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  世界の鳥インフルエンザ ニュース

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世界の鳥インフルエンザHOMEへ

2006年
9月12日
鳥インフルエンザ 人用ワクチン開発急ぐ
インドネシア、米社と生成にメド 
感染研など日本勢、大規模臨床試験へ
 【ジャカルタ=代慶達也】鳥インフルエンザの人への感染防止に向けた動きが加速している。死者数が世界最多の48人に達したインドネシアでは今秋、国営製薬会社が米社と組んで人用ワクチンを生成、来年6月にも製造を開始する。日本では今月から1000人以上が参加する大規模な臨床試験が始まる。鳥から人への感染増加は人から人にうつる新型ウイルスの発生につながる可能性があり、アジア各国は人用ワクチンの実用化を急ぐ方針だ。

 ウイルスの型は感染が広がっている地域で微妙に異なるとされる。このため各国は独自にワクチン開発を進めている。感染した鳥の処分などが遅れているインドネシアでは人への感染が際立って多い。
 世界保健機関(WHO)は今年半ば、インドネシア北スマトラ州などで人から人への感染が起きた可能性があると指摘、調査を続けている。死者はジャワ島とスマトラ島に集中していたが、今月にはスラウェシ島でも確認され、感染エリアの拡大が懸念されている。
 インドネシア国営のビオ・ファルマは米バクスター・バイオサイエンスと高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の人用ワクチンを生成する。国内で検出されたウイルスをもとにバクスターが開発、ビオ・ファルマが製造する。
 両社は11月に臨床試験を開始、有効性と安全性を確認する。インドネシア保健省によると同国のウイルス向けワクチンでは製品化に最も近いという。
 2004年から05年にかけて人への感染が深刻化したベトナムのワクチン開発では、日本勢も積極的に取り組んでいる。国立感染症研究所はデンカ生研(東京・中央)、北里研究所(東京・港)、阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)、化学及血清療法研究所(熊本市)のワクチンメーカー4社・団体と共同でワクチンを開発中。ベトナムで人に感染したウイルスを使い、弱毒化させてワクチンを生成した。
 感染研などは今年初めから臨床試験を開始、早ければ9月中に大規模試験に移行する。メーカーは今年度中にも承認申請する方針。
 中国では衛生省傘下の中国疾病予防コントロールセンターなどが人用ワクチンの開発を進めている。8月末に公表された第1期臨床試験の結果によると、同試験は120人を対象に実施、ワクチンが人体内で有効に働くことが確認された。同センターでは近く300−400人の被験者を対象に第2期臨床試験に入る。

▼鳥インフルエンザ
 鳥だけに感染するインフルエンザウイルスによって発症する病気。特に死亡率が高いものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼ぶ。強毒性のH5N1型がアジアを中心に欧州やアフリカに拡大、世界保健機関(WHO)が対応を急いでいる。
 鳥から人へは原則感染しないが、養鶏業者など接触機会が多いと感染することがある。今年3月に鳥インフルエンザ感染による死者は世界で100人を突破。9月8日時点で143人に達した。インドネシアとベトナムで全体の6割超を占める。

日本経済新聞夕刊

鳥インフルエンザに関するワクチン開発の状況
鳥インフルエンザ(H5N1型)による主な国の死者数

 
2006年
8月15日
鳥インフルエンザ 10代で致死率73% WHO分析
 高病原性の鳥インフルエンザウイルスH5N1に人が感染した場合、致死率は56%に達し、特に10〜19歳では73%と高率になるとの分析結果を世界保健機関(WHO)が発表した。乳幼児や高齢者の死亡が多い通常のインフルエンザとの違いが明確になった。
 WHOは、2003年12月〜06年4月末に、H5N1に感染したと確定診断された9か国203人の患者を対象に致死率を調べた。その結果、10〜19歳は49人中36人が死亡し、致死率は73%と最も高かった。次に高いのは20〜29歳で62%。逆に最も低いのは50歳以上で18%だった。9歳以下は40%程度で中程度だった。
 若者の致死率が高い理由について、一部の研究者は、若い世代ほど未知のウイルスに対する免疫反応が過剰に働き、自分の体を攻撃してしまうためと推測している。
 患者は1年を通して発生しており、その90%は40歳未満。大半が熱帯地方だが、北半球の冬から春に増える傾向があり、今後も同じ傾向が続くなら、今年の終わりから来年初めにかけて患者の急増が予想される。

読売新聞
 
2006年
8月11日
インドネシア 鳥インフルエンザ死者44人に
 【ジャカルタ支局】世界保健機関(WHO)とインドネシア保健省は10日、H5N1型の鳥インフルエンザによるインドネシアでの感染死者数が44人になったことを確認した。感染者数は死者を含め56人。8日にジャカルタ近郊で死亡した女性(17)が血液などの検査の結果、同型の鳥インフルエンザにかかっていたと判明した。
 インドネシアの鳥インフルエンザ感染死者数はこれまで最多だったベトナムの42人を上回っている。同国は今年の感染者数、死者数ともゼロで鳥インフルエンザを押さえ込んでいる。

日本経済新聞
 
2006年
8月10日
鳥インフルエンザ 東南アジア感染拡大 インドネシア44人目死者
予算なく衛生管理徹底できず
 世界保健機関(WHO)は9日、インドネシアの首都ジャカルタ郊外で7日に死亡した少年(16)ら2人が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していたことを確認した。同国の累計死者数は44人となり、ベトナムを2人上回って世界最多となった。感染多発地帯である東南アジアでは、沈静化していたタイでも7月以降、死者が増え始めており、感染の拡大に歯止めが掛からない状態だ。
(シンガポール 藤本欣也 バンコク 岩田智雄)

■インドネシア
 もう1人の死者はジャカルタ北部出身の少女(17)で8日に鳥インフルエンザウイルスに感染した疑いで死亡、最終確認を急いでいた。
 同国で初めて死者が確認されたのは昨年7月。以後、わずか1年余りの間にジャワ島からスマトラ島などへ「世界最悪のペースで感染が拡大」(WHO)している。
 同国で感染拡大を食い止められない原因の1つは、予算不足のため、感染が疑われる鶏の処分を徹底できないことにある。1羽当たりの補償金は1万ルピア(約130円)と市場価格より安値で、非協力的な農家も多い。ワクチン投与や啓発活動も、鶏を放し飼いにしている都市部までカバーできていないのが現状だ。
 「感染を繰り返すことでウイルス変異が起き、感染力が強まる恐れがある」(国連)とも指摘されており、北スマトラ州では5月、人から人への感染が複数回起きた。気温が下がり始める9月以降、感染がさらに拡大する懸念も高まっている。

■タイ
 タイでは、鶏肉の輸出に影響が出ることやウイルスの発見が難しくなることを避けるため、政府が家禽(かきん)類へのワクチン接種を禁止している。しかし最近、中国から大量の違法ワクチンが密輸されていることが発覚した。
 農業・協同組合省家畜開発局が9日明らかにしたところでは、ワクチンを中国からタイ北部チェンライに密輸し、国内の広範囲で売りさばいていた業者が摘発された。ワクチンは1回分3、4バーツ(1バーツは約3円)という安値で流通。違法ワクチンの乱用により、ウイルスが変異することが心配されるという。
 さらにタイでは、最近相次いで2人の鳥インフルエンザによる死者が発生したため、政府が対策に追われている。全国の100病院に隔離病室を建設する緊急予算が8日、閣議決定された。

■ベトナム
 インドネシアに次いで死者が多いベトナムでは昨年12月以来、鳥の感染も報告されていない。鶏肉のほとんどが国内市場向けであるベトナムは、徹底した家禽類へのワクチン接種で当面のウイルス封じ込めに成功した。しかし近隣国での流行が国内に飛び火する恐れもあり、政府は神経をとがらせている。シンガポールも7月下旬、病院や学校で感染拡大を防ぐ大規模訓練を行った。
 今年5月に亡くなった李鍾郁(イ・ジョンウク)WHO事務局長は生前、「もはや新型インフルエンザの出現は避けられない。『もしも』ではなく時間の問題である」と指摘。アジア開発銀行(ADB)は、鳥インフルエンザが大流行した場合、アジア(日本を除く)経済に最大約3000億ドル(約35兆円)の損失をもたらすと試算する。日本政府は東南アジア諸国の対策支援のため、治療薬タミフル50万人分、マスクなど防護用品70万人分の提供を表明している。

産経新聞

アジアの鳥インフルエンザ「H5N1」の人への感染分布
 
2006年
8月3日
BSEで12年ぶり赤字転落 米タイソン・フーズ
 鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)問題の影響で、米食肉最大手タイソン・フーズの2006年度(05年10月〜06年9月)の業績が12年ぶりの最終赤字に転落する見通しになった。同社は経営陣の刷新や大規模なコスト削減計画を打ち出したが、業績の回復には時間がかかりそうだ。

■飼料が値上がり
 同社の4〜6月期の売上高は、米国産牛肉のBSE危険部位混入問題で日本をはじめアジア各国が禁輸措置を取ったことや鳥インフルエンザで鶏肉需要が減退した影響で前年同期比4.8%減の63億8000万ドル(約7273億円)となった。
 減収は比較的小幅にとどまったものの、加工機械用燃料や飼料のトウモロコシが大幅に値上がりしたため、全売り上げの約4分の3を占める牛肉・鶏肉部門のコストが上昇。ブルームバーグによると、営業損失は牛肉部門で1000万ドル(約11億円)、鶏肉部門で5900万ドル(約67億円)に達した。
 この結果、最終損益は5200万ドル(約59億円)の赤字となった。最終赤字は1〜3月期に続き2四半期連続。同社は06年度通期業績についても1994年度以来の最終赤字転落が避けられなくなったと発表した。
 これを受け、米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズは、同社の格付けを投資適格の格付けとしては最低の「BBBマイナス」に引き下げた。
 同社は業績回復に向け、今年5月、最高執行責任者のリチャード・ボンド氏を最高経営責任者(CEO)に昇格させるなどの経営陣の刷新に続き、7月には中間管理職を中心に420人を削減する総額2億ドル(約228億円)のコスト削減計画や鶏肉減産などの対策を打ち出した。
 また、米紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、鶏肉需要が急回復している中国での合弁会社設立を検討しているほか、カナダの主力工場で人件費の安いフィリピン、東欧の労働力を活用する方針を明らかにするなど、海外での販売拡大や経営効率化も進めている。
 ただ、売り上げの急速な回復は望み薄だ。
 日本では、7月下旬に米国産牛肉の輸入再開に踏み切ったものの、米食肉処理会社クリークストン・ファームズ・プレミアム・ビーフ(カンザス州)のスチュアートCEOは「大多数の日本の消費者は米国産牛肉の購入と消費に極めて慎重になっている」と述べ、日本で米国産牛肉のシェアを回復するには時間がかかると指摘した。
 韓国でも米側の取り組みが不十分とし、現在も輸入を停止したままだ。
 タイソンは「一連の業績回復策の効果が表れるのは来年度以降」としている。
 
フジサンケイビジネスアイ

タイソン・フーズの株価の推移

 
2006年
8月2日
ニュースの理由 インドネシア、鳥インフル拡大 
財政難、感染対策進まず
 インドネシアで7月、H5N1型の鳥インフルエンザによる感染死者数が累計で412人に達し、世界最多のベトナムに並んだ。ただすでに沈静化したベトナムと違って、インドネシアではいままさに感染が拡大している。人から人への感染例も報告され、世界保健機関(WHO)も世界的大流行を危惧。対策強化を求めるが、政府や自治体の反応は鈍い。

 「鳥インフルエンザなんてこの町では発生していない」。北スマトラ州カロ県に暮らすジョニーさんは憤然とした表情で話す。WHOが5月、ジョニーさんと同じ地区で相次いで亡くなった7人の死因が人から人への感染だった可能性が高いと発表したことが、地元での反発を招いた。
 ジョニーさんは数10人の仲間と死んだ鶏の血を飲む抗議行動を展開、「貴重な財産である鶏が次々処分されては生活が成り立たない」と訴える。北スマトラ州政府は「確証がない」と、州内の鶏の大量処分には否定的。WHOが付近の親族など数十人を隔離した事実も隠すなど、感染対策の前途多難をうかがわせている。 インドネシアでは昨年7月にジャカルタ郊外で公務員の男性が感染死して以降、死者が急増。今年は7月末までに31人が死亡、全世界の5割以上を占める。
 同国内の鶏の飼育数は12億羽以上で、世界では中国に次いで多い。人口の9割を占めるイスラム教徒が豚肉を口にしないため、鶏肉の消費量が大きい。農村部では鶏は放し飼いで、人と接する機会が多い。
 現時点ではWHOが感染死を確認した人の約6割はジャカルタ首都圏に集中しているが、これは比較的医療体制が整っていることの反映とみられる。農村部では普通の肺炎と誤診されるケースが多いほか、地域住民のみならず自治体も実態解明に及び腰。「実際の死者は公表の数倍に上るのでは」と保健省の幹部は懸念する。 大半の州政府は深刻な財政難にあり、鶏の大量処分やワクチン投与などを負担する余裕がない。政府は感染撲滅には今後3年間で9億ドルが必要と試算するが、こちらも財政難に悩んでおり、地方を支援するのは難しい。

