【理 念 】
結核予防を中心とする公衆衛生思想の普及及び向上を図り、文化の昂揚に寄与することを理念とします。社団法人日本厚生協会はすべての生命を大切にする「いのちの環境」を整え、心身ともに健康な社会作りに貢献します。
【活動方針】
@本来の健康は、自然治癒力を高めることによって保持されることを提唱し、心の健康を主眼とした心身ともに健康な人材育成に努めます。 A西洋医学、東洋医学、民間療法等の交流を図り、それぞれの持ち味を活用することを目指します。 B健康な社会作りのための活動として、刊行物の発行、講演会、セミナー、研究会等を行います。 C当協会の活動には、会員をはじめ、この会の趣旨に賛同されるすべての個人および企業・団体が、国籍を問わず参加できます。
大きくは全宇宙に存在するすべての生命によい環境という意であり、地球に存在する動物、植物、鉱物すべての『いのち』をこよなく大切にする心を育み、それを実践することを理念とするものです。 これまで、とかく人間は人間中心のエゴ意識で他の生命を粗略にしてきたのでは…との反省も込め、少なくとも、私たちの住む地球の自然環境をできるだけ損なうことなく、人間の生命環境のみならず、すべての生命の環境を最優先に考えるという意識改革と実践行動を推進することを『整える』と表現しています。
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日本厚生協会は、昭和23年5月4日に厚生大臣の許可を得て設立された社団法人です。創立以来、「結核ほか感染症の予防」と「公衆衛生思想の向上」を目的として活動してきました。昭和24年には厚生省保健対策室(当時)との連携でヒロポンほか各種覚醒剤の撲滅に乗り出し、また、昭和39年には当時はさほど深刻には考えられていなかった成人病についても、その対策を講じるような活動をしてきました。
しかし、ワクチンや抗生物質などの普及によって感染症が激減したこともあって、当協会の活動も沈滞化せざるを得なくなった時期がありました。
そんな中で会長に就任したのが帯津良一医学博士(帯津三敬病院院長、日本ホリスティック医学協会会長)です。帯津博士は、「真の健康」「健全な医療」を考える上で免疫力や自然治癒力に着目し、薬にばかり頼らない感染症の予防や治療を提唱し、当協会でも、西洋医学だけでなく、西洋医学以外の東洋医学や伝統医療、民間療法などを取り入れた医療の必要性を訴える活動を行ってきました。
現在、沢山俊民会長(さわやまクリニック院長、川崎医大名誉教授)のもと、いかにすれば健全な医療が実現できるのか(結果的に感染症の予防と治療の進歩につながります)、協会内部の医療専門家のみならず、外部の医療専門家との学術的な交流をはかり、さらには海外とも連携をとりながら、世の中に訴えるべく積極的な活動をしています。
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近年、感染症が大きな社会問題となってきています。一時は絶滅寸前に見えた結核ですが、世界保健機構(WHO)は、1993年4月に結核に対する世界緊急事態宣言を出しました。世界人口の3分の1を超す人々が結核を起こす細菌に感染しているというのです。この年、世界で1650万人が結核をはじめとする伝染病で死亡しています。
ガンによる死亡者が610万人ですから、伝染病がどれほどの驚異になっているか、一目瞭然かと思います。
記憶に新しいところでは、わが国でも1996年に病原性大腸菌O−157による食中毒の被害が全国に拡大し、最終的には患者数が1万2194人、死亡者12人という数が報告されました。また、97年〜99年にかけてのインフルエンザの大流行もありました。
98年には、41件の結核集団感染(20人以上が感染)の発生が、厚生省のまとめで明らかになりました。94年、95年が11件、96年21件、97年29件と徐々に増えてきての急増ということになります。患者数は1111人。エイズやMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)なども含めて、感染症は、健康を脅かす存在として、非常な勢いで私たちに迫っていると言えるでしょう。
