨年6月以降、相次いで見つかったH5N2型は毒性が弱く、症状がほとんど見られない。
 だが、むしろそれが災いし、感染の確認や防疫など行政の対応は遅れた。結局、感染が見つかった採卵用40養鶏場の580万羽は処分せざるを得なくなった。県内の採卵用の鶏のほぼ半分に及ぶ。
 これを教訓に県の2006年度の鳥インフルエンザ対策は監視体制の強化に重点を置いた。たとえば既に毎月1回、1000羽以上飼育している採卵用12養鶏場で感染の有無を調べてきたのを、一気に40場に増やす。食肉出荷している70場でも年1回検査を行う。
 衛生管理指導にも力を入れ、県内4家畜保健衛生所の獣医師らが年2回養鶏場を回り、養鶏場に鶏の死亡率や産卵率の推移を毎月、報告させるようにする。
 県はこのように防疫措置や監視体制を強化するとともに、監視状態の鶏の処分がすべて終了する4月にも鳥インフルエンザの終息を宣言する方針。さらに鶏肉鶏卵の消費拡大キャンペーンも展開していく。
 しかし、だからと言って養鶏場の立て直しが楽になるわけではない。防疫措置が完了しても飼育再開には試験的に鶏を一定期間飼わなければならないし、終息宣言を前にしてはなかなか身動きは取れない。実際、感染が見つかった県内40場のうち、飼育再開にこぎつけられたのはまだ10場だ。
 中村さんは5月ごろ飼育を再開し、段階的に鶏を買い増しながら、今年末までにその数を13万羽に戻そうと思っている。それでも鶏卵出荷が軌道に乗るのは早くて来年初め。「出荷が本格化するまでに、これまでの取引先を失ってしまうのではないか」と腕を組む。
 中村さんの心配は実はもっと深い。「『まさか茨城で』で始まったこの騒動。今後、京都のような強毒性の鳥インフルエンザが発生しない保証はない」
 万が一、鶏がバタバタと死に、人間への感染すらありえる強毒性が茨城に入り込んだとき、「行政は一体どういう手を打つのか。ぜひ今から考えてもらいたい」。こう望んでいる養鶏業者は中村さんだけではない。(成海隆行)

                                読売新聞
 
2006年
3月2日
新型インフルエンザ流行地の船 新潟県 拒否条例案
 鳥インフルエンザや、より毒性の強い新型インフルエンザの出現と世界的流行に備え、新潟県は流行した国や地域から、県内に入る船舶の入港を拒否できるよう県港湾管理条例を改正する。6日にも県議会へ改正案を提出。可決されれば、今月中に運用を始める。
 ペストや新型肺炎SARSなど感染症予防法で定められた重大な感染症が、船舶を通じて持ち込まれるのを防ぐ狙い。
 県がまず、世界保健機関(WHO)や厚生労働省、国立感染症研究所などから流行情報を入手。その地域から県内に向かう船舶について、代理店から入港の許可申請が出される前に、入港を拒否する姿勢を周知する。

                                朝日新聞
 
2006年
3月1日

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鳥インフルエンザ 愛鶏園、検体を偽名で送る 
元取締役、動衛研の知人に=茨城
 ◇真相・鳥インフルエンザ
 鳥インフルエンザの抗体が見つかりながら県に届け出なかったなどとして、養鶏会社「愛鶏園」の元幹部らが家畜伝染病予防法違反容疑で逮捕された事件で、元取締役の江口郁夫容疑者(58)が「動物衛生研究所」(つくば市)の女性職員に抗体検査を依頼した際、ほかの職員に分からないよう、検体を送る際に偽名を使っていたことが分かった。県警は、陽性反応を恐れた江口容疑者が初めから結果を隠すつもりだったことを示す工作とみている。
 調べによると、江口容疑者は昨年6月以降、研究所に検体を数回宅配便で送り、知り合いの女性職員に抗体検査を依頼した。その際、送り状には偽名を書き込んでいた。また表向き、検体は「愛鶏園」ではなく、別の養鶏場の鶏ということにしていた。
 こうした工作について県警は「女性職員とは知り合いなので、偽名やよその養鶏場の検体にした点について、事前に何らかの連絡と了解があったはず」とみている。
 ◆農相、捜査状況を見守り「対応決める」
 中川農相は28日の閣議後の記者会見で、事件に触れ、「動物衛生研究所の獣医師が関わっているかどうかの捜査が行われ、養鶏業者関係者が逮捕された。いずれも(農水省の)所管のことであり、捜査状況を見守りながら対応を決めたい」との考えを示した。

                                読売新聞
 
2006年
2月28日
「鳥インフルエンザ感染」未届け 獣医師ら4人逮捕 
茨城県立
ち入り 検体偽り提出も
 茨城県の養鶏場を中心に昨年、鳥インフルエンザに感染した鶏が見つかった問題で、感染を知りながら県に届けなかったなどとして、茨城県警は27日、家畜伝染病予防法違反(届け出義務違反、検査妨害)の疑いで大手養鶏会社「愛鶏園」(横浜市)の元役員で獣医師、江口郁夫容疑者(58)ら4人を逮捕した。
 ほかに逮捕されたのは、同社の研究開発部長だった獣医師、前田良雄(53)▽同部の獣医師、中村貴則(36)▽同部勤務、中根智宏(32)−の3容疑者。犯行にかかわった疑いがあるとして、独立行政法人「動物衛生研究所」(同県つくば市)の女性獣医師からも任意で事情を聴いた。
 調べでは、江口容疑者らは昨年8月、同社の養鶏場の鶏が鳥インフルエンザに感染しているのを知りながら、獣医師に義務づけられた県への届け出を怠った疑い。また県が同月に立ち入り検査した際、別の養鶏場の検体を偽って提出した疑いも持たれている。
 江口容疑者は昨年8月、動衛研の女性獣医師に非公式に検査を依頼し、感染が判明していた。県の告発を受けた県警は昨年12月、同法違反(検査妨害)の疑いで愛鶏園本社や動衛研を家宅捜索した。
 茨城県を中心とする鳥インフルエンザ禍は昨年6月、同県水海道市(現常総市)の養鶏場で初めて発覚。これまでに同県と埼玉県の計41養鶏場で感染を確認し、約580万羽の処分が決まっている。この問題をめぐっては、農水省の家き