 鳥インフルエンザの発端となったベトナムでは、政府が鶏の強制処分や都市部での鳥類売買禁止などを断行し、感染封じ込めに成功した。しかしインドネシアは民主化してから政府の強権が好まれず、国土は広い。ユドヨノ大統領は「困難な問題」と頭を抱える。
 今年になってトルコやエジプトで新たに死者が報告されるなど鳥インフルエンザの終息がまだ見えない中、インドネシアからの流行再発への懸念は強まっている。英科学誌ネイチャーは7月、カロ県の感染でWHOが公表していない多くのウイルスの遺伝子変異があり、感染の繰り返しとともに変異が急増した痕跡が見られると報じた。
 WHOジャカルタ事務所のサリー・スティオギ氏は「再び人から人への集団感染が起こる可能性は高い」と指摘する。インドネシアが本格的な対応に動くのはいつだろうか。
(ジャカルタ=代慶達也)

日本経済新聞夕刊

主な国別の鳥インフルエンザ死者数
 
2006年
7月21日
鳥インフル インドネシアで急拡大 死者、世界最多に
 【ジャカルタ=藤谷健】世界保健機関(WHO)当局者は20日、2週間前に死亡したジャカルタ在住の男性(44)が鳥インフルエンザウイルスに感染していたと明らかにした。インドネシアの死者数は42人となり、ベトナムと並んで世界最多となった。ただ、ベトナムでは鶏の大量殺処分などで封じ込め、今年は感染報告がない。インドネシアでは政府の対応が遅れ、最速のペースで感染が拡大している。
 ジャカルタ郊外にあるバンテン州ガルット村。75カ所の大規模な鶏小屋があり、30万羽以上が飼われる「養鶏の村」だ。20日、農業局と地元大学が協力し、鳥インフルエンザの講習会を開き、50人ほどが参加した。
 専門家が「死んだ鳥は素手で触ってはいけない。もし高熱やのどの痛み、下痢などの症状が出たら、直ちに保健所に行ってください」と説明すると、村人はメモをとりながらうなずいた。
 インドネシアでは03年に鳥への大量感染が判明。05年7月にジャカルタ郊外で初めて人への感染が報告され、その後わずか1年で急速に広がった。
 政府は昨年12月、鳥インフルエンザ対策の戦略計画を発表。今年3月には省庁横断的な国家委員会も設置した。バユ・クリスナムルティ事務局長(経済担当調整副大臣)は「治療薬タミフルの生産を始めるなど、できる限りの手は打った」としながらも、いくつかの問題点も認める。
 その1つが、ワクチン接種の限界。都市部の一般家庭で飼う家禽(かきん)までは手が回っていない。WHOによると、感染者の9割までは都市部の住民だ。
 国際社会の支援も遅れている。1月に北京で開かれた国際会議で11億ドルの拠出が約束されたが、先月までの拠出額は3億ドルに満たないという。

朝日新聞

鳥インフルエンザによる死者数
 
2006年
7月21日
鳥インフルエンザ インドネシア死者42人 
対策遅れ、世界最多並ぶ
【ジャカルタ=藤本欣也】インドネシアの保健省当局者は20日、新たに男性1人の鳥インフルエンザ(H5N1型)による死亡が世界保健機関(WHO)の検査で確認されたと発表した。同国の累計死者数は42人になり、ベトナムと並んで世界最多となった。今のところ人間に大流行するようなウイルスの変異は確認されていないが、WHOは、警戒を強めている。

 ベトナムでは今年に入ってから鳥インフルエンザによる死者は1人も出ておらず、鶏の大量処分などの感染防止策が成功したとみられる。これに対し対策が遅れているインドネシアでは世界で最も速いペースで死者が増えており、国連食糧農業機関(FAO)などが「最も警戒すべき地域」と警告していた。
 さらに2004年にインド洋大津波、今年5月のジャワ島中部地震に続いて今月17日にも津波に襲われ、医療、検疫などの体制を鳥インフルエンザ対策に十分に割けない状態となっている。
 AP通信などによると、今月12日、インドネシアの首都ジャカルタ郊外に住む44歳の男性が死亡し、H5N1型のウイルスが確認された。男性は鶏の空揚げを路上で売っており、毎日のように鶏と接していた。
 感染を封じ込めるためには、養鶏場などの鶏を大量処分して感染源を断つことが重要だ。しかし、同国では貧困や、鶏の処分に対して国の補償が十分ではないことなどから、徹底した対策が講じられていない。しかも「約2億3000万人が1万数千の島に散らばって住んでおり、感染防止教育を普及させるのは難しい」(保健当局者)という。
 同国北スマトラ州カロ県では今年4〜5月、感染した家族8人のうち7人が死亡した。このケースでは鶏への感染後、人から人への連鎖感染が起きた恐れが指摘されている。
 世界で確認された死者は133人で、感染した場合の致死率は58%にも達している。WHOはウイルスが変異して大流行の引き金となる危険性も十分にあるとして、対策の徹底と警戒を呼びかけている。

産経新聞

鳥インフルエンザ「H5N1」の人へのへの感染分布

 
2006年
7月10日
感染急拡大のインドネシア 
鳥インフル対策に9億ドル 治療薬国内生産へ
 【ジャカルタ=代慶達也】インドネシア政府は感染が急拡大している鳥インフルエンザ対策を強化する。今月中にも治療薬「タミフル」の国内生産を始めるなど今後3年間に9億ドル(約1000億円)を投じる。この1年間で感染死者は世界で2番目の40人に達しており、対策強化で感染拡大に歯止めをかける。

 インドネシア政府は近く国営製薬会社キミ・ファルマに治療薬「タミフル」の製造認可を与える。タミフルはスイス製薬大手ロシュが開発した治療薬で、インドネシアでは同薬の特許が保護されていないが、国内使用分に限ってロシュが製造を認めた。キミ・ファルマは2000万錠を量産する。タミフルは現在世界9カ国で製造されている。
 インドネシア政府は感染鳥の処分やワクチン投与も促進する。感染の疑われる鶏の買い取り額は現在1羽当たり1万ルピア(約120円)だが、市場価格に比べて安いと反発が強いため、買い取り額の引き上げも検討中だ。
 インドネシアでは5月に北スマトラ州でヒトからヒトへの感染例が報告され、世界保健機関(WHO)は「世界最悪のペースで感染が拡大している」と指摘している。現在までに損失額は10兆ルピア(約1200億円)を超え、養鶏業者の約2割に当たる1000件以上が倒産、2万人以上が職を失った。
 感染死者は現在、ベトナムがトップで42人だが、今年に入って感染者が報告されておらず、インドネシアが抜くのは時間の問題とみられる。
 感染症対策は15日からの主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で主要テーマとして取り上げられる見通しで、国際社会の取り組みも進んでいる。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
6月24日
03年、北京のSARS死 実は鳥インフル? 情報隠し可能性も
 【北京=新貝憲弘】香港紙「明報」は23日付で、2003年11月に北京で新型肺炎(SARS)と診断され死亡した男性が実は鳥インフルエンザ(H5Nl型)に感染していたと、中国の医師ら8人が米医学誌に共同発表したと伝えた。世界保健機関(WHO)は中国衛生省に確認を求めたという。
 8人は北京にある3つの医学研究機関の医師、研究者で、03年前半にSARSが猛威をふるった時の研究メンバーも入っている。彼らは米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で「男性からSARSウイルスは見つからず、ウイルスを分析したらH5N1型だった」と発表した。
 中国大陸で最初の鳥インフルエンザ感染者は05年11月に発見となっている。共同発表が事実なら、その2年前に感染者がいたことになり、情報を隠ぺいしていた可能性もある。明報によれば、共同発表者の数人が発表の撤回を求めたがその理由は不明という。

東京新聞

 
2006年
6月17日
鳥インフルがカナダで発生
【シカゴ=山下真一】カナダ食品検査局は16日、同国東部のプリンスエドワード島でガチョウから鳥インフルエンザウイルスを発見したと発表した。ウイルスはH5型だが、アジアなどで死者を出している病原性の高いH5N1か、病原性の低いH5N2かは不明。カナダでは昨年末にH5N2が発見されている。今回のウイルスがH5N1の場合、北米で最初の感染例となる。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
6月17日
中国・深セン 男性が鳥インフル感染
 中国衛生省は広東省深セン市内の病院に入院中の男性(31)が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していることを確認したと発表した。男性は6月3日に発病し、肺炎などの症状で入院。感染の疑いで衛生省が調査していた。中国で鳥インフルエンザ感染が確認されたのは19人目。うち12人が既に死亡している。
(上海支局)

日本経済新聞
 
2006年
6月14日
鳥インフルエンザ 深センで感染者か
【上海=川瀬憲司】中国広東省深セン市の衛生局によると、同市内に住む31歳の男性が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した疑いがあることが分かった。新華社が13日伝えた。香港と隣接する深センには証券取引所があるほか、日系を含む外資企業も多数進出している。
 患者の男性は3日に発病。その2週間前に同市内の市場で食肉処理済みの鶏を購入し、家族で食べたという。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
6月10日
インドネシア 鳥インフルエンザ感染拡大 WHOに危機感
年間死者数、ピーク時のベトナム抜く
 インドネシアで、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染拡大が勢いを増している。5月に入ってジャワ島のほかスマトラ島でも集団感染が発生。世界保健機関(WHO)の検査で確認された死者は、6月6日現在で37人となった。うち26人が今年の死者で、累計死者数最多国ベトナムのピーク時の年間死者数20人(04年)をすでに上回っている。鳥インフルエンザの世界的な密集発生地帯となっている東南アジアの中でも例のない急速な拡大に、WHOも危機感を強めている。
【ジャカルタ井田純】

■啓発活動なし
 昨年から4人の感染死が確認されているジャカルタ近郊のバンテン州タンゲラン県。政府の鳥インフルエンザ対策のパイロット地区に指定された。1年ほど前に家畜の処分が行われた集落に子供5人と住むウィグニュさん(47)は、今も一角に調理場のある広い土間で5羽の鶏を飼っている。
 「うちの鶏は元気だから大丈夫。病気になったらアスピリンを飲ませる」。鶏の異常や病死が発生しても、届け出るように指示されたことはないという。周囲も家畜を飼う世帯が大半だが、鳥インフルエンザ発生地区でさえ一般の認識は低い。
 ジャカルタ中心部でも、裏通りでは放し飼いの鶏を見るのは珍しくない。実際、ジャカルタ特別州の人口の4割以上が、鶏など家畜と日常的に接触する環境で生活している。全国ではさらに比率は高いとみられるが、広範な啓発活動は行われておらず、国民の危機意識も薄い。

■消極的な行政
 感染拡大防止には、市民の意識向上などに加え、処分した家畜への補償が重要だ。異常があった際の積極的な政府への報告を促すためだが、ジャカルタと近郊での補償額は鶏1羽あたり1万ルピア(約120円)程度と市場価格の半分以下。しかも、この額すら行政当局に負担が大きく、処分実施に消極的な傾向がある。
 5月2日、ジャカルタで、日本から東南アジア諸国連合(ASEAN)への鳥インフルエンザ対策支援物資が引き渡された。この際、尾身茂・WHO西太平洋地域事務局長は、各国の対策について「国によって成功と失敗に分かれている。タイやベトナムのように対策に成功した国もある」と述べ、インドネシアに一層の努力を求めた。
 WHO関係者は「省庁間や、中央と地方の連携に問題がある」と指摘する。スマトラでは、保健省と農業省がそれぞれの調査で整合性のない発表を行い、別の担当部局が批判する――という事態も起きた。感染地域の封鎖や家畜の処分などが効率的に行われないうちに感染が広まり、感染源特定も困難になる状況を招いている。

■自衛対策必要
 また、治療対策も進んでいない。各国が人口の2〜3割を目安に備蓄を進める治療薬タミフルも、2億2000万人以上が住む同国では国立病院に数万人分があるだけ。駐在員ら約1万人の日本人が住むジャカルタでは、独自に対策を取る日系企業も多い。
 約30人の日本人が勤務するある企業の支店では、昨年、日本に出張した社員にタミフルを大量に入手させ、持ち帰らせた。ある社員は「電子メールで配布が通知され、日本人社員にだけ、1人10錠ずつ配られた」と明かす。医療水準も高いとはいえないため、「結局は自前で備えるしかない」(別の日系企業社員)という自衛の認識が次第に広まっている状態だ。

毎日新聞
 
2006年
6月7日
ウィーンで鳥インフルエンザ国際会議 
「人・人感染」地球規模対応探る
 インドネシアで鳥インフルエンザ(H5N1型)による37人目の死者が5日に確認されるなど、鳥インフルエンザの人への感染がおさまらない。2003年からの死者は全世界で128人で致死率は57%。「新型インフルエンザ」発生に備えるためには国際協力が欠かせないことから、米国と欧州連合(EU)の呼びかけによりウィーンで6日、2日間の日程で高級事務レベル会議が始まった。
(杉浦美香)

 同会議は昨年9月、ブッシュ米大統領が提唱し、翌10月に世界85カ国の代表が集まってワシントンで開催された「インフルエンザ国際パートナーシップ」会議の拡大版。
 会議では、今年1月に北京で開かれた鳥インフルエンザ支援会合で、34カ国が拠出するとした総額19億ドルのうち、約15%にあたる2億8600万ドルしか拠出されていないことなどが報告される予定だ。AP通信によると、これまでに拠出金の全額、もしくは一部を支出している主な援助国は、日本、スイス、フィンランド、チェコ、米国の5カ国という。会議では各国の感染状況や抗ウイルス剤の備蓄、ワクチン開発状況なども報告される。
 鳥インフルエンザの人への感染は、感染者が多い東南アジアの中でも特に、インドネシアで続いている。
 北スマトラ州カロ県の農村地帯では人から人に移ったとみられる集団感染が起こった。その最初の例とみられる女性が死亡したのが5月4日。その後、家族や近くの親族7人が感染、うち6人が相次いで死亡した。これまでにもタイやベトナムで人から人に感染したとみられる例があるが、今回は「人・人感染」が複数回起こった可能性があるという。
 42人と最多の死者を出したベトナムでは今年になって1人の感染者も出ていない。タイも同様で、両国は封じ込めに成功したといえるが、インドネシアでは、徹底した鳥の処分が行われないなど十分に対応できているとはいえない。
 国立感染症研究所の谷口清州・感染症対策計画室長は「現在のところ世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザの警戒レベルを上げていないが、人・人感染が拡大した場合、早期封じ込めやワクチンの国際的配分といった地球規模の対応を会議の場で確立する必要がある」と話している。