そんな状況下で、事態をより深刻化させているのは、感染症には絶対的な効力をもっていた抗生物質が効かなくなっていることです。耐性菌、耐性ウイルスという呼び方をしますが、細菌やウイルスが抗生物質に対して抵抗力をもち始めているのです。つまり、感染症には抗生物質という方程式が崩れつつあると言えるでしょう。
感染症の逆襲。それも、切り札とも言える抗生物質に対しての耐性をもった細菌の蔓延。冷静になって考えれば考えるほど、私たちは今、大変な危機の前に立たされていると言えます。
そうした社会状況をどう打破すればいいのか、日本厚生協会の活動が非常に大きな鍵を握っていることは間違いないでしょう。
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19世紀の半ば、ドイツでコッホとペッテンコーフェルによるコレラ菌の毒性と宿主の抵抗力との関係を巡っての有名な論争がありました。コッホは、コレラ菌の発見者として知られていますが、彼の「コレラの原因はコレラ菌である」という説に対して、ミュンヘン大学衛生学教授のペッテンコーフェルが異論を唱えたのです。
ペッテンコーフェルは、「コレラ菌が体内に入ったからといって必ずしもコレラになるわけではない」という自説を証明するために、コッホが培養したコレラ菌を大胆にも大勢の学者の前で一気に飲み干しました。一個連隊の兵士を殺すのに十分だとされていた量のコレラ菌を飲んだペッテンコーフェルはどうなったでしょう。常識的には、コレラにかかって死んでしまうはずでしたが、彼の身体には何の異常も現れなかったのです。
つまり、ペッテンコーフェルは現在の医学の最先端の研究テーマである「免疫力」の存在を、この実験で訴えたかったです。そして、いくら細菌が体内に入っても、宿主の免疫力が正常に機能していれば発病しないというシステムを、彼は自分の身体で証明したのです。 今、こうやって感染症が大きな驚異になっている現在、ペッテンコーフェルが訴えようとした「免疫力」を見直そう、解明しようという動きが盛んになっています。心と体の相関関係を学問的に解明しようという精神神経免疫学も、非常に注目を集めている領域です。
O−157騒ぎのときも、確かにたくさんの患者が出ましたが、同じものを食べても発症しなかった人がたくさんいるわけです。それはどうしてなんだろうという問いかけもあちこちでなされました。つまり、そのときの免疫力の状態が、発症・非発症をわけたのではないかというのです。感染症にかからないための予防医学という視点からも免疫力は積極的に議論されなければならないでしょう。
今後の感染症対策としては、治療においても予防においても、細菌を死滅させることは重要ですが、同時に免疫力を高めることにも着目しなければならなくなっています。
日本厚生協会は、ここ数年、「いかにすれば免疫力を高めることができるか」ということも視野に入れながら、感染症にアプローチしてきました。西洋医学のみならず、東洋医学や気の医療、各国の伝統医療や民間療法といった代替医療と呼ばれているさまざまな治療法も、免疫力を高めるという視点から見れば、使い方によっては非常に有効な手段と言えるでしょう。西洋医学的な検証を行いながら、代替医療をいかに使っていけばより健康な生活ができるのか、感染症を予防したり治療できるのか。これからの感染症対策においては、もっとも力を入れなければならないテーマの一つだと考えられます。
また、代替医療をうまく使うことによって、30兆円を越えた医療費の軽減にもつながります。町民の健康のために太極拳を取り入れたところ、医療費の削減につながりつつあるという町も出ています。
今、「免疫力」「予防医学」への国民の関心は非常に高まっています。日本厚生協会は、そのニーズにこたえるべく、患者が主役となって、医師のアドバイスを受けながらさまざまな選択肢のもてる健全な医療を実現するため、積極的に実践的提案をしていくつもりです。
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医療は、医師と患者だけによる構成要素ではありません。看護婦や事務員など、コメディカル(Co-Medical)と呼ばれている方々も重要な立場にいますし、さらには、病院そのものが治癒の大きなポイントになっているのです。
現在の日本の病院のイメージですが、どちらかと言うとネガティブなものが多いだろうと思います。