日本経済新聞

鳥インフルエンザ「H5N1」の人への感染分布
 
2006年
6月6日
ジャワ地震被災地 鳥インフル恐れ生活 
「鶏舎に避難するしか…」
 【ジョクジャカルタ(インドネシア・ジャワ島)=高原敦】先月27日に発生したジャワ地震による最大の被災地・バントゥル県の農村部で、家を失った被災者が養鶏場を避難所にするケースが目立っている。インドネシアでは、ジャワ島を含む広い地域で鳥インフルエンザの感染が多発しており、英国の医療支援NGO(非政府組織)は「養鶏場に残ったふんなどから感染の恐れもある」と注意を呼びかけている。

 ジョクジャカルタの南約30キロにあるプントゥン村には、三角屋根の細長い養鶏場が点在する。
 オパ川に近いある鶏舎には、5家族約30人の被災者が横になったり、車座になったりしていた。地震で家が倒壊。2500羽いたニワトリを出荷して空いていた鶏舎に避難しているという。
 だが、高床式の鶏舎にはニワトリのふんが床から1メートル下の地面に積もっている。避難民のスタントさん(40)は「鳥インフルエンザは怖いけど、地震の後、雨が降り、屋根があるのはここしかない」。周囲の人たちも「どこに住めばいいと言うんだ」と同調した。
 今のところ、村での鳥インフルエンザの発生は確認されていないが、体調を崩す人もいる。スパルミンさん(43)の3歳の息子は前夜から熱を出し、下痢が止まらない。「食料も満足ではなく、心配だ」
 世界保健機関(WHO)は5日までに、インドネシアで37人の鳥インフルエンザ感染による死亡を確認した。37人目はジャワ島内の西ジャワ州バンドンで先月30日に死亡した15歳の少年という。
 インドネシアの死者数は、ベトナムの42人に次ぐ多さ。5月だけで12人が死亡し、勢いは止まらない。

朝日新聞
 
2006年
5月31日
鳥インフル、ヒト同士の感染 WHO、48時間内に検証 
まん延防止で最終案
 【ジュネーブ=市村孝二巳】世界保健機関(WHO)は30日、鳥インフルエンザウイルスが人から人へ感染する事態に備えた緊急対策の最終案を固めた。ヒト同士の感染が疑われる症例への対応の流れを詳細に定めた。症例確認から48時間以内で、ウイルスが人に感染しやすい性質に変異したかどうかを検証、必要に応じて抗ウイルス剤「タミフル」の備蓄も放出する。各国政府に迅速な対応を求め、新型感染症のまん延を未然に防ぐ。

 対策案は従来の草案を大幅に改定した。ヒト同士の感染が疑われる症例が見つかったら、24時間以内にWHOに通報するよう各国政府の保健当局に要請。続く24時間以内にWHOが検査機関の協力を得て、H5N1型ウイルスの遺伝子が人から人に感染しやすい形へ変異しているかどうかを検証する。
 ウィルスの遺伝子変異を認めた場合は、症例発生地の周辺住民を隔離。半径5−10キロメートル以内の住民1万−5万人を対象に、H5N1型ウイルスにも効果があるとされる抗インフルエンザ剤「タミフル」を大量投与する。
 WHOは製造元ロシュからの寄付で3000万錠のタミフルを備蓄、スイスと米国に保管しているしている。新型ウイルスが見つかった国に十分な在庫がなければ、WTOの備蓄を24時間以内に現地に近い空港まで空輸する態勢を整える。対策案には各国政府がWHOに備蓄放出を申請するための用紙も添付した。
 「毒性の高いH5N1型ウイルスは今のところ人から人に感染するような遺伝子変異を起こしていない」(WHO)。だが、インドネシアのスマトラ島北部で一家の7人が感染、6人が死亡するなどヒト同士の感染が疑われる症例が確認されている。WHOは先週、タミフルの備蓄を直ちに搬送できるかどうかロシュに確認した。
 鳥から人への感染例増加に従い、ヒト同士で感染するウイルスが出現する懸念があるからだ。特に、ジャワ島中部地震の被災地を抱えるインドネシアでは今後、深刻な衛生環境の悪化も懸念され、世界的な流行を招きかねない新型感染症が生まれる可能性も急速に高まっている。

日本経済新聞夕刊

WHOがまとめた新型感染症(最終案)の流れ
 
2006年
5月25日
インドネシア  鳥インフルエンザ 人から人への直接感染か
 【ジャカルタ=代慶達也】インドネシア北スマトラ州で22日に鳥インフルエンザの疑いで死亡した男性について世界保健機関(WHO)は24日、人から人への直接感染だった可能性があるとの見方を示した。インドネシア保健省は現在感染源を調査中だが、人から人への感染が確認されれば同国で初のケース。

日本経済新聞
 
2006年
5月5日
鳥インフルエンザ被害拡大 ヒトからヒト 感染懸念
 鳥インフルエンザの感染拡大が止まらない。アジアに続き中東、アフリカでも被害が深刻化している。流行の長期化はヒトからヒトに感染する新型ウイルスの発生リスクを高める。世界各国で新たな脅威に対する備えが急務となっている。

 アジア開発銀行(ADB)の試算では、アジアで高病原性鳥インフルエンザ「H5N1型」が今以上の勢いで大流行すると、経済損失額は最大2827億ドル(約32兆円)に達する。域内経済の混乱で世界の貿易額も14%縮小する。
 中国では2005年、家禽(かきん)類に対する鳥インフルエンザの感染により約2300万羽が処分された。同国政府は2億元(約28億円)の補償金を払ったが、養鶏業者の損害総額には遠く及ばない。
 東南アジアで被害の大きいインドネシアでは、05年の損失額が10兆ルピア(約1300億円)に達した。養鶏業者の2割が倒産、2万人以上が職を失った。世界有数の鶏肉生産国、タイでは冷凍肉の輸出が激減。05年の輸出額は最悪だった04年から7割減少し、1300万ドルに落ち込んだ。
 世界保健機関(WHO)によると、03年以降に発生したH5N1型への感染者は205人で、113人(4月27日時点)が死亡した。
 被害が深刻だったベトナムは今、鳥インフルエンザの封じ込めに成功しているが、これは極めてまれなケース。今年になり「鳥→鳥」と「鳥→ヒト」の感染地域はアジアから西へ拡大。現在はフランス、オーストリア、トルコ、イラク、エジプトなど欧州、中東、アフリカに広がっている。
 猛威を振るう鳥インフルエンザに加え、さらに大きな脅威が出現する可能性もある。ヒトからヒトに感染する新型インフルエンザだ。WHO西太平洋事務局の葛西健・感染症地域アドバイザーは「新型出現の可能性は高い」と指摘する。
 「新型の死者は全世界で500万−1億5000万人」。05年9月末、国連の鳥インフルエンザ問題担当調整官がニューヨークの国連本部で公表した予想に世界中が震え上がった。世界銀行の上級エコノミストは「(新型の)短期的なショックは重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)を上回る」と警鐘を鳴らす。
 ただ、WHOが備蓄する抗ウイルス薬「タミフル」は5000万錠。500万人の5日分(1日に2錠服用)にすぎない。各国政府の監視体制が未整備だったり、WHOへの通報が遅れれば感染は広がる。ロンドン大学大学院の調査によると欧州ではイタリア、ラトビア、ポーランド、ポルトガルなどで新型への備えが不十分。アフリカ諸国も対策が遅れている。
 世界経済の中心である米国では「最悪の場合、190万人が死亡する」。ワシントン・ポスト紙の報道によると、米国政府は新型による被害状況を予想。「危機対応は18カ月続き、1000万人が入院」と試算した。同国ではH5N1型の感染は報告されていないが、政府は防疫強化の観点から渡り鳥の飛行経路となるアラスカで野鳥の検査を強化する。
 新型が大流行すれば「仕事を休むケースが増え、基幹産業が大きな打撃を受ける」(永浜利広・第一生命経済研究所主任エコノミスト)とされる。国際通貨基金(IMF)からは、決済や株取引などの現場が機能不全に陥り、金融システムが混乱するのではないかといった声も出始めている。
 このため、米政府は経済への影響を最小限に抑える方策の検討に着手。在宅勤務者が急増すると想定されることから、当面の対策として通信インフラの増強に乗り出す。造幣部門の機能停止を避けるため、通貨の鋳造を他国に依頼する案も浮上している。
(マニラ=石沢将門、ジュネーブ=市村孝二巳、ワシントン=藤井一明)

■Q&A 変異型、トルコで確認
Q 鳥インフルエンザはどのように広がったのか。
A カモやガンなどの渡り鳥がウイルスをアジアから欧州、中東、アフリカに運んだ可能性がある。北米と南米で高病原性鳥インフルエンザ「H5N1型」が確認されていないのは、アジアを通る渡り鳥の主な飛行経路が両大陸から離れているためとされる。鳥や鶏肉の輸出入が感染拡大に関係しているケースも確認された。

Q ヒトが鳥インフルエンザに感染した場合の症状は。
A H5N1型の場合、ヒトの致死率は約6割。発熱やせきのほか、消化器などの多臓器不全を起こす。感染者の3−4割に下痢の症状が見られ、死因では肺炎が多い。

Q 新型ウイルス発生の頻度は。
A 20世紀には新型が3回発生した。1918年に推定4000万人の死者を出したスペイン風邪、57年のアジア風邪、68年の香港風邪だ。突然変異による新型の発生間隔は10−30年だった。

Q 現在、ウイルスは変異しているのか。
A トルコの鳥インフルエンザ感染者からウイルスを分離して遺伝子を解析した結果、鳥よりもヒトの細胞と結合しやすいことが判明した。鳥インフルエンザのウイルスは鳥の体温であるセ氏42度程度で活発に動くが、トルコのウイルスは人の体温でも効率的に増殖するように変異していた。

Q トルコへの渡航は心配ないか。
A WHOはトルコを含むどの地域にも渡航制限を勧告していない。ただ、感染が発生した地域では生きた家畜を扱う市場や鳥などの飼育場には近づくべきではないとしており、放し飼いの家畜との接触も避けるように促している。

 Q 日本の対策は。
 A 国は6月に政令でH5N1型を感染症法に基づく「指定感染症」に指定する。発生国から入国した人に感染を疑う症状が出た場合、強制入院などの措置を取る。自治体も抗ウイルス薬「タミフル」の備蓄を進めている。

Q タミフルは効くのか。
A 通常のインフルエンザの治療薬でウイルスの増殖を抑える効果がある。増殖の仕組みは共通なので、効果が期待されている。

Q 新型の予防法は。
A ワクチンは新型の発生後でなければ作れない。ただ、日本などは鳥からヒトへ感染したウイルスを利用して試作品を開発中。新型発生時には試作品を半年程度かけて改良する。
 インフルエンザに関する研究では、1918年に猛威を振るったスペイン風邪ウイルスと、変異前の鳥インフルエンザウイルスの遺伝子の違いが5%以下だったことが判明した。この研究結果はわずかな変異でも新型ウイルスの発生につながる危険があることを示している。
 国立感染症研究所の田代真人部長は「新型がいつ出現してもおかしくない状況」と指摘する。インフルエンザが流行しやすいのは秋から冬だが、「春以降でも流行が起こる可能性はある」(感染症に詳しい長崎大学の松本慶蔵名誉教授)。特に途上国が多い熱帯地域では1年を通して感染が広がりかねず、大流行につながる危険性が高い。
 ヒトからヒトへの感染が懸念されるが、まだ新型の発生は確認されていない。
 ベトナムやタイでは鳥インフルエンザがヒトからヒトへ感染した可能性のある事例が見つかった。血縁のある間柄だったため、遺伝的な問題とウイルスの感染に関連があるとの見方もあるが、解明には至っていない。
 同研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「ヒトからヒトへの感染があったとしても、特定の個人にウイルスが適応しただけで、ヒト全体に適応したわけではない。現在、ヒトからヒトへの感染は例外的」と指摘。冷静な対応が必要と強調する。

日本経済新聞
 
新型インフルエンザが流行した場合の経済損失予測
感染が拡大する鳥インフルエンザのH5N1型(03年以降)

渡り鳥の飛行ルート
 
2006年
5月5日
米、鳥インフル対策に33億ドル
 【ワシントン=藤井一明】米政府は3日、鳥インフルエンザが人に感染し新型インフルエンザとなって大流行する事態を想定した総合策を発表した。ワクチンの備蓄強化などにあてるため33億ドル(約3750億円)の追加予算を議会に要請し、約300項目に及ぶ対応を列挙した。昨年のハリケーン対応で批判を浴びたブッシュ政権の危機管理体制をアピールするねらいもある。

日本経済新聞
 
2006年
5月3日
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タミフル ASEANに50万人分 鳥インフルエンザ 
政府が支援策
 【ジャカルタ=代慶達也】日本政府は2日、ジャカルタで東南アジア諸国連合(ASEAN)への鳥インフルエンザ支援対策を発表した。3月に発足した日ASEAN統合基金の第1号事業として50万人分の治療薬「タミフル」を提供。東南アジア地域の鳥インフルエンザ感染防止を支援する。
 治療薬はシンガポールで備蓄する。70万人分のマスクなど防護用品も提供。ジャカルタでの引き渡し式典に出席した世界保健機関(WHO)の尾身茂西太平洋地域事務局長は「東南アジアは世界で最も危険な感染源となる可能性がある」と警告。「感染した鳥の監視や処分の補償費、住民の啓蒙(けいもう)活動が重要な課題となる」と述べた。

日本経済新聞
 
2006年
4月30日
欧州 鳥インフル流行 英の鶏も輸入停止 
ヒナなど4国合わせ80%に 農水省
 農林水産省は29日、英国で鳥インフルエンザが発生したため、同国から生きた鶏のヒナなど家禽(かきん)類の輸入を一時停止すると発表した。欧州での鳥インフルエンザの流行で、既に輸入を停止しているフランス、ドイツ、オランダを加えると、日本が昨年輸入した、生きた鶏の約80%を占める。輸入停止が長期化した場合、養鶏農家らに影響が出そうだ。

 日本は主に欧米からヒナを輸入して交配させた上で、その孫にあたるヒナを各地の養鶏農家で飼育し、採卵用、食肉用にしている。昨年の輸入先は、英国がトップで、輸入量の約37%にあたる約37万5000羽。次いでフランス、米国、ドイツ、オランダ、カナダの順となっている。
 ところが、2月24日にフランスからの輸入停止が決定、オランダ、ドイツも停止された。日本国内の養鶏業界では、英米からの輸入を増やしたり、採卵期間を通常の7か月から10か月以上に延ばしたりして対応してきたが、英国からも輸入できなくなることで、茨城、愛知県など全国各地の生産への影響が懸念される。
 農水省は「輸入先を米国やカナダに変更するなどして、欧州分をカバーできる。直ちに農家に影響が出ることはない」としているが、輸入停止が長期化した場合に備え、養鶏農家が農業近代化資金など低利融資制度を優先的に利用できるよう検討を始めている。

読売新聞
 
2006年
4月20日
ロシュ 備蓄タミフル3000万錠製造完了
【フランクフルト=磯山友幸】スイスの製薬大手ロシュは19日、鳥インフルエンザの拡大に対処する備蓄用の抗インフルエンザ剤「タミフル」3000万錠(300万処方分)の製造を完了したと発表した。昨年夏に、世界保健機関(WHO)に無償提供することで合意していたもので、WHOの依頼に基づいて世界各地の国際空港などに備蓄する。

日本経済新聞
 
2006年
4月20日
世界の目 インフルエンザは策略?
キングズリー・クベインジェ(ナイジェリア通信記者)
 ほとんどのアフリカの人々は、鳥インフルエンザが彼らの大陸に襲来し、多くの国で家禽(かきん)が感染したというニュースに、衝撃を受けなかった。鳥インフルエンザの猛威がアジアや欧州でも報じられていたことから、アフリカでも発見されたという悪い知らせを待ち構えていたといえる。
 しかし本当は、アフリカの人々の多くがニュースの信ぴょう性を確信しているわけではない。欧州をはじめとする先進国からの鶏肉に永遠に依存させることで、アフリカなど途上国の家禽を根絶やしにする巧妙な策略だとみている。
 ナイジェリアは毎年、欧州からの鶏肉輸入に多額の金をつぎ込んでいる。政府は昨年、国内産の鶏肉で需要をまかなえると判断して、輸入禁止を決めたばかりだった。実業家をはじめとする多くの国民が、この試練を受け入れ、養鶏産業に参入し、資金をつぎ込んだ。そのわずか1年後、鳥インフルエンザが見つかったので鳥を処分する準備をしろと通告されたのだ。
 こうした見方はナイジェリアで広く支持されているが、世界保健機関(WHO)や国連食糧農業機関(FAO)をはじめとする国際支援機関がナイジェリアに駆けつけ、さまざまな支援、借款、無償援助を申し出てきた対応の素早さを目の当たりにして人々は一層、疑いを深めている。
 多くの国民は、感染症の発見が報じられてから24時間もたたないうちに国際機関が駆けつけ、支援を申し出てきたことに気がついた。そして、「彼らは発見から1日もたっていないのに、いつ支援を決めたのだ」と疑念を口にしている。
 また多くの国民は、多額の借款が提案されていることから、鳥インフルエンザはアフリカの国々に新たな債務を負わせる巧妙な策略だともみている。ナイジェリアはつい最近、320億ドルの対外債務の大部分を清算したばかりで、新たな債務には用心深くなっている。鳥インフルエンザは、ナイジェリアや他のアフリカの国々にさらに資金を貸し付け、永遠に債務漬けにするために、先進国が編み出した作り話だと信じ込まれているのだ。
【訳・大前仁】


毎日新聞
 
2006年
4月17日
鳥インフル 米、省庁横断で総合対策 
最悪190万人死亡も想定
【ワシントン=藤井一明】ブッシュ米大統領は鳥インフルエンザをはじめとする新型インフルエンザの大流行に備えた政府の総合対策を近く承認する見通しだ。財務省や国防総省などを含む主要官庁が横断的に対応にあたり、実施項目は300以上に上る。米国内で9000万人が感染し、190万人が死亡するという「最悪のシナリオ」を想定。危機が18カ月間続くというケースを視野に、経済活動の維持にも目配りした対応をまとめる。
 16日付の米紙ワシントン・ポストやAP通信が伝えた。すでに大統領は3月に原案の説明を受けた。米政府がワクチンの備蓄強化や医療体制の整備といった従来のインフルエンザ対策にとどまらない総合的な対応をまとめるのは初めて。早ければ今週中にも承認されるとみられる。
 原案によると、米政府は感染の広がりを食い止めるため外出を制限することにより企業や政府の機能を維持できなくなることを警戒。緊急時にはまず政府内で対応にあたる現場担当者にワクチンを供給。民間については自宅待機が増えるとの見通しから、通勤しなくても業務に従事できるようインターネットの通信能力を増強する。
 省庁別では財務省が欠勤などによる造幣部門のまひをにらみ、他国に通貨の鋳造を委託する協定を準備している。国防総省はゴム手袋の買いだめを検討。駐車場に医師や看護師を待機させ、車に乗ったまま感染の有無を調べられる簡易な検査システムの導入も研究している。
 米政府関係者は今後、数週間から数カ月の間に渡り鳥の飛来によって米国内でも鳥インフルエンザの感染が見つかると予想。1918年に全世界で流行し、4000万−5000万人の人命を奪ったとされる「スペインかぜ」に匹敵する深刻な事態になれば、全米で1000万人近い患者の入院が必要になるとみている。
 米政府の各省庁が競うように対策に乗り出す背景には、昨年の大型ハリケーン「カトリーナ」の被害でブッシュ政権の対応の遅れが厳しく非難された苦い経験もある。鳥インフルエンザ対策では事前の努力をアピールする政治的な意図もありそうだ。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
4月13日
鳥インフル猛威のナイジェリア 
貧困層に打撃 零細農家「補償金より鶏返せ」
 アフリカ各地で毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染例が報告され、防疫態勢の整っていない貧しい国々での感染拡大への懸念が強まっている。アフリカ初の感染例が今年2月、確認されたナイジェリアでは「危機対策室」を設置して対応しているものの感染拡大には歯止めがかからず、住民の暮らしに影響が出ている。

 「少額の補償金より鶏を返してほしい」。ナイジェリア・ナサラワ州ガラクの農村で今月上旬、鳥インフルエンザ対策として廃棄処分された鶏への政府補償金を受け取ったクリストファー・キカさん(50)がため息をついた。
 キカさんは果樹栽培の傍ら鶏40羽以上を飼育。繁殖させて市場で売り、子供9人の学費に充ててきた。ところが2月に村内で鳥インフルエンザが発生。約600戸の集落の家禽(かきん)計8300羽すべてが処分された。
 「貧しい人々にとって鶏は貴重な財産であり、たんぱく源でもある。鳥インフルエンザによる打撃は大きい」と政府危機対策室の獣医学博士ジュナイドゥ・マイナ氏は指摘する。
 ガラクの村民も多くは零細農家。数羽〜数十羽の鶏が、いざという時の食料や現金収入源だった。補償金は鶏1羽250ナイラ(約240円)と市場価格の3分の1以下。キカさんらは日雇い労働をせざるを得なくなったという。
 感染例が報告された地域はこれまでに36州中、最大都市ラゴスを含む13州と首都アブジャに拡大した。家禽は全国で約1億4000万羽。約6割は一般家庭で放し飼いにされており、人への感染が懸念される。
 対策室保健担当のアブドルサラム・ナシディ博士は「医療体制が脆弱(ぜいじゃく)なアフリカで人に感染し始めたら、大流行する恐れがある」と警告する。現在までに感染の可能性がある400人の血液を採取、検査を終えた約40%については陰性だった。しかし、報告されただけでも感染した鶏を食べた例が5件あった。
 当局者が事情を聞きに行くと、「我々は飢えているんだ。鶏を廃棄している余裕はない」と泣きつかれた。「殺してすぐに熱湯消毒したから問題ない」と主張する人もいたという。
 庶民の間からは「毎日たくさんの人が死んでいるのに、なぜ鳥インフルエンザだけ大騒ぎをするのか」との声も聞かれ、対策室の広報活動にもかかわらず、一般の関心は今ひとつ。市場では現在も、生きた鶏が多数売買されている。
 アフリカでは他にエジプト、ニジェール、カメルーン、ブルキナファソで感染が確認された。アフリカは渡り鳥の越冬経路に当たる上、管理の甘い国境も多い。世界保健機関(WHO)関係者らは「より貧しい国々に広がり続けたら手がつけられなくなる」と警戒している。

読売新聞

鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染が確認された国
 
2006年
4月9日
鳥インフルエンザ 東南アジア諸国再び流行の兆し
 東南アジアで再び鳥インフルエンザの集団感染の兆しがあり、国連食糧農業機関(FAO)は警戒を強めている。家禽(かきん)と一体の生活習慣は変わらず、獣医師不足などもあって大流行の危険性は消えていない。
(バンコク・平田浩二)

 ベトナムでは8日、北部カオバン省の養鶏農場3カ所で感染が確認された。世界保健機関(WHO)によると、同国の鳥インフルエンザ感染者数は2003年12月から今年3月初旬までに93人と世界最多。
 隣国カンボジアの中部では5日、12歳の少年が高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5Nl型)に感染して死亡。先月下旬にも3歳の女児が死亡している。FAOによると、先月中旬に鶏への感染が初めて確認されたミャンマーでは、これまでに北部で7万3000羽以上が感染死するか処分された。
 ラオスでは04年3月以降、感染報告はないが、獣医師の数は三十数人とされ、FAOは「十分に目が行き届いていないのが実情」と指摘する。
 東南アジアでは一時、鶏へのワクチン接種で感染が沈静化した。しかし、接種すると感染しても発症せず、インドネシアでは今月、気づかず鶏に触れて感染死した可能性が出ている。
 また、家の庭先で放し飼い状態の零細な養鶏農家が多く、人へただちに感染する危険性が常につきまとう。補償制度も未整備で、報告をためらうケースも後を絶たないという。
 FAOアジア・太平洋地域事務所(バンコク)の小沼広幸副代表は「鳥インフルエンザは気温が低く乾期に流行するとされてきたが、ウイルスの性質の変化で高温多湿の時期にも流行する恐れがある」と警告している。

東京新聞
 
2006年
4月7日
独産鶏肉輸入を一時停止
 農水省は6日、ドイツで鳥インフルエンザが発生したことから、同国産の鶏など家禽(かきん)とその加工品の輸入を同日付で一時停止したと発表した。ドイツからは2005年に、家禽13万6000羽、加工卵など825トンを輸入した実績がある。

日本経済新聞
 
2006年
4月7日
英で野鳥からH5N1型検出
 【ロンドン=横田一成】英環境・食糧・農村省は6日、北部スコットランドのフォース湾沿岸部で死んだ白鳥から人に感染する恐れがある高病原性の鳥インフルエンザH5N1型ウイルスが検出されたと発表した。英国で野鳥から同ウイルスが検出されたのは初めてで、欧州連合(EU)加盟国では13カ国目。

日本経済新聞
 
2006年
4月6日
鳥インフル 世界損失拡大 
世銀予想、GDPの2% 伊の鶏肉消費7割減
ブラジル生産15%抑制 中国2250万羽処分
 【ジュネーブ=市村孝二巳】鳥インフルエンザの経済損失が膨らんでいる。アジアに比べ感染報告の少なかった欧州などでも鶏肉離れが進み、イタリアでは消費が7割も落ち込んだ。雇用や観光への被害も広がり、世界的な損失は国内総生産(GDP)総計の「2%に及ぶ」(世銀)、「5%を超える」(英民間機関のオックスフォード経済予測)との予想も出ている。