暗い、薬臭い、何となく怖いという感じでしょうか。前出の精神神経免疫学では、明るく楽しくうきうきする心が免疫力を高めるという研究結果が出ています。そういう意味で、日本の病院の多くは、精神神経免疫学的に言えば、免疫力に対してプラスには働かないと言えるでしょう。
ドイツのロマンティック街道にあるクリニックの例です。
「クリニックの温室のようなガラス張りの建物に入り、日光がさしこむあかるい階段をのぼると、噴水のまわりにみずみずしい植物が繁っているロビーにでます。階段の踊り場や廊下の壁には患者が絵画療法で描いた美しい絵がたくさん飾られています。医師も看護婦も入院患者もふつうの服装で歩いているので、クリニックの内部は、うっかりすると快適なリゾートホテルかモダンな画廊と間違えてしまいそうな雰囲気でもあります。病室はすべて個室で、家族や友人が泊まれるように予備ベッドがあり、いかにもロマンティック街道沿いの町らしく、窓からは緑豊かな中世さながらの美しい田園風景がのぞめます」(『いまなぜ「代替医療」なのか』徳間書店より)
ドイツの医療は、病院のあり方として、いかにポジティブな気持ちで病院生活ができるかを工夫したところが多くなっているのです。また、イギリスでも、寝たきりにはさせないという配慮がなされています。朝になれば必ずパジャマから普段着に変えて、歩けない人は車椅子を使って、食堂まで朝御飯を食べに行きます。
広々とした廊下をゆっくりと歩いていくと(車椅子で進んでいくと)、外からの光が十分に取り入れられた明るい食堂です。季節の花が飾られ、心の落ちつく匂いに満ち、気持ちが晴れるようなBGMが流れている。スタッフも笑顔で迎えてくれて、入院仲間とも明るく挨拶を交わします。真っ白な皿に上品に盛られた料理。そこにいること自体が「癒し」になり「治癒」となっているのです。
結核あるいは伝染病というと、どうしても暗いイメージが先行します。滅多に来客もないじめじめいした病室で、死を目前にした人がさまざまな思いを巡らすという光景が小説ではよく出てきます。ガン病棟というイメージも同じです。
ドイツのような病院と暗くてじめじめした結核病棟と、どちらが免疫力のアップに対して効果的か、考えるまでもないでしょう。精神神経免疫学が発達した現代においては、医学的にそれを証明するのも決して難しいことではありません。
医師やコメディカルと呼ばれる人々の資質の向上と同時に、病院自体の改善を進めていくことも、これからの感染症に限らず、すべての医療において非常に重要なテーマとなってくるはずです。
また、欧米の病院では、看護婦がアロマテラピー(芳香療法)やリフレクソロジー(足裏マッサージ)、ヒーリング(手かざし療法)などをマスターして、病室を回っては、入院患者の希望に応じて施術している姿がよく見られます。直接的な効果もありますが、患者と医療者の信頼関係が深まるという意味でも、病気治癒において非常に有益な働きをしています。これだけのことで、病院の雰囲気はまったく違ってくるでしょう。患者に希望と勇気と意欲がわいてくるのです。免疫力のアップにつながることは言うまでもありません。
そうした教育も、これからは重要になってくるでしょう。
当協会では、欧米での病院の状況を取材し、建築や医療、福祉などの専門家のアドバイスを受けながら、全国の病院及び会員の皆様にその情報を提供し、さらには医師との相談の上、アロマテラピーなど免疫力に働きかけ、感染症を予防したり治療するのに役立つと思われる療法を学ぶ場を作っていくことで、医療者のレベルアップをはかっていきます。 新しい病院作りに対してのアドバイスやコンサルティングも将来の活動として視野に入れた準備も進めていきます。
また、下田(静岡県)の施設を、そのモデルとなるような場所として使っていけるようにし、園芸療法や陶芸療法も体験できるような施設とすることも急務でしょう。
こうした総合的な医療についての情報の提供をはじめ、当協会では
・当協会の施設(下田)の有効利用 ・会員相互の各地での親睦、情報交換(年2回程度) ・セミナー、シンポジウム等の主催 ・研究発表 ・関連団体との交流
などを積極的に行っていきます。
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