 ドイツでは5日、東部ザクセン州の養鶏場で死んだ七面鳥から高病原性の鳥インフルエンザH5N1型ウイルスが検出された。食用家禽(かきん)への感染は欧州連合(EU)でフランスに続き2例目だ。
 2月下旬、「ブレス鶏」で知られる東部アン県で感染が確認されたフランスでは鶏肉消費が3−4割減った。伊でも野鳥にウイルスが見つかった2月中旬から「鶏肉消費は7割減」(イタリア農民同盟)となり、約3万人の関連従業員が一時解雇された。消費の減退は欧州全域に広がっている。
 EUの鶏肉生産量は2004年に938万トン(05年の新規加盟を除く15カ国合計)。豚肉の約半分だが、牛肉を25%上回る「第2の食肉」だ。国連食糧農業機関(FAO)は06年に欧州全体で1206万トンと予想していた消費量を11%減の1072万トンに下方修正した。飼料産業は最大四割程度の需要減を予想している。
 死者が出ているトルコでは、鶏肉生産量が昨年末に3割減、今年に入って半減の水準で推移している。「業界の損害は2月末までで2億8000万ドル(約330億円)」(精肉業協会のケマル・アクマン理事長)という。観光業の打撃も大きく、1−2月の外国人観光客数は前年同期比7.4%減少した。
 FAOによると、世界最大の鶏肉輸出国ブラジルでは主力業者が今年の鶏肉生産を最大15%減らす見通し。2位の米国でも骨付きもも肉の国内価格が昨年10月のピークに比べ半値になった。
 消費者の不安の高まりに対応して、6月のサッカー・ワールドカップ(W杯)を控えたドイツの組織委員会とケータリング会社ARAMARKは、会場で一切鶏肉料理を出さないことで合意した。欧州委員会も養鶏業者などへの金融支援策を欧州理事会と欧州議会に提出。加盟国政府が業者を支援する際にEUからも資金を提供する内容で、4月中の採択を目指す。

 鳥インフルエンザの被害が深刻なアジア。中国では昨年中に32件の家禽等への感染が確認され、15万羽以上が死んだ。これに伴い、2257万羽の家禽を処分。政府は2億元(約30億円)の補償金を支払った。
 インドネシアの養鶏業者の現在までの損失は約8兆ルピア(約1000億円)に達するとされる。養鶏や鳥取り扱いなど関連業者の倒産は1000件以上に上り、2万5000人が失業に追い込まれた。ベトナム政府は家禽類の処分とその補償に伴う費用として630万ドルの国家損失が発生、このほかに昨年1億2000万羽へのワクチン注射費用として1900万ドルがかかったと見積もっている。

日本経済新聞
 
欧州・中東の鳥インフルエンザ感染状況
 
2006年
4月1日
 
▲TOPへ
ジャカルタで鳥インフルエンザ、女児死亡/インドネシア
 インドネシア保健省は31日、ジャカルタで3月下旬に死亡した1歳の女児1人が、毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染していたことが世界保健機関(WHO)の検査で確認されたと発表した。同国での鳥インフルエンザによる死者は合計23人となった。(ジャカルタ支局)

読売新聞
 
2006年
3月26日
鳥インフル対策 「壁」越え協力 イスラエル 
パレスチナを支援
 イスラム原理主義組織ハマスが実権を握った後、パレスチナ自治政府と接触を断っているイスラエル政府は、鳥インフルエンザ対策に限って自治政府を全面支援する意向を明らかにした。ガザ地区との接点であるエレズ検問所で双方の専門家が協議、イスラエルはウイルスに対する防護服提供や医療支援を約束した。
 ガザ地区では毒性の強いH5N1型ウイルスが検出された。イスラエル側は「同地区で感染が広がれば、被害は計り知れない」と危機感を強めている。パレスチナのツベイレ農業副大臣はAFP通信に「ウイルスに国境はない。イスラエルがヨルダン川西岸に建設中の分離壁といえども(鳥インフルエンザの感染は)防げない」と語った。
(ガザ=森安健)

日本経済新聞
 
2006年
3月24日
解説 鳥インフル死者100人超 流行に季節性なし 
    再上陸へ備え必要
 鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の感染による死者が100人を超えた。日本も再上陸に備えた危機管理が怠れない。
(科学部 宮崎敦)

 世界保健機関(WHO)の21日までの集計によると、2003年12月にベトナムで発生して以降の死者が103人と大台を突破した。
 人のインフルエンザは冬場に流行するが、鳥インフルエンザは、流行に季節性が認められない。人間社会で流行する新型インフルエンザに変異することが懸念されているが、1918〜19年に来襲した「新型」のスペイン風邪は、春や秋にも流行した。
 H5N1は、04年までは東南アジアを中心に広がっていた。しかし昨年秋には感染した野鳥や七面鳥の発生地域が、中東からヨーロッパへと広がった。繁殖地となる湖を介した野鳥や渡り鳥の汚染、鶏などの国際交易が原因と推測されている。
 さらに今年は、政情が不安なイラクやアフリカ大陸にまで拡大した。社会基盤が未整備な途上国は防疫も不十分で、拡大を防ぐのは困難だ。
 流行地域はユーラシア大陸を西方へ拡大しているが、野鳥が国境を越えて移動する以上、2004年の発生後、日本にいつ再上陸してもおかしくはない。
 H5N1の死者はすべて途上国で、庭で鶏を飼うなど鳥と接触の頻度が高い人に限られる。しかし、H5N1が発生した欧州で鶏肉の売り上げが落ちるなど、社会、経済面で与えた影響が大きいことを考えると、H5N1の国内再上陸に備える必要がある。
 野鳥から人への直接の感染例は報告されておらず、仮に国内で野鳥がH5N1で大量死しても、国内ですぐに死者が増える事態は考えにくい。まずは家禽(かきん)への感染予防が、対策の柱となる。野鳥の感染が見つかった周辺地域の鶏舎を、鶏と野鳥を接触させないタイプに変更するなど、迅速な対応が必要になるだろう。
 ペットの鳥、ネコなど動物全体へ無用な不安が広がったり、発生地域の住民に差別が起きる恐れもある。卵・鶏肉パニックも起きるかもしれない。卵・鶏肉は食べても安全とされるが、国民にしっかり説明することが重要になる。
 農林水産省では、飼い鳥への感染対策の防疫指針を04年秋に作っているが、社会不安を招かない国民への情報提供のあり方など、総合的な危機管理対策の視点も必要だ。
 北海道大獣医学部の喜田宏教授は「H5N1に限らず、鳥インフルエンザ全般の調査を、季節に関係なく継続する必要がある」と指摘する。国は英知を結集し、あらゆる可能性と対策を想定しておきたい。

読売新聞
 
2006年
3月22日
鳥インフルエンザで5人死亡/アゼルバイジャン
【ジュネーブ=渡辺覚】世界保健機関(WHO)は21日、旧ソ連アゼルバイジャンで、7人の患者から強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が確認され、このうち17歳の少女ら5人が死亡したと発表した。これにより、2003年以来の鳥インフルエンザの死者数は、全世界で100人を突破し、103人に達した。
 WHOは、人から人へのウイルス感染がなかったかどうかを含め、感染ルートを詳しく調べている。

読売新聞
 
2006年
3月20日
鳥インフルエンザ 拡大する脅威 データ室から
 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染がアジアから欧州、アフリカヘと急拡大し、世界的な脅威となっています。欧州連合(EU)では、イタリアとギリシャで死んだ複数の白鳥からH5N1型ウイルスが検出されたのを発端に死んだ渡り鳥などの感染を次々と確認。ドイツでは死んだ猫の感染も確認され、当局がペットの管理徹底を呼び掛けました。
 国連の鳥インフルエンザ問題担当調査官は、H5N1型ウイルスを持った渡り鳥が北米や中南米に飛来してアメリカ大陸にも飛び火する恐れがあると警戒を強めています。
(外報部・横光竜二)

ヨーロッパの渡り鳥について


東京新聞
 
2006年
3月19日
社説:鳥インフルエンザ 世界的流行視野に具体策を
 鳥インフルエンザが世界に広がっている。今年になってから、20カ国以上で高病原性の「H5N1型」ウイルスの鳥への感染が新たに確認された。
 特に目立つのは欧州やアフリカへの感染拡大だ。フランスでは家禽(かきん)類である七面鳥の飼育場で流行が起きた。ドイツでは猫からもウイルスが検出された。ナイジェリアでは130以上の農場で感染が確認されている。
 感染拡大は、渡り鳥が各地にウイルスを運んだためとみられている。鳥インフルエンザはもはやアジアの感染症ではない。世界保健機関(WHO)は「どの国もH5N1型の感染を免れない」と警告している。
 鳥感染の拡大にともない鳥から人への感染も増えている。これまでの中心だったアジアに加え、今月にはアゼルバイジャンでも3人が死亡した。これを加えると世界の死者は100人を超える。背後にはもっと多数の感染者が存在すると考えられる。
 感染拡大が心配なのは、人から人へと簡単に感染する「新型インフルエンザ」出現の危険性を高めるからだ。人類は新型に対する免疫がなく、大きな被害が予測される。現時点で新型出現の証拠はないが、人から検出されたウイルスにはいくつかの変異がみられる。
 新型の出現を抑えるには、感染を鳥で終わらせる対策が重要になる。その点で気になるのは、アフリカでの感染拡大だ。
 アフリカはすでに、エイズやマラリアなど多くの感染症に苦しんでいる。感染症と闘うための資源も限られている。ここに新たに鳥インフルエンザが加わると、事態はいっそう厳しさを増す。
 すでにウイルスがまん延しているアジアでも、マレーシアのように新たな感染が生じている。まずは国際協力で鳥での流行を最小限に抑えることが大事だ。感染隠しが起きないよう養鶏業者への補償も考えなくてはならない。感染している鳥との密接な接触を避けるよう、市民への十分な情報提供も欠かせない。
 そうした対策をとっても、新型の出現は避けられない可能性が高い。その際には、新型の早期封じ込めが重要になる。WHOは早期封じ込めの手順書案を公表しており、各国も指針作りを進める必要がある。
 H5N1型の感染が収まっている日本も油断はできない。渡り鳥がウイルスを媒介するのなら、H5N1型の感染は再び起きるだろう。新型が世界のどこかで出現し、早期封じ込めに失敗すれば、日本も流行を免れない。
 政府は昨年11月に新型対策の行動計画を策定した。これを元にした具体的な指針作りはこれからだ。新型がいつ出現するか予測できない以上、できるだけ早く、詳細な指針を作ることが大事だ。
 その際には、政府や医療機関の対応だけでなく、市民1人1人がどのように行動すればいいかを示す具体的な指針がほしい。感染拡大を防ぐだけでなく、パニックを防ぐのにも役立つはずだ。


毎日新聞
 
2006年
3月19日
エジプトで鳥インフル死 人への感染 アフリカ初
 【カイロ=共同】エジプトのガバリ保健・人口相は18日、記者会見し、病死した首都カイロ北方の女性から採取した検体を調べた結果、鳥インフルエンザの感染を確認したと発表した。人への感染・死亡例はアフリカ大陸で初めて。
 AP通信などによると、世界保健機関(WHO)の当局者は、カイロの米軍施設で検査したところ、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を検出したと述べた。検体は英国にも送り、最終確認する方針。
 女性は自宅で家禽(かきん)を飼育していたが大量死。生き残った家禽を処分した女性は鳥インフルエンザの症状を示して病院に運ばれ、17日に死亡したという。
 エジプト政府は先月17日、カイロなどで家禽からH5N11型が初めて検出されたと発表、鳥インフルエンザはその後国内各地に拡大した。カメルーンやニジェール、ナイジェリアでも鳥への感染が確認されている。

■中国2000万羽処分 「感染消滅した」
 【北京=時事】18日の新華社電によると、中国農業省は、同国で昨年以降に発生した鳥インフルエンザで家禽(かきん)19万4000羽が感染し、18万6000羽が死亡、2284万9000羽を処分したことを明らかにした。中国では昨年以降、14省・自治区で35回の鳥インフルエンザ感染が発生。感染者は15人に達し、うち10人が死亡している。農業省はこれら感染について、すべて消滅したとしている。


産経新聞
 
2006年
3月18日
鳥インフル対策 ロシュがタミフル増産へ 
年産40億カプセルに

 スイスの医薬品大手ロシュは、世界的な大流行が懸念される鳥インフルエンザの治療薬として期待される「タミフル」の生産量を年内に、現行計画の年産30億カプセルから同40億カプセルに引き上げると発表した。「H5N1」型の鳥インフルエンザウイルスに対応する治療薬で、追加計画分は主に他の製薬会社への生産委託でまかなう方針だ。
 ロシュはすでにタミフルの生産ライセンスを15の製薬会社に供与している。タミフルは1日2回で5日分となる10カプセルが1人分の必要量となる。各国がタミフルの備蓄を開始しており、ロシュ1社の供給では世界的な需要をまかなえない状況。備蓄の場合、有効期限は5年間という。
 ロシュは、世界保健機関(WHO)に対し計5000万カプセルを緊急用の備蓄として提供する方針を示しており、来月にも3000万カプセル、年末までにさらに2000万カプセルを供給する計画だ。
 H5N1が原因で死亡したとされる人数はすでに100人を超えており、被害は今後さらに拡大する恐れがある。H5N1は鳥から人に感染するケースしか報告されていないが、WHOでは、ウイルスが突然変異を起こし人から人に感染するウイルスに変化する可能性があると指摘。突然変異が起きた場合は、1億人以上が死亡する危険性があると警告している。


フジサンケイビジネスアイ
 
2006年
3月15日
鳥インフル死者100人超す WHO 感染防止、各国と連携
アゼルバイジャン3人確認 鳥の禁輸など対策不可欠

 【ジュネーブ=市村孝二巳】毒性の強い高病原性の鳥インフルエンザによる死者が世界中で100人を超えた。世界保健機関(WHO)によると、アゼルバイジャン政府が3人の若者の死因が鳥インフルエンザであることを確認。アジアで猛威を奮う鳥インフルエンザの感染は欧州、中東、アフリカへと加速度的に拡散しており、WHOは各国の保健当局などと連携し、封じ込め対策に躍起になっている。

 WHOによると、アゼルバイジャンでは鳥インフルエンザによる死亡が疑われた4人のうち3人の「H5」型ウイルス感染を確認。英国の検査機関にサンプルを送り、ウイルスが毒性の強い「H5N1」型であるかどうか精査を急いでいる。
 鳥インフルエンザによる死者はインドネシアや中国を中心にアジアでも増え続けており、WHOがこれまでに確認したH5N1型による2003年以降の死者数は14日現在で98人。公式に100人を超えたと発表するのは、検査結果が出る1−2週間後になるという。
 鳥への感染地域はさらに広がりを見せている。3月に入って新たにセルビア、アフガニスタン、ミャンマー、カメルーンで野鳥や家きんへの感染が確認された。猫やテンなど哺乳(ほにゅう)類にも感染し始めた。
 特にWHOは保健衛生環境の劣るアフリカでの感染拡大に神経をとがらせている。李鍾郁事務局長は先週、アフリカ諸国を歴訪。ナイジェリア、ニジェール、エジプトに続き、カメルーンでも鳥への感染が見つかり、WHOは小児まひ撲滅のために大量投入していた人員を急きょ鳥インフルエンザ対策に振り向けるなどして対応を急いでいる。
 WHOは先週、ジュネーブで専門家会議を開くなど、鳥インフルエンザの大流行に向けた緊急対策の取りまとめを進めており、今週末にも最新の成果を公表する見通し。ウイルスが人から人に感染するように変異し、爆発的に感染が広がりかねない事態を未然に防ぐため、特別チームの派遣や抗ウイルス薬「タミフル」の備蓄放出などを軸にした対策を固める方針だ。

▼鳥インフルエンザ
 インフルエンザウイルスのうち、鳥類に感染するタイプ。1997年に人間にも感染するウイルスが香港で出現。2003年以降、タイ、ベトナムなどアジアを中心に広がってきた。なかでも毒性の強い高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5N1」型は、患者の死亡率が60%程度と極めて高い。
 人間から人間への感染例は現時点では正式に報告されていない。しかし、専門家の間ではウイルスが感染を繰り返すうちに遺伝子が変異し、人間に感染しやすくなる恐れがあると指摘されている。

■鳥の禁輸など対策不可欠 資金や技術面で途上国支援課題
 鳥インフルエンザの「H5N1」型ウイルスは1918年に推定4000万人の死者を出したスペイン風邪を上回る凶暴性を持つとされる。今後、人間社会での大流行を防ぐためには「鳥の輸入禁止を徹底する措置」(世界保健機関=WHO=の尾身茂・西太平洋地域事務局長)や渡り鳥の監視などが不可欠で、先進国による資金や技術面での途上国への支援も重要といえる。
 国際通貨基金(IMF)は13日、「世界的大流行が起きた場合、短期的に経済へのインパクトは重大」と警告した。経済協力開発機構(OECD)のジョンストン事務総長は14日、世界経済の先行き懸念材料として、テロと鳥インフルエンザの流行を挙げた。
 IMFによると、経済への打撃のうち最大のものは、労働者が感染を避けて自宅にとどまり長期欠勤が増えることだという。感染拡大防止のために、貿易や輸送システムが停止し、経済活動が制限される。
 昨年11月の世銀の試算によると、大流行は世界全体の国内総生産(GDP)の約2%に相当する年8000億ドルの損失を出す見込みという。
 WHOの尾身氏は各国に感染拡大防止に万全を期すよう要請。「(ベトナムなど)感染が下火になった国の成功例をほかの国でどう生かすかがカギとなる」とみている。

鳥インフルエンザ各国の死者数


日本経済新聞
 
2006年
3月13日
カメルーンでも発生
 アフリカ西部カメルーン政府は12日、同国北部の農場で死んだカモから毒性が強く人に感染するおそれがある鳥インフルエンザ「H5N1型」が検出されたと発表した。アフリカでの同型の検出は2月に最初にみつかったナイジェリア以来、エジプト、ニジェールに続き4カ国目。
(欧州総局)

日本経済新聞夕刊
 
2006年
3月13日
ミャンマーで鳥インフル
 ミャンマーの保健当局は13日、同国北部マンダレーで鶏約700羽が高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)で死んだことを明らかにした。同国での感染確認は初めて。
(ヤンゴン=共同)


日本経済新聞夕刊
 
2006年
3月11日
フォアグラお預け フレンチに鳥インフル余波 
仏産輸入停止、カモ肉も

 フランスで発生した鳥インフルエンザの影響が、日本にもじわりと押し寄せている。フランス産のカモ、鶏、七面鳥などの家禽(かきん)類の肉や、ガチョウやカモの肝臓「フォアグラ」など内臓類が一時的に輸入できなくなったためだ。料理店の中には看板メニューの提供を見合わせたところもある。農水省は「仏政府が防疫措置の完了を確認後も、一定期間は鳥インフルエンザの発生がないことを確かめる必要がある」と話しており、輸入再開にはしばらく時間がかかりそうだ。
 同省が輸入停止措置を発表したのは2月24日。フランスから昨年輸入された家禽肉は1510トン。フォアグラなどの肝臓は377トンで、全輸入量(755トン)の約半分を占める。
 「お客様に少しでも不安を与えてはならない」。ホテルニューオータニ(東京・千代田区)に店舗を構える有名仏料理店「トゥールダルジャン」東京店は、輸入停止以前にフランスから納入していた肉も料理として出さないことを決めた。昭和天皇がパリ本店で食べられたことでも知られるカモ料理は2月28日以降、メニューから除かれている。
 同東京店は1984年秋の開業以来、仏ロワール地方の専用農場で育てたカモを納入してきた。1羽1羽に番号をつけて識別し、メニューの「幼ガモのロースト」(税込み9900円)を出す際には、使用したカモの番号をカードに記すサービスも好評だったが、18万8000羽台でストップしたまま。ホテル側は「開業以来、記憶にない事態」と話している。フォアグラの料理を強く希望する客には、ハンガリー産で対応する。
 大手百貨店の「伊勢丹」では2月25日から生のフォアグラの販売を自粛した。「高島屋」も加熱処理済み以外のものは販売しないよう各店舗に通知した。
 「フードネット」と銘打ち、インターネットで仏産食材を販売する会社「ゼスト」(東京)は、肉やフォアグラを紹介するページに、「安心が確定するまで販売を一時見合わせております」とお断りを2月27日付で掲載。「販売中止後にも追加注文したいという連絡があったが、対応のしようがない」と担当者は話す。
 「トゥールダルジャン」パリ本店のオーナー、クロード・テライユさんと40年来の友人というデヴィ夫人(故スカルノ元インドネシア大統領夫人)は、「各国の元首もパリを訪れると、カモ料理を目当てに足を運ぶ。悪夢のような鳥インフルエンザのため、本場の味を口にできないのは何と悲しいことでしょう」と、東京店でカモ料理が再開されるのを待ち望んでいる。
 服部栄養専門学校長の服部幸應さんの話「カモ料理はフランスの伝統料理で、メニューには必ずある。フランスの文化が詰まっている。品質の管理も厳しく、フランスでは飼育の仕方、餌など様々な基準が設けられている。最近は東欧産も多くなっているが、香り、うまみは歴然と違う」

読売新聞
 
2006年
3月11日
鳥インフルエンザ インドネシアの死者22人に
 【ジャカルタ=黒瀬悦成】インドネシア保健省は10日、ジャワ島中部で2月末に死亡した3歳の男児と12歳の少女が、毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1)に感染していたことを確認したと発表した。同国の鳥インフルエンザによる死者は計22人となった。

読売新聞
 
2006年
3月11日
「鳥インフル感染地でない」 台湾、WHO表示に抗議
 【台北=石井利尚】台湾当局は10日、世界保健機関(WHO)がホームページ(HP)上で、台湾を中国の一部として、強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)感染地と表示していることに対して、WHO事務局に厳重抗議を申し入れたと発表した。
 中国では鳥インフルエンザの感染者は15人に達し、10人が死亡しているが、今年に入り、台湾ではH5N1は確認されておらず、死者も発生していない。WHOのHPによると、世界地図で、台湾は、「ヒトの感染が確認された国」「H5N1が確認された国」として、中国と同じ色で表示されている。WHOは、「世界地図では国別に表示しただけ」と、台湾側に説明したという。


読売新聞
 
2006年
3月10日
主張:感染症対策 “鳥流感”以外にも注意を
 インド洋のレユニオン島で、熱病が大流行し、この1年間でおよそ19万人が感染して約百人が死んでいる。この島はフランス領のリゾート地で、近くのモーリシャスやセーシェル、マダガスカルでも、患者が確認された。感染症は鳥インフルエンザだけではない。バカンスの南の島にも、感染症は存在するから注意が必要だ。
 レユニオン島の熱病は「チクングンヤ」と呼ばれる。アフリカ、インド、東南アジアの風土病だ。急な発熱と激しい関節痛のほか、頭痛、痙攣(けいれん)、紅斑(こうはん)、出血もみられる。治療薬がなく、対症療法しかない。ちなみにチクングンヤとは、アフリカの現地語で「骨が折れるほどの苦痛」という意味だ。
 ネッタイシマカの媒介するウイルスが、チクングンヤの病原体であることが確認されている。そのウイルスは、もともとサルやトリが持っているとされる。つまりサルやトリの血液を吸った蚊に刺されると、感染する。
 同じように蚊が媒介し、「トリ→蚊→人」と感染する熱病に西ナイル熱がある。1937年にウガンダの西ナイル地方で見つかった風土病だった。これも治療薬がなく、高熱と頭痛に苦しむ。発症者の1%は、重症化して脳炎を起こし、このうち3−15%は、死亡するという。
 1950年代から90年代にかけ、イスラエル、フランス、ルーマニア…へと感染が拡大した。米国では99年夏のニューヨークでのカラスの大量死をきっかけに全米に広がった。2003年には1万人近くが発症し、うち250人以上が死んだ。日本でも昨秋、患者が確認された。
 知能障害や手足の麻痺(まひ)が残る日本脳炎、大阪や長崎で流行したデング熱、病原体が原虫(原生動物)のマラリアも、すべて蚊が媒介する。
 こうした感染症の侵入を水際で防ぐため、厚生労働省は空港や港で、海外からの航空機や船舶に紛れ込んできた蚊を駆除するとともに蚊の持つ病原体の検査を続けている。
 しかし、役所に頼っているだけでは不十分だ。自分が出かけようとする外国で、どんな感染症が流行し、それを予防するにはどうすればいいのか。せめてこれぐらいは検疫所などに聞いてから海外には出発したい。

産経新聞
 
2006年
3月9日
新型インフルエンザ 世界的流行封じ込めへ 
WHO会合、「機動部隊」も議論
 【ジュネーブ=渡辺覚】毒性の強い鳥インフルエンザが人から人へ感染する新型インフルエンザに変異した場合、世界中で死者が数百万人に達する恐れもあるとして、世界的大流行(パンデミック)阻止に向けた世界保健機関(WHO)の専門家会合が6日から8日まで、ジュネーブのWHO本部で開かれた。
 会合には世界各国の感染症や公衆衛生の専門家ら約70人が参加。国際機関や各国の役割分担、事前準備・教育、国際的な緊急対応策などについて協議した。
 対策の最大の狙いは新型インフルエンザの感染被害を局所的な地域にとどめる「封じ込め」だ。会議では感染被害の発生の報から2時間以内に対策本部をWHO本部に設置する対応策や、感染症の専門家らで構成する「機動部隊」を組織して、24〜72時間以内に感染地域に急派する構想などについても議論された。
 会議に示されたWHOの行動計画案によると、緊急措置発動のタイミングはウイルスの遺伝子検査で新型インフルエンザへの変異が認められた時点。1人の患者から5人の感染が認められた場合も発動に踏み切るべきだとしている。また、治療のカギを握る抗ウイルス薬「タミフル」は発症者と未発症者の双方に投与し、服用期間は4〜6週間を想定。さらに、感染終息後も国全体で半年以上の監視が必要としている。
 「タミフル」備蓄について行動計画案は、国単位の国家備蓄、複数の国をカバーする地域備蓄、WHOの国際備蓄の3段階を提示、国、地域間で融通し合う枠組みを作る方針も示している。現在の国際備蓄量は150万セット(1セット10錠)。5月までに300万セット、その後500万セットへ増やす方針だ。WHOは今回の議論を踏まえ、今月中旬をメドに緊急対応行動計画をまとめる。

読売新聞
 
2006年
3月9日
鳥インフルエンザ 中国で10人目の死者
 【北京=吉田健一】8日の新華社電によると、中国衛生省は、浙江省に住む9歳の少女が強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染、6日夜に死亡したと明らかにした。中国の鳥インフルエンザ感染者はこれで15人、うち死者は10人。

読売新聞
 
2006年
3月6日
業界救え! 仏で「鶏食運動」 鳥インフルエンザ
給食献立5割増し/ホームレス救援
 【パリ=冨永格】鳥インフルエンザで鶏肉の消費が落ち込んだフランスで、売れ残った肉を学校給食や病院の食事、ホームレス救援食に使う動きが出てきた。国をあげて在庫を減らし、欧州一の生産量を誇る業界を支えようというわけだ。
 口火を切ったのは与党幹部のラフィヌール国民議会議員。町長を務める仏西部アブリレで今後3カ月、学校給食や職員食堂の鶏肉献立を5割増しにすることを決め、他の首長も続くよう訴えた。
 同議員はホームレス救援食堂で鶏肉を多用することも提案。ビュスロ農相は「とても良いアイデアだ」と応じた。
 大手給食業者の全国組織SNRCも2日、約30社の加盟企業に対し、鶏肉や卵をメニューから外さないよう求めた。
 逆の動きもある。パリ近郊のグロレでは、町内4小学校の給食(計600人分)から鶏肉を外した。「多くの父母からの要望」(町長)だが、鶏肉の大産地からは「時局をわきまえない不当な決定」(南部ミディ・ピレネー地方)と怒りの声が上がっている。
 国内での感染が確認された2月半ば以降、仏の家禽(かきん)消費は製品によって25〜40%減り、日本など45カ国の禁輸が追い打ちをかけた。在庫は3万トンに迫り、業界団体によると損失は月50億円超、このままでは総雇用の15%にあたる約1万人が失職の危機にさらされるという。


朝日新聞
 
2006年
3月6日
死亡男性の鳥インフルエンザ感染確認/中国
 中国広東省広州市の医療関係者は5日、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染して死亡した疑いがあると4日発表された同市の男性(32)について、感染を確認したことを明らかにした。香港紙・星島日報(電子版)などが伝えた。広東省での感染確認は初めてで、中国の鳥インフルエンザによる死者は計9人となった。
(中国総局)

読売新聞
 
2006年
3月5日
社説:鳥インフルエンザ 感染の広がりが心配だ
 鳥インフルエンザの鶏などへの感染が急速に広がっている。ヨーロッパやアフリカにも本格的に上陸した。これらの地域も含め、先月だけで10カ国を超える国で新たに確認された。
 病気の鶏に触れるなどして感染する人も、中国やインドネシアを中心に増えている。今月初め、イラクでまた死者が確認され、全世界で死者は94人になった。
 こわいのは、ウイルスが人から人にうつるようになることだ。人には全く免疫がない新型のインフルエンザである。鳥のウイルスが世界各地で猛威をふるい、広がっていくうちに、人のウイルスと混じり合うなどして新型に変わる可能性が高いと心配されている。
 改めて警戒を強めたい。重要なのは、ウイルスの広がりを抑えるための国際的な支援と、日本で新型が広がったときの備えである。
 毒性が強い鳥インフルエンザの鶏や野鳥への感染は03年から東南アジアを中心に広がってきた。昨年夏には、この地域を飛び出してロシアへ、さらに年末にかけてトルコやウクライナへじわじわ広がっていった。
 それがいまや、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアからエジプト、さらには西アフリカのナイジェリア、ニジェールまで達してしまった。
 なぜこんなに急速に広がったのか。まず渡り鳥が疑われているが、病気の鶏やそのふんなどとともに運ばれた可能性もある。経路はまだはっきりしない。そのため、対策も立てにくい。
 貧しい国が多いアフリカでの広がりも気がかりだ。鶏は貴重な栄養源である。ウイルスを封じ込めるためだからといって、処分するのは簡単ではない。早く見つけて手を打つことが大切だが、そのための態勢もない。ウイルスがアフリカに定着してしまう恐れが強い。国際社会が支援しなければならない。
 すでにウイルスが定着し、いっそうの警戒が必要なのがアジアだ。先月、インドでも初めて見つかり、いったん消えたマレーシアでも1年ぶりに見つかった。早くウイルスを発見して素早く対応するための態勢づくりに、日本が手を差しのべる必要がある。
 国内の新型への対策はどうか。政府は昨年秋、大流行に備えて行動計画をつくった。しかし、具体化はこれからだ。
 患者が殺到した場合、医療機関でどう対応するのか。ほかの病気の患者はどうするのか。新型インフルエンザに効果があると期待され、備蓄される抗ウイルス薬「タミフル」はだれにどんな優先順位で使うのか。
 新型インフルエンザの悪性度に応じて、また流行の各段階ごとに、さまざまな事態を想定し、対応策を考えておかなければならない。
 茨城県で鶏の感染を届け出なかったとして獣医師らが逮捕された。隠さず正確な情報をいち早く伝える。それが対策の基本であることも改めて確認したい。

朝日新聞
 
2006年
3月5日
鳥インフルエンザか、男性死亡/中国
 新華社電によると、中国広東省の衛生当局は4日、同省広州市で、強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した疑いのある男性(32)が2日に死亡したと発表した。感染が確認されれば、中国での死者は9人目となる。男性は2月22日に発熱と肺炎のような症状を訴えて入院治療を続けていた。男性は市場調査のため、家禽(かきん)類の食肉処理場に頻繁に出入りしていたという。(中国総局)

読売新聞
 
2006年
3月3日
鳥インフルエンザ 猫・犬の隔離 EUが勧告
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)加盟国の専門家会合は鳥インフルエンザ対策の一環として、感染地域で猫や犬を放し飼いにしないよう勧告した。ドイツで死んだ猫から毒性が強いH5N1型ウイルスが見つかったことを受けた措置。専門家会合は「家禽(かきん)以外の動物から人への感染は確認されていない」としながらも、鳥インフルエンザ流行への警戒を強めている。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
3月3日
鳥インフルエンザ 世界規模拡大は目前
 アジアに端を発した高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型の流行が欧州、中東、アフリカに急速に拡大している。フランスでは飼育されている七面鳥が感染し、輸出産業が打撃を受けた。ドイツでは猫から同ウイルスが検出され、ペットへの感染拡大も懸念されている。ウイルスは渡り鳥が媒介しているとされ、他の地域に拡大するのは、時間の問題との見方が強い。

■仏 打撃 40数ヵ国 輸入停止
 【パリ=山口昌子】農業王国のフランスでは、H5N1型ウイルスが、飼育七面鳥から検出されたことで緊張が一気に高まった。政府は防疫態勢を強化する一方、日本など四十数カ国がフランス産のフォアグラや鶏肉類の一時輸入停止などを決めたことで大きな打撃を受けた業者への支援など対策に追われている。
 ドビルパン首相は1日、今月中旬に実施予定の全国規模の衛生警報発動訓練の陣頭指揮にあたることを強調。先月28日には、パリで開催中の国際農業見本市を4時間にわたって視察、家禽(かきん)類も含めた仏産食料品の安全性を訴えた。シラク大統領も同見本市で鶏料理を試食し「家禽類や卵に危険なし」と強調するなど、国をあげて安全性をアピールしている。
 しかし、フランスでH5N1型ウイルスの感染が確認されて以降、鶏肉類の消費は25−30%減。さらに、フォアグラの産地、仏西南部ランド地方近くで、死んだ野鳥のハクチョウからH5N1型が検出されたことで、懸念はさらに広まった。
 同地方では仏全土の家禽類約3000万羽のうち750万羽が飼育されている。このため、ただちにフォアグラ用の飼育カモとガチョウ約70万羽へのワクチン接種を開始した。フランスのフォアグラ生産量は年間1万8500トン(04年)で世界一。日本には年間約345トンが輸出されている。
 その後、アン県の鳥飼育場で処分された七面鳥から同ウイルスが検出され、フォアグラなどの輸入停止措置を取る国は「まだ増える」(農水省)としていた懸念は、その通りとなった。
 フランスの家禽飼育業者は約3万軒で年間売上高は60億ユーロ(約8400億円)に上る。輸入停止を決めた四十数カ国への輸出量は30%を占め、残りを占める欧州連合(EU)内にまで停止国が広がれば、業者への打撃ははかりしれない。
 世界保健機関(WHO)は先月27日、鶏肉や卵は、セ氏70度程度まで加熱すれば、安全との見解を発表。与党・国民運動連合(UMP)の院内副団長のラフィヌール議員も同日、全UMP議員に選挙区のレストランなどで「3カ月間、鶏肉など家禽類料理の注文を50%増やす」よう提案したが、消費減少を食い止めることができるかは微妙だ。

■独 異例 猫の屋内飼育を義務化
 【ベルリン=黒沢潤】ドイツ北部のリューゲン島で2月下旬に見つかった死んだ猫から、毒性の強い鳥インフルエンザウイルスH5N1型が検出されたことで、独国内では犬や猫などペットへの感染拡大が懸念されている。ドイツ政府は1日、事態悪化を防ぐため、感染例が報告されている国内5州で、飼い猫を屋内で飼育するとともに、犬に鎖やひもをつけるよう異例の指示を出した。
 5州は、リューゲン島のあるメクレンブルク・フォアポンメルン▽シュレスウィヒ・ホルシュタイン▽ブランデンブルク−の北部3州と、バイエルン▽バーデン・ビュルテンベルク−の南部2州。感染地帯から3キロ以内の範囲にすむ猫や犬が対象で、指示に従わない飼い主には罰金も科せられる。対象期間は決められていないが、4月以降も引き続き、適用される可能性がある。
 衛生当局によれば、リューゲン島で見つかった死んだ猫は野良猫で、同ウイルスに感染した鳥を食べたことが死因とみられている。専門家によれば、犬や猫に対するワクチンは開発されていない。
 WHOは感染した猫から人間には感染しないとの見解を示している。
 ドイツ国内ではこれまでに、鳥に対する130件以上の感染例が報告されている。

■エジプト 風説 「ナイルに鳥投棄」
 【カイロ=加納洋人】エジプトでは2月17日に初の鳥の感染例が報告されて以降、2日までにカイロやギザなど15県120カ所で、H5N1型ウイルスの鳥への感染が確認された。いまのところ、人への感染は確認されていない。
 エジプト政府は家禽の処分や販売、輸送の禁止などを命令。カイロ動物園など8つの国立動物園が同19日から2週間閉鎖された。続く21日には「処分された鳥がナイル川に投棄され、水道水が汚染された」といううわさが広まった。
 当局は事実を否定したものの、人々がミネラルウオーターの買い占めに走る騒ぎが発生。人民議会で、議員が鳥料理を食べる姿をテレビ放送し、国民に冷静さを呼びかける事態となった。
 また、先月末には、カイロで鳥販売店の従業員ら約2000人が店の再開を求めてデモを行うなど、波紋は広がっている。

■日本 警戒 春に飛び火の恐れ
 欧州に急速に広がっている強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型は渡り鳥が媒介しており、日本にも来冬、早ければこの春に渡り鳥や野鳥を介して再び飛び火する恐れもあるとして、関係者は警戒を呼びかけている。
 H5N1型は、東南アジアを中心にアジアだけで90人近い死者を出しているが、シベリアから昨年秋にトルコへと広がったウイルスは、東南アジアのものとは異なり、昨年4月に中国青海省の青海湖で渡り鳥を大量死させたものと同じ種類であることが判明している。
 トルコはシベリアからの渡り鳥の飛行経路になっており、青海湖からの渡り鳥が昨秋に欧州に運んだウイルスが欧州、中東、アフリカへと広がったとみられている。
 鳥取大の大槻公一教授(獣医微生物学)によると、日本にも同型のウイルスが上陸する恐れがあるという。次の冬には、感染した渡り鳥が欧州からシベリアに戻り、これらに接触した鳥が日本へ渡る可能性があるという。
 また、青海湖の渡り鳥はインドシナ半島にも飛んでいることが確認されている。1カ月もすれば同半島などから、感染した鳥に接触した渡り鳥が日本に来る可能性もあるという。
 一昨年、山口県と京都府などで確認されたH5N1型は封じ込めができたが、このウイルスは朝鮮半島からの野鳥が家禽に感染させた可能性が高いという。
 大槻教授は「渡り鳥が媒介するため感染を事前に防ぐことは難しい。監視を強化し、早期発見で封じ込めによって人に感染させないことが大切だ」と話している。
(杉浦美香)

産経新聞
鳥インフルエンザ(H5N1型)の広がりと渡り鳥の非行ルート
 
2006年
3月2日
鳥インフルエンザ、ネコで全身感染 オランダ研究チーム確認
 人間への感染と大流行が懸念される鳥インフルエンザウイルス「H5N1」は、呼吸器のほか腸や、腎臓など多くの臓器で増殖することを、オランダの研究チームが動物実験で確認し、専門誌「米病理学誌」で報告した。H5N1が、人間に感染するように変異した場合も全身感染する力は保たれる恐れがあり、研究チームは「症状が全身に出るので、これに対応した新たな診断基準作りや、多様な感染経路に配慮した対策が必要」と指摘している。
 通常のインフルエンザウイルスは、哺乳(ほにゅう)類では気道でしか感染・増殖せず、くしゃみなど飛沫(ひまつ)でうつるとされている。エラスムス医学センターの研究チームは、H5N1が体内でどのように増殖するか調べるため、8匹のネコに感染させ、1週間後に分析した。その結果、すべてのネコで、複数の臓器がウイルス感染しており、ふん便からもウイルスが検出された。また、感染したヒヨコを食べたネコは、ウイルスが腸から直接に感染していた。

読売新聞
 
2006年
3月2日
鳥インフル、感染どこまで 
中国…人へ 独…ネコの被害 仏…地鶏放し飼い中止
 【ジュネーブ=渡辺覚】鳥インフルエンザの世界的な流行阻止の司令塔となる世界保健機関(WHO、本部・ジュネーブ)が、フランス東部の七面鳥飼育場での鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染確認に加え、鳥との接点が見いだせない人々の間での新たな感染例が中国で報告され、危機感を深めている。ドイツ北部では2月28日、ネコへの感染も確認され、異種間感染の拡大の懸念も広がっている。

 ■鳥と接触なし 
 ◆中国・経路不明で人へ 
 WHOによると、2月9日に感染が確認された中国・福建省の女性(26)の周辺では、鳥の感染被害は1件も伝えられていないことが確認された。1月25日に感染が発表された四川省成都市の29歳の女性も、鳥に接した可能性を示す情報は皆無。鳥の感染被害も確認されていない。
 同月10日に確認された湖南省の少年(6)や昨年12月21日に死亡した福建省の女性(41)も、直接接触が認められないケースだった。
 WHO鳥インフルエンザ対策チームのマイケル・パーデュー博士は「中国各地に、ウイルスを含んだ鳥のフンが拡散している可能性がある」と指摘した。ウイルスはフンの中で約1か月生き続ける。これが乾燥して飛散、気管支を通じて人が感染した恐れがある。
 「環境から人への感染」(米医学専門誌)と定義される“見えない感染ルート”の懸念は、「感染鳥の早期発見―処理」という従来の防疫の有効性を根本から揺るがすもので、人への感染被害の拡大を招く恐れも強い。

 ■身近な動物 
 ◆独・ネコの被害報告 
 ネコの感染例が報告されたのは、ドイツ北部リューゲン島。ドイツの連邦獣医学研究所が先月末、H5N1型ウイルスに感染したネコの死骸(しがい)が見つかったと発表した。異種間の感染が人に身近な動物で確認されたもので、WHOは重大な関心を持って情報収集に当たっている。WHOの報道担当、マリア・チェン氏は「人への影響は判断できない。ネコの感染例が今後の鳥インフルエンザ感染に及ぼす影響や、ネコから人への感染の危険性も不明だ」と、当惑気味にコメントした。
 WHOは、異種間感染でブタへの感染拡大に神経をとがらせてきた。ブタは鳥と人の両方のウイルスに感染して変異を招き、新型ウイルスを媒介する可能性が指摘されているからだ。ネコ科の感染に関しては科学的データは少なく、予測がつかないのが実情だ。

 ◆仏…地鶏放し飼い中止
 【パリ=島崎雅夫】欧州最大の家禽(かきん)生産国フランスは、欧州連合(EU)域内で初めて、家禽飼育場を毒性の強い鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染被害に直撃され、強い衝撃を受けている。感染地はブランド地鶏の特産地に近い上、フランスは欧州有数の渡り鳥の十字路にあり、政府は感染防止対策に躍起となっている。
 「『ブレスのチキン』の歴史の中で初めて経験する緊急事態だ。早期解決すればいいが……」。仏東部アン、ソヌ・エ・ロワール、ジュラ3県にまたがるブレス地方は「ブレスのチキン」のブランドで知られる地鶏の特産地。同産地組合のムニエ広報担当(48)は、衝撃の大きさに顔を曇らせた。フランスでは、ブレス地方から約30キロのアン県ベルサイユーで2月25日、大量の七面鳥がH5N1型感染で死んだことが確認された。
 ブレスの地鶏は「放し飼い」が銘柄維持の重要条件となる。だが、渡り鳥との接触で感染の危険性が高まるため、同組合はこの伝統を一時変更して、屋内に地鶏を隔離して飼育する異例の措置に踏み切った。
 波紋はブレス地方にとどまらない。フランスは約20万軒の農家が年間約9億羽のニワトリ、カモ、ガチョウなどを生産し、約60億ユーロ(約8400億円)を売り上げる家禽大国。2月18日、野生ガモのH5N1型感染が判明して以来、家禽肉消費量が例年比で30%減少したほか、日本や韓国など約40か国が仏産フォアグラや家禽肉輸入を一時停止し、仏政府は危機感を強めている。


読売新聞
 
2006年
3月2日
鳥インフルエンザ エジプト名物・ハト料理、自粛の動き
 ◆「塔で飼育、これで終わりか…」
 エジプトで古代王朝以来の伝統的料理として有名なハト料理が、鳥インフルエンザの感染拡大で大打撃を受けている。同国政府がハトの飼育小屋の閉鎖を命じ、料理店側にもハト料理を自粛する動きが広がっている。(エジプト北部ビルケト・サバで 柳沢亨之、写真も)
 ナツメヤシ林やニンジン畑が広がる首都カイロ北郊のデルタ地帯に入ると、高さ約10メートルの不思議な白塔がいくつも見られる。「ボルグ・ハマーム」(ハト塔)と呼ばれるハトの飼育小屋で、塔の壁にあけた数十の巣穴で野生のハトに餌付けする仕掛けだ。
 デルタ地帯の農村ビルケト・サバを訪れると、ハト塔の管理人、イマドさん(42)が塔の穴を閉じる作業を始めていた。政府当局から最近、「3日以内の塔閉鎖」を命じられたためで、「エジプト伝統のハト塔もこれで終わりか……」とため息をついた。
 エジプトでは2月17日、死んだ家禽(かきん)から毒性の強いH5N1型ウイルスが初めて検出されたことが判明した。人の感染例は報告されていないが、鳥の感染は全26県中15県に広がった。
 危機感を募らせた政府は、民家の家禽飼育やハト塔の使用を禁止、違反者に対し、平均月給の30倍にあたる1万エジプトポンド(約21万円)の罰金導入を発表した。国民の伝統習慣にも踏み込む姿勢を示している。
 特にハト料理は5000年前のファラオ時代以来の食文化だけに衝撃は大きい。値段は鶏の3、4倍だが、ご飯などを詰めた料理は賓客をもてなすごちそうだ。花嫁の母親が結婚式の日に花婿に料理を差し出す習慣もある。
 デルタ地帯の主要都市シビン・エルコムの料理店は安全への懸念から、ハトを含め鳥の仕入れを全面的に中止し、カイロの有名料理店ではエジプト人のハト料理の注文が8割減ったという。

読売新聞
 
2006年
3月2日
スイスでも「H5N1型」検出
【ジュネーブ=市村孝二巳】スイス・ジュネーブのレマン湖畔で先月22日に見つかった野生のカモの死骸から、高病原性の鳥インフルエンザウイルス「H5N1型」が検出された。検査に当たっていた英国の研究機関が発表した。スイスでH5N1型が確認されたのは初めて。北東部のドイツ国境にある。

日本経済新聞夕刊
 
2006年
3月1日
鳥インフルエンザに感染、猫死ぬ/ドイツ
【ベルリン=佐々木良寿】ドイツの連邦獣医学研究所は28日、北部リューゲン島で鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した猫の死骸(しがい)が見つかったと発表した。ドイツで野鳥以外の動物の鳥インフルエンザ感染が確認されたのは初めて。同島は渡り鳥の中継地で、これまでに100羽以上の野鳥が鳥インフルエンザに感染していたことが確認されている。同研究所は、感染した野鳥を猫が食べたことで感染した可能性があるとしている。

読売新聞
 
2006年
3月1日
鳥インフルエンザ、アフリカで拡大か 相次ぎ鶏大量死
【ヨハネスブルク=角谷志保美】東アフリカ・エチオピアの政府当局者は28日、同国南部の養鶏場で、6000羽以上の鶏が鳥インフルエンザらしき症状で死んだと発表した。現在、イタリアでウイルスの確認作業を行っている。
 アフリカでは既に、ナイジェリアとエジプトで毒性の強いH5N1型鳥インフルエンザの感染が確認されている。27日には、ニジェールでもH5N1型の感染が確認された。

読売新聞
 
2006年
3月1日
 
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鳥インフルエンザ 仏フォアグラ、輸入停止30か国
【パリ=島崎雅夫】フランス政府は28日、欧州連合(EU)域内で初めて、フランスの家禽(かきん)飼育場で毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染が確認されたことを受け、日本など約30か国が同日までに仏産フォアグラや家禽の輸入停止に踏み切ったと明らかにした。
 輸入停止措置をとったのは日本のほか、韓国、タイ、エジプトなど。仏政府は他の国々が輸入停止に追随しないよう訴えている。

読売新聞
 
2006年
2月28日
スイスでも鳥インフルエンザ
スイスの連邦獣医学事務所は26日、ジュネーブ中心部で死んだ野生のカモから、鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。強毒性のH5N1型ウイルスに感染していたかどうかは不明。(ジュネーブ支局)

読売新聞
 
2006年
2月26日
鳥インフルエンザで女性死亡/インドネシア
インドネシア保健省は25日、ジャカルタで今月下旬に死亡した女性1人が、毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染していたことが世界保健機関(WHO)の検査で確認されたと発表した。同国での鳥インフルエンザによる死者は合計20人。
 ジャカルタでは23日にも鳥インフルエンザの疑いで女性1人が死亡し、保健省が確認を急いでいる。(ジャカルタ支局)


読売新聞
 
2006年
2月26日
仏の七面鳥大量死 鳥インフルエンザと確認 
飼育場感染、EUで初めて
【パリ=島崎雅夫】フランス農業省は25日、仏東部アン県の飼育場で大量に死んだ七面鳥について、死因が毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)によるものだったと発表した。欧州連合(EU)諸国の家禽(かきん)飼育場でH5N1型感染が確認されたのは初めて。家禽肉消費がすでに大幅に落ち込んでおり、欧州最大の家禽肉生産国フランスに大きな打撃となりそうだ。
 農業省の声明によると、検査の結果、アン県ベルサイユーの飼育場で死んだ七面鳥から検出されたウイルスが、先に死んだ野生カモから検出されたウイルスと一致。同省は飼育場への感染経路を調査している。同飼育場では約1万1000羽の七面鳥が飼われていたが、うち約80%が死に、残りの七面鳥も処分された。
 フランスは、年間約60億ユーロ(約8400億円)を売り上げる家禽肉生産国。日本が仏産の家禽やフォアグラを一時輸入停止にしたことも打撃となりそうで、仏政府は、家禽生産者に対して、5200万ユーロ(約72億8000万円)の支援を行うことを決定した。

読売新聞
 
2006年
2月26日
鳥インフルエンザ 仏でH5N1型検出 食用家禽ではEU初
【ロンドン=横田一成】フランス農業省は25日、同国東部の農場の七面鳥飼育施設で死んでいた七面鳥から検出された鳥インフルエンザウイルスが人に感染する恐れのあるH5N1型と確認されたと発表した。流通する食用の家禽(かきん)から同型が検出されたのは欧州連合(EU)で初めて。欧州で鶏肉などの消費に大きな影響が出るのは必至とみられる。
 同施設の1万1000羽の鳥の8割以上がこの1週間以内に死んだ。残りは25日までに処分されたという。施設の関係者は病院などに隔離されて検査を受けている。シラク仏大統領は25日、「鶏肉や卵を食べるのに何の危険性もない。調理すればウイルスは全滅する。パニックになる必要はない」と事態の沈静化につとめた。
 フランスはEU最大の家禽肉生産国。鳥インフルエンザの拡大にともない、同国では鶏肉の売り上げが30%減少するなど欧州各国で鶏肉消費への影響が広がっている。すでに日本はフランスからのフォアグラなどの輸入一時停止措置を発動している。欧州では渡り鳥などからH5N1型の検出が相次いでいる。

日本経済新聞
 
2006年
2月25日
鳥インフルエンザに「宣戦」 インドネシア政府 住宅や市場巡回
【デンパサル(インドネシア・バリ州)=藤谷健】
鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の人への感染が広がるインドネシアで、同国政府が24日、「鳥インフルエンザとの戦い」(アントン農業相)を宣言、本格的な対策に乗り出した。ジャカルタや西ジャワ、ランプンなど6州では、州政府が組織したパトロール隊が住宅や市場などの戸別訪問を順次開始。その場で家禽(かきん)類の検査を実施し、感染が見つかった場合は半径1キロ以内のすべての鳥類を殺処分し、3キロ以内でワクチンを接種する。
 農業省はこれまで、自宅で放し飼いにしている鶏などが多いため、殺処分は見送ってきたが、感染拡大防止のためにはやむを得ないと判断した。政府は殺処分された家禽類1羽につき5000〜1万ルピア(約65〜130円)の補償金を支払う方針。24日は、首都ジャカルタで、州の職員や赤十字のスタッフら600人が早朝から一斉に住宅街や市場などを訪れ、無作為に選んだ鳥のフンから感染の有無を検査した。
 農業省によると、全国33州のうち26州で、鳥インフルエンザの発生が確認されている。


朝日新聞
 
2006年
2月25日
鳥インフルエンザ 鳥の処分で作業員4人感染、発症はせず
/韓国
 韓国の疾病管理本部は24日、韓国で鳥インフルエンザが流行した2003年12月から04年3月にかけて鳥の処分を行った作業員4人から、「H5N1型」に感染していたことを示す抗体が検出されたと発表した。4人とも発症せず、伝染の恐れもないという。(ソウル支局)

読売新聞
 
2006年
2月25日
鳥インフルエンザ 仏産カモ肉など、輸入一時停止/農水省
農水省は24日、フランスからのカモ肉、フォアグラ、鶏肉など家禽(かきん)類の肉や内臓の輸入を一時停止したと発表した。同国家畜衛生当局から鳥インフルエンザ(H5型)が発生したとの情報提供があったための措置。

読売新聞
 
2006年
2月25日
鳥インフル 家禽に感染拡大 EU、対策強化を確認
【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)は24日に緊急の保健相会合を開き、欧州で感染が広がる鳥インフルエンザへの対策を協議した。仏などで家禽(かきん)が感染したのを受け、生産者らに早期通報や家禽の屋内隔離を要請。鶏肉の消費が落ち込む懸念があるため、EU加盟国が生産者支援に乗り出すことも確認した。
 各国の保健相は生産者に家禽の管理強化を求めるため、「EU全体で情報提供を徹底する」(議長国オーストリアのラオホカラト厚生相)方針を確認した。子供らが野鳥などに接触するのを防ぐため、学校や幼稚園